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2016年6月30日 更新

アレルギーを引き起こす害虫

アレルギー性疾患のある日本人のうち、一番多いのがヒョウヒダニ(チリダニ)というダニのアレルギーです。
アレルギーと関わりのある害虫や、アレルギー症状にはどのようなものがあるのでしょうか?

アレルギーが起こるメカニズム

私たちの体は、外部からウイルスなどの異物が侵入するとそれを追い出すために、咳や鼻水、くしゃみなどの反応を起こして異物を体外に排出しようとします。この仕組みを「免疫」といい、病気などから体を守る大切なシステムなのですが、人によっては通常は無害な物質を異物と認識し、過剰な反応(アレルギー反応)を起こしてしまうことがあります。
アレルギー反応を起こす原因物質のことを「アレルゲン」といいます。アレルゲンとしてよく知られているのものにはダニやスギ花粉などがあります。
例えば、ダニアレルギーのある人がダニの死骸を吸い込んでしまうと…

  • ぜんそく
  • アレルギー性鼻炎(鼻水、鼻づまり、くしゃみなど)
  • アトピー性皮膚炎(皮膚の痒み、湿疹、炎症など)
  • アレルギー性結膜炎(目の痒み、充血など)

このようなアレルギー症状を引き起こしてしまいます。

害虫によるアレルギーはなぜ怖い?

食品アレルギーの場合、アレルゲンとなる食品さえ食べなければアレルギーを防ぐことができますが、ダニのように目に見えないほど小さな害虫は知らず知らずのうちに体内に侵入してしまうおそれがあり、予防が困難です。
また、ハチやカのように人を刺してアレルギーを引き起こす害虫も、人間がどんなに注意していても突然、刺されてしまうことがあります。

アレルギーの原因となる主な害虫

死骸やフンがアレルゲンになる害虫
  • ダニ類
  • ゴキブリ類
刺された時の分泌物がアレルゲンになる害虫
  • ノミ類
  • 蚊類
  • ハチ類

ダニ類

一般的なダニアレルギーの多くが、「ヒョウヒダニ(チリダニ)」という種類のダニによるものです。
ヒョウヒダニは人を刺すことはありませんが、ヒョウヒダニの死骸やフンが混じったチリやホコリ(ハウスダスト)を吸い込むことで、ぜんそくや鼻炎、皮膚炎などが起こります。
ヒョウヒダニなどのダニは、じゅうたんや布団のチリやホコリの多い場所に生息しています。そのためダニアレルギーの人は、ハウスダストアレルギーを併発していることがほとんどです。

主なアレルギー症状
  • ぜんそく
  • アレルギー性鼻炎(鼻水、鼻づまり、くしゃみなど)
  • アトピー性皮膚炎(皮膚の痒み、湿疹、炎症など)
  • アレルギー性結膜炎(目の痒み、充血など)

ダニアレルギー対策のポイント

家にいるダニを退治することはもちろんですが、退治した後のダニの死骸やフンを掃除機で吸い取らない限り、ダニの死骸やフンが体内に入ってアレルギー症状があらわれます。ダニが特に潜伏しやすいじゅうたんや布団を中心に、1㎡あたり20秒くらいを目安に掃除機を裏表にかけてダニの死骸やフンを吸いとりましょう。

※ダニの正しい駆除方法は「害虫対策のポイント(ダニ類)」を参考にしてください。

ゴキブリ類

屋内でよく見られるクロゴキブリやチャバネゴキブリからもアレルギーが起こります。「ゴキブリぜんそく」と呼ばれる疾患で、ゴキブリの乾燥した死骸が砕けて粉じんになったものやフンなどを吸い込むと、ぜんそくの症状があらわれます。
ゴキブリぜんそくは日本ではあまりポピュラーではありませんが、アメリカの都市部ではダニよりもゴキブリによるぜんそくが増えているというデータもあります。

主なアレルギー症状
  • ぜんそく

ゴキブリアレルギー対策のポイント

ゴキブリ駆除に加え、定期的に掃除機をかけてゴキブリの死骸の粉じんやフンを吸いとります。ゴキブリのフンなどが溜まりやすい部屋の隅や家具の裏までしっかり掃除しましょう。

※ゴキブリの正しい駆除方法は「害虫対策のポイント(ゴキブリ類)」を参考にしてください。

ノミ類

ノミが人や動物の皮膚を刺して吸血する時、ノミの唾液が体内に注入されます。ノミアレルギーは、このノミの唾液がアレルゲンとなって皮膚に激しい痒みや腫れ、ブツブツした水ぶくれなどが起こり、重症化するとじんましんなどの全身症状があらわれることもあります。ノミアレルギーには、刺された場所にすぐアレルギー反応があらわれるタイプ(即時型反応)と、翌日~翌々日になってからアレルギー反応があらわれるタイプ(遅延型反応)の2つがあります。

主なアレルギー症状
  • アトピー性皮膚炎(皮膚の痒み、腫れ、湿疹など)

ノミアレルギー対策のポイント

ノミに刺されないよう、室内のノミ駆除を徹底しましょう。ペットを飼っている場合はノミとりシャンプーやブラッシングなどの対策も忘れずに。

※ノミの正しい駆除方法は「害虫対策のポイント(ノミ類)」を参考にしてください。

蚊類

上記のノミと同様、吸血時に皮膚に注入される蚊の唾液がアレルゲンとなって激しい痒みや腫れ、ブツブツした水ぶくれなどが起こります。じんましんなどの全身症状があらわれる場合もあります。
刺されてからすぐにアレルギー反応があらわれるタイプ(即時型反応)と、翌日~翌々日になってからあらわれるタイプ(遅延型反応)の2つがあり、一度、症状がおさまった後に何度も症状を繰り返すこともあります。

主なアレルギー症状
  • アトピー性皮膚炎(皮膚の痒み、腫れ、湿疹など)

蚊アレルギー対策のポイント

とにかく蚊に刺されないように、蚊を誘引する汗をこまめに拭きとり、長袖長ズボンなどで皮膚の露出を控えます。虫よけスプレーなどを使うのもおすすめです。

※蚊の正しい駆除方法は「害虫対策のポイント(蚊類)」を参考にしてください。

ハチ類

上ハチが持っている毒(ハチ毒)に対するアレルギーで、ハチ毒アレルギーの人がハチに刺されると、約10~20%にじんましんやおう吐、むくみ、呼吸困難など全身性のアレルギー反応(アナフィラキシー)があらわれます。さらにそのうち数パーセントは、血圧の低下や意識障害などの重症(アナフィラキシーショック)を起こすおそれがあり、命にかかわることもあります。
アナフィラキシーはハチに2回以上刺されると起こりやすくなるとされていますが、中には初めてハチに刺された時に起こるケースも報告されています。

主なアレルギー症状
  • 局所反応(痛み、腫れ、熱感など)
  • 全身症状(アナフィラキシー)(じんましん、おう吐、むくみ、呼吸困難など)
  • 重度のショック症状(アナフィラキシーショック)(血圧低下、意識障害など)

ハチ毒アレルギー対策のポイント

ハチに刺されないように、ハチや巣に近づかないことが大切。家の中や周囲でハチの巣を発見したら、駆除業者に依頼して、すみやかに撤去を行いましょう。
また、ハチ毒によるアレルギー症状はアナフィラキシーショックを引き起こすおそれがあるため、とても危険です。ハチに刺されたら、すぐに医療機関を受診してください。

※ハチの正しい駆除方法は「害虫対策のポイント(ハチ類)」を参考にしてください。

アレルギーの有無は検査で分かります

アレルギーを引き起こす原因が特定の害虫なのか、それともほかの原因(花粉や食物など)なのかは、医療機関を受診して検査を受けるとわかります。
検査では、血液を採取して血液中にある特定のアレルゲンに対するIgEというたんぱく質の量を調べることでアレルギーの有無を判定します。検査可能なアレルゲンはダニやハチなど多数の項目があり、検査する項目数により料金は異なりますが、1回につき13項目までは保険適用で5000円~8000円程度かかります(初診料や診察料は別途)。

治療を受ける診療科は?治療内容は?

アレルギーが疑われる症状で医療機関を受診する時は、症状によって「呼吸器内科」「耳鼻咽喉科」「皮膚科」「眼科」などを受診します。症状が複数にわたる場合、これらの診療科を備えている大きな病院か、アレルギー疾患を全体的に診療する「アレルギー科」を選ぶとよいでしょう。
治療内容は、症状に合わせて抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、漢方薬などを使った薬物治療が中心です。ほかにも医師から日常の注意点などの指導を受けることもあります。