ヒートショックを防ぐ【場所別】の対策

家の中で温度差が生じやすい浴室や脱衣所、トイレといった場所別に、寒さ対策を兼ねたヒートショック対策を行うのも有効です。自分で手軽にできる方法から、比較的簡単な工事で導入できる設備まで、今住んでいる家でヒートショックを防ぐ対策をまとめました。
対策①浴室でのヒートショック予防
洗い場と浴槽の温度差を抑えることが肝心

浴室は、寒い洗い場と、熱いお湯をはった浴槽の温度差が大きく、ヒートショックが発生しやすい場所。脱衣所と併せて、しっかり対策を行いましょう。

浴室暖房を設置する
冬場の浴室内を暖かくする浴室暖房。入浴前に暖房運転を行うことで、洗い場と浴槽の温度差が小さくなり、ヒートショックの予防につながります。暖房機能のみならず、浴室のカビの発生を抑える浴室乾燥機能や、衣類乾燥機能といった機能面も多彩です。
電気を熱源とする電気式、ガスを熱源とするガス式があり、設置方法も、天井埋込タイプ、壁付けタイプなどがあります。後付けの場合、取り付け工事が比較的容易な電気式の壁付けタイプを選択するケースが多いようです。
入浴前に浴槽の蓋を外す
浴室暖房がない場合は、お風呂のお湯が沸いたタイミングで浴槽の蓋を外して、少し時間をおきましょう。お湯から発生した蒸気で浴室内が暖まり、洗い場の寒さが和らぎます。
蓋を外したときにお湯をかき混ぜると、蒸気がさらに発生するので、浴室全体の暖め効果もアップします。
床に浴室用マットを敷く
浴室の床に樹脂製の浴室用マットを敷いて、素足が冷たい床に触れてヒヤッとするのを防止します。
浴室用マットはすべり止め効果もあるため、もしも洗い場でめまいや立ちくらみが起こった場合の転倒防止にもなります。
対策②脱衣所でのヒートショック予防
ヒーターやマットで脱衣所の寒さを防ぐ

暖かい部屋から移動したときに、ゾクッと冷気を感じやすい脱衣所。衣服を脱ぎ着するときの肌の露出も、ヒートショックの発生リスクを高めます。

脱衣所にヒーターを設置する
脱衣所の寒さ対策に活躍するヒーター。入浴前にヒーターを暖めておけば、寒さに震えながら衣服を脱ぐこともなくなります。
コンパクトな形状のセラミックヒーター、パワフルな遠赤外線ヒーター、空気を乾燥させないパネルヒーターなどいろいろな種類があり、暖めたいスペースの広さや使用時間などに応じて選択できます。床に直置きするタイプは持ち運びができて手軽ですが、高所に設置できる壁掛けタイプは接触による火傷やつまずきの心配がないので、高齢者や子どもがいる家庭におすすめです。
脱衣所の床にマットを敷く
脱衣所のマットは、お風呂上がりの足元の水気を拭き取るほかに、足元の寒さの緩和にも役立ちます。
浴室の出入り口付近のほか、スキンケアをしたりドライヤーを使用する洗面化粧台の前の床にもマットを敷いておくとよいでしょう。
対策③トイレでのヒートショック予防
トイレ内の冷えた空気や便座の冷たさを解消する

トイレは、入ったときの寒さだけでなく、排便時のいきみも血圧上昇の要因に。1日に何回も利用する場所だからこそ、対策を心掛けましょう。
トイレにヒーターを設置する
セラミックヒーター、遠赤外線ヒーター、パネルヒーターなど、小型のヒーターをトイレに設置して、暖房のきいた部屋との温度差を小さくします。
人の動きを検知する人感センサー付きの製品を選ぶと、トイレを使用するときだけピンポイントで暖めることも可能です。

暖房便座・温水洗浄便座を設置する
座ると暖かい暖房便座や、温水のシャワーで洗う温水洗浄便座。「ウォシュレット」「シャワートイレ」などの名称でおなじみです。使うときに便座の冷たさでヒヤッとすることがないので、冬場のトイレが苦痛になりません。
床にマットを敷く、スリッパを置く
トイレマットやトイレスリッパは、トイレの床に付着した菌や汚れから足を守るだけでなく、寒さ対策にも有効です。マットは、薄手の塩化ビニル素材ではなく、厚手のものや布素材を選んで、足元を寒さから守りましょう。
対策④廊下でのヒートショック予防
廊下が暖かいと、家の中を行き来が安心

冬場になると「廊下が寒いから部屋から出たくない!」という人も多いのでは。廊下を暖めて室内との温度差を抑え、ヒートショックを未然に防ぎましょう。
廊下にヒーターや床暖房を設置する
廊下は1日を通して人の行き来が多いため、暖かさが持続しやすく、万一接触してもやけどしにくいパネルヒーターやオイルヒーターなどが適しています。
また、床暖房なら床下から熱が伝わり、冷えがちな足元が快適になります。床に暖房器具を置く必要がなくなるので、廊下がスッキリとするのも魅力的です。
マットやカーペットを敷く
冬場の廊下を歩くときに、気になるのが足元の冷え。床部分から寒さが伝わらないよう、廊下にマットやカーペットを敷くのもおすすめです。
幅60~80㎝くらいの細長い廊下用マットやカーペットのほかに、廊下の幅や長さに合わせてパーツをつなげるジョイントマット、ハサミでカットして使うマットなどもあります。

玄関ドアの寒さ対策をする
玄関からの冷気が廊下に流れ込む場合は、玄関ドアの寒さ対策を行いましょう。ドアに隙間があればスポンジ製やシリコン製の隙間テープで塞いだり、玄関の内側に断熱化効果のあるカーテンをかけたりして、冷気が入り込まないようにします。
対策⑤窓まわりのヒートショック予防
外部と接する窓の対策はしっかりと!

外気の影響を受けやすい窓は、冬場の室温を左右する要素。窓の対策を怠ると、室内の暖かい空気がどんどん外部へ流出してしまいます。

内窓を取り付ける
今住んでいる家の窓の内側に、新たに窓(内窓)を取り付けて二重窓にします。既存の窓と内窓の間にできた空気の層が熱の出入りを遮り、室内の暖かさが外部へ流出するのを防ぎます。
取り付けに伴う工事の費用や手間はかかりますが、高い断熱効果が期待できるため、ヒートショック対策にも有効です。
断熱窓に取り換える
断熱窓とは、文字どおり断熱性能にすぐれた窓のこと。断熱窓のサッシは熱を伝えにくい樹脂製や木製で、窓ガラスも2枚以上のガラスを組み合わせた複層ガラスやLow-Eガラスを使用して断熱性を高めています。
断熱効果が高いと冬場の室内で暖かさを維持しやすく、ヒートショックのリスク低減につながります。
窓用断熱シートを貼る
上で紹介した「内窓の取り付け」や「断熱窓の取り換え」は工事が必要ですが、断熱シートを窓に貼るだけのDIYでも断熱対策ができます。
市販の窓用断熱シートは厚みもサイズもさまざまで、基本的に厚みがあるほど断熱効果も高くなります。また、外からの視線をカットするミラー機能やガラスの飛散防止機能、夏冬兼用のオールシーズンタイプなど、機能面もチェックしましょう。

ウィンドウトリートメントを工夫する
ウィンドウトリートメントとは、カーテン、スクリーン、ブラインドといった窓まわりの装飾のこと。冬場の室内の暖かさを目指すなら、裏地付きの厚いカーテンや、生地内部に空気層を含むハニカムスクリーンなどがおすすめです。
ウインドウトリートメントの長さは窓のサイズぴったりに合わせずに、少し長めにするのもポイント。特に、掃き出し窓は冷気が入り込みやすいため、床に届くくらいの長さにするとよいでしょう。
まとめると…
ピンポイントの対策が効果あり! 寒い場所を暖めて温度差を解消

冬場の家の中に潜むヒートショックのリスクから身を守るには、暖かい部屋との温度差がある場所をピンポイントで暖めることが大切です。家の中で寒さや温度差を感じない環境をつくり、冬を快適に過ごしましょう。
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最終更新日 2025年11月14日

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