2020年2月6日 更新

健康診断の結果の見方 健診結果を見ても、「数値ばかりで分かりにくい」という方も多いのでは?各検査の目的や判定のポイントなど、健診結果の見方を知って毎日の健康管理にお役立てください。 TOP 生活習慣 肥満・やせすぎ 健診でチェック 健診結果の見方

一般的な健康診断で行われる検査と判定ポイント

※各項目に記載した基準範囲(基準値)は日本人間ドック学会(2018年改定)による判定区分です。なお、基準値は健診機関によって異なります。

身体測定

  • BMI

…BMIは肥満度を示す体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出されます。

BMI(体格指数)基準範囲判定のポイント
18.5~24.922が最も病気になりにくいとされています。
18.4以下は「低体重」、25以上は「肥満」と判定されます。
  • 腹囲

…ウエストまわりを測定して、内臓脂肪が蓄積しているかどうかの目安にします。

腹囲基準範囲判定のポイント
男性84.9㎝以下数値が高いと内臓脂肪が蓄積していると考えられます。
併せて「糖尿病」「高血圧」「脂質異常」のうち2つ以上に該当するとメタボリックシンドロームと判定されます。
女性89.9㎝以下

血圧測定

  • 血圧測定

…心臓が全身に血液を送り出す時の圧力の大きさを測定します。

血圧基準範囲判定のポイント
収縮期血圧129mmHg以下収縮期血圧が140mmHg、拡張期血圧が90mmHgを超えると「高血圧」と診断されます。
高血圧の状態が続くと、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症などのリスクが増加します。
拡張期血圧84mmHg以下

呼吸機能

  • 呼吸機能検査

…大きく息を吸ったり吐いたりして、呼吸機能を調べます。

呼吸機能基準範囲判定のポイント
1秒率(%)70.0%以上数値が低い場合、肺の拘束性障害や閉塞性障害が疑われます。
%肺活量80.0%以上

肝機能検査(血液検査)

  • 総たんぱく

…血液中に含まれるたんぱくの量から、肝機能を調べます。

総たんぱく基準範囲判定のポイント
6.5~7.9g/dL食物に含まれるたんぱく質は、胃や腸で消化・吸収されて肝臓に運ばれます。そのため肝機能に何らかの障害があると、血液中の総たんぱくの量も変動します。
  • アルブミン

…血液たんぱくで最も多く含まれるアルブミンの量から、肝機能を調べます。

アルブミン基準範囲判定のポイント
3.9g/dL以上低い値の場合、肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などが疑われます。
  • AST(GOT)・ALT(GPT)

…主に肝細胞に存在するAST、肝細胞や心筋、骨格筋などに存在するALTという酵素を調べて、肝臓や心筋、筋肉などの細胞に異常があるかどうか検査します。

基準範囲判定のポイント
AST(GOT)30U/L以下数値が高いと、ウイルス性肝炎や脂肪肝、アルコール性肝炎などの可能性が考えられます。
ALT(GPT)30U/L以下
  • γ-GTP

…γ-GTP は、ASTやALTと同じく酵素の一種です。肝臓や胆道の異常によって数値が上昇します。

γ-GTP基準範囲判定のポイント
50U/L以下ASTやALTと共に数値が上昇していれば、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変などが疑われます。
γ-GTPだけが高値ならアルコールの摂りすぎが原因ということが多いです。

腎機能検査(血液検査)

  • クレアチニン(Cr)

…クレアチニンは、たんぱく質が体内でエネルギーとなった後に残る老廃物です。腎機能が低下すると血液中の濃度が高まります。

クレアチニン(Cr)基準範囲判定のポイント
男性1.00mg/dL以下急性腎不全など腎臓の機能が悪化することで数値が高くなります。
女性0.70mg/dL以下
  • 尿酸(UA)

…尿酸は、体内でプリン体が分解される時にできる老廃物です。健康であれば体内で一定量になるよう調整されますが、腎機能に異常があると尿酸のバランスが崩れます。

尿酸(UA)基準範囲判定のポイント
2.1~7.0mg/dL基準を超えた場合は高尿酸血症となり、放置すると痛風発作を引き起こします。

脂質検査(血液検査)

  • HDLコレステロール

…「善玉コレステロール」として知られるHDLコレステロールは、血液中にある余分な悪玉コレステロールを回収する働きがあります。減少すると、動脈硬化のリスクが増加します。

HDLコレステロール基準範囲判定のポイント
40 mg/dL以上数値が低い場合は脂質代謝異常や動脈硬化などが疑われます。
  • Non-HDLコレステロール

…血液中に含まれるコレステロールからHDLコレステロール(善玉コレステロール)を差し引いたもので、すべての動脈硬化を引き起こすコレステロールを表します。

Non-HDLコレステロール基準範囲判定のポイント
90~149mg/dL数値が高いと、動脈硬化や脂質異常症などが疑われます。
  • LDLコレステロール

…いわゆる「悪玉コレステロール」です。LDLコレステロールが多すぎると、動脈硬化のリスクが増加します。

LDLコレステロール基準範囲判定のポイント
60~119 mg/dL高い値の場合は動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。
  • 中性脂肪(TG)

…中性脂肪は、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したもので、体内で最も多い脂肪です。動脈硬化の発症や進行に関わっています。

中性脂肪(TG)基準範囲判定のポイント
30~149 mg/dL中性脂肪が高値になると動脈硬化を進行させます。
低値の場合、低栄養や慢性肝炎、肝硬変などが疑われます。

糖尿病検査(血液検査)

  • 空腹時血糖(FPG)

…血液中に含まれるブドウ糖(血糖)の量を調べます。

空腹時血糖(FPG)基準範囲判定のポイント
99mg/dL以下糖尿病や甲状腺機能亢進症などがあると血糖値が高くなります。
  • HbA1c(NGSP)

…過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映したもので、糖尿病の血糖コントロールの指標となります。

HbA1c(NGSP)基準範囲判定のポイント
5.5%以下空腹時血糖(FPG)が126mg/dL以上かつHbA1cが6.5%以上なら糖尿病と判断されます。

貧血などの検査(血液検査)

  • 白血球数

…血液中の血球成分の一つ。免疫機能に大きく関わっており、低下すると感染症にかかりやすくなります。

白血球数基準範囲判定のポイント
3.100~8.400/μL高値の場合は細菌感染症や炎症、腫瘍などが、低値の場合はウイルス性感染症や薬物アレルギーなどが疑われます。
  • ヘモグロビン(Hb)

…血液素量ともいい、貧血の指標となる血中鉄を示します。

ヘモグロビン(Hb)基準範囲判定のポイント
男性13.1~16.3g/dL基準を下回ると貧血と判断されます。
女性12.1~14.5g/dL
  • 血小板数

…血液の成分の一つである血小板は、粘着性があり、出血するとその部分に付着して出血を止める働きがあります。

血小板数基準範囲判定のポイント
14.5~32.9万/μL数値が高いと血小板血症、鉄欠乏性貧血などが、低いと再生不良性貧血などが考えられます。

尿検査

  • 尿蛋白

…腎機能の異常によって尿中に漏れ出したたんぱくを検出します。

尿蛋白基準範囲判定のポイント
陰性(-)陽性(+)になると腎機能の異常が疑われます。
  • 尿潜血

…尿中に含まれる赤血球を調べて、腎機能の異常などがないかどうか調べます。

尿潜血基準範囲判定のポイント
陰性(-)陽性(+)の場合、膀胱炎や腎結石、尿管結石、尿路系の腫瘍などが疑われます。

便潜血検査

  • 便潜血検査

…便の中に血液が混じっていないかどうかを調べます。

便潜血基準範囲判定のポイント
陰性(-)陽性(+)の場合、大腸ポリープ、大腸がん、痔などが疑われます。

日本は世界でも有数の長寿国ですが、長い人生を豊かに過ごすためにも日頃から健康管理を心がけたいもの。毎日の生活習慣を見直し、定期的に健康診断で体の状態を把握して、健康な体づくりを進めましょう。