2015年1月19日 更新
これから家を新築・リフォームするにあたり、「どんな家にしようかな?」とイメージを膨らませている人は、ぜひペットのことも考えてあげてください。人とペットが暮らしやすい家づくりのヒントをご紹介します。
「我が家は狭いので、室内飼育だとペットのストレスが溜まってしまいそう」と考える飼い主さんがいますが、そんなことはありません。確かに1人暮らし用のワンルームで大型犬と生活するのは少し無理がありますが、ペットの飼育に必要なものは、広さよりペットの習性にあった暮らしです。たくさんの運動量が必要な犬は、毎日しっかり散歩をして運動しているなら、室内ではハウスの周辺にサークルを用意して、少し歩き回る程度のスペースがあればOK。長時間外出する時は、退屈しないようにリビングなどを行き来できるようにしてあげましょう。猫の場合、キャットタワーやキャットウォークなどで上下の運動ができるように配慮しましょう。飼い主さんがおもちゃを使って一緒に遊んであげることも大切です。
犬のハウス、猫のキャットタワーなどは、ある程度スペース必要なので、間取りプラン作成の段階から、人が出入りするドアやエアコンが直当たりする場所を避けて、どこに配置するか決めておきましょう。
誰でも、人混みの中で疲れたり、「今日は1人でゆっくりしたいな」と思ったりしたことがあると思います。実は、これはペットも同じ。飼い主さんと一緒に過ごす時間が大好きでも、時には1人で落ち着きたい時もあるのです。人通りの少ない部屋の隅にペット専用スペースをつくるか、またはそこにクレートを置いて、ペットがいつでも潜り込めるようにしておくと良いでしょう。ちなみに、ペット専用スペースやクレートは、広すぎても狭すぎても、ペットが落ち着きません。ペットが「伏せ」の姿勢をして若干余裕がある程度が理想的です。場合によっては、成長に合わせてクレートを買い替えるか、箱などを置いてスペースを調節してください。
猫が心から落ち着けるのは、巣穴のような暗めの空間です。猫用クッションではなく、クレートなどの屋根のある空間を1つは用意してあげましょう。
ペットは私たち人間と違って日本語が分かりませんから、「ここは入っちゃダメ」と言っても理解できません。もっと言うと、「入っても良い場所と悪い場所がある」という発想もありません。そんなペットに対して、侵入を慌ててブロックしたり、きつい口調で叱ったりしてもペットは混乱するだけ。出入り禁止の部屋のドアは、柵やフェンスで二重に囲って、物理的に入れないことをアピールしましょう。ただし、家族が集まるリビングなどはペットもオープンにするべきです。ペットと共有する空間、人間だけの空間をはっきり分けることを心がけましょう。
出入りを制限する柵やフェンスは、ペットがジャンプしても飛び越えられない高さが必要。柵やフェンスをつくる予定なら、適切な高さや幅を頭に入れておきましょう。
一般的な合板のフローリングは、キズに強く掃除もしやすいのですが、表面がツルツルして滑りやすく、犬や猫のストレスになったり、股関節を傷める原因になったりすることもあります。滑りにくいペット用のフローリングや、ペットに適した床材を選ぶようにしましょう。滑りにくい床材を選ぶと、お年寄りや小さな子どもも転倒の危険が少なくなるのでおすすめです。
床材 | 特徴 |
---|---|
柔らかいフローリング (パイン材、杉材など) | クッション性が高く、犬の足を傷めない。ただし、柔らかいのでツメ跡がつきやすい。ツメ跡も傷も思い出として割り切れる人向き |
コルク | 柔らかな弾力のある素材で、水にも強い。無塗装の場合はツメでえぐれやすいので、ワックスや樹脂でコーティングしたものを選ぶ |
クッションフロア | クッション性、耐水性にすぐれており、価格も比較的安価。表面強化されたものならツメ跡がつきにくい |
タイル | 防滑処理されているものを選べば安心。石や陶器でできたタイルは水洗い可能で耐久性も高い |
カーペット | 防滑性と衝撃吸収性がバツグン。ただし毛足の長いじゅうたんやループ状のものは犬のツメに引っかかりやすいので避ける。パネルタイプなら汚れた部分を水洗いできるから清潔 |
リフォームで床材を変える予定がない場合、滑りやすい床材の上にカーペットを敷くという方法もあります。
好奇心旺盛なペットは、目についたものをすぐに遊びの対象と考えてしまいます。誤飲のおそれがあるもの、イタズラされると困るものがあれば、あらかじめペットの目に届かない場所にしまいましょう。特に猫の場合、ものを高い家具などの上に避難させるだけでは、猫がジャンプして落下させてしまう可能性もあります。扉がしっかり閉まる戸棚やクローゼットなどがあれば安心です。
ペットを飼っている家は、ゴチャゴチャとものを置かないことが肝心。ものが少ない分、事故の危険も少なくなります。
子犬が突然、室内をグルグル走り回る「犬っ走り」や、猫が夜中に大暴れする「夜の運動会」。これらは犬や猫の習性によるものなので防ぐことは難しいですが、もしも柱の角にぶつかった時に、柱の角が丸くなっていると衝撃による事故を軽減することができます。
落下の衝撃を和らげるために柔らかい床材やカーペットにする、普段からあまりものを置かないようにするといたことも、事故や怪我を防ぐ効果があります。
部屋にニオイがこもらないように、脱走に気を付けた上でこまめに窓を開けるか、換気システムを導入するなどして換気に気を配りましょう。空気清浄機や消臭グッズを使うのもおすすめです。室温は、犬は人間より寒さに強く暑さに弱いというのが一般的ですが、犬種にもよるので犬の様子を見ながら調整します。猫は、人間同様暑さにも寒さにも弱い生きものです。エアコンなどで室温を調整し、夏はクールマット、冬は断熱シートなどを利用して暑さ・寒さ対策を行いましょう。
気密性・断熱性にすぐれた壁材や、二重窓を取り入れた高気密・高断熱の家は、少ないエネルギーで室温を一定に保ちやすいので、寒暖差が少なく、人間もペットも快適!
人間とペットが暮らしやすい家づくりのヒントをご紹介しましたが、ペットの個性によって求められる設備や工夫は異なるので、気になることや要望があれば、家づくりの専門家に相談することをおすすめします。
「ペットが出入り禁止のスペースをはっきり示す」「床材を選んで滑りにくくする」「ぶつかって怪我をしないよう柱にも工夫をする」など、ペットに優しい住宅は、人間(特に子どもやお年寄り)が住みやすい家でもあります。人間もペットも住んでいて快適な家づくりを目指しましょう。
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