いざという時のために知っておきたい災害支援・災害ボランティア活動の基礎知識

被災地で行う「ボランティア活動」

2021年5月27日 更新
被災地で行う「ボランティア活動」

大規模な災害が起こると、多くの命が失われ、その地域に暮らす人たちの暮らしは一変してしまいます。被災した人たちが暮らしを取り戻し、被災地が復興に向けて進むまでのさまざまな支援活動を行うのが「災害ボランティア」です。ここでは、実際に災害ボランティア活動に参加する前に準備しておくことや、活動中に心がけたいマナーやルールなどを紹介します。

被災地での災害ボランティア活動例

未経験の人や、体力に自信のない人ができる活動もある

未経験の人や、体力に自信のない人ができる活動もある

災害ボランティアは、医療や福祉などの有資格者・実務経験者による「専門職ボランティア」と、それ以外の「一般ボランティア」に分けられます。一般ボランティアは特別な知識や資格がなくてもできる範囲の活動を行い、その内容は次のようなものがあります。

  • 被災者に対する支援活動
  • ・炊き出し
    ・室内清掃
    ・支援物資の仕分け・配布
    ・引越しの手伝い
    ・暮らしの手伝い(買い物、家事手伝いなど)
    ・心のケアの手伝い
    ・子どもの遊び相手、託児代行
    ・イベントや交流活動の手伝い
    ・ペットの世話
  • 被災地に対する支援活動
  • ・がれきの撤去・分別
    ・水害の泥だし
    ・地域おこしの手伝い(復興期)

「参加したい!」と思ったら情報収集を

いきなり現地に行くのは厳禁。まずインターネットで最新の情報をチェック!

未経験の人や、体力に自信のない人ができる活動もある

被災地でのボランティア活動に参加するときは、必ず事前に、現地の状況(災害規模、二次災害の危険性)やボランティアの受け入れ先など、最新の情報を確認しましょう。災害発生直後は、消防や自衛隊といった公的機関による人命救助が最優先されるため、ボランティアの受け入れ態勢が整っていません。発生から数日経って、被災地での支援のニーズが見えてくるようになると、被災自治体の社会福祉協議会が災害ボランティアセンター(※下記参照)を開設し、WEBサイトやSNSでボランティア募集などの情報発信を行います。ボランティアの募集状況は各自治体によって異なり、事前登録が必要なケースや、募集範囲を県内・市内在住者に限定するケースもあります。なお、現地の混乱を避けるために被災自治体などに直接電話することは避け、インターネットを中心に情報を収集しましょう。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

「災害ボランティアセンター」について
――被災者とボランティアをつなぐ支援拠点

「災害ボランティアセンター」について――被災者とボランティアをつなぐ支援拠点

災害ボランティアセンターは、災害ボランティア活動を効率よく進めるために、災害時に設置される支援拠点。被災地域の社会福祉協議会が中心となって運営にあたり、個人ボランティアの募集・受付けや、現地の支援ニーズとボランティアのマッチングを行うなど、被災者とボランティアをつなぐ役割を果たしています。

出発前にチェック。必要な準備は?

服装・装備品

服装・装備品

被災地では物資が不足していることが多いため、活動中に必要なものは必ず事前に準備し、現地調達は行わないようにしましょう。また災害の種類や時期、作業内容によって必要な服装・装備品は異なりますので、状況に合ったものを選ぶことも大切です。

  • 災害ボランティアの基本の服装・装備品
  • ・長袖、長ズボン
    ・ヘルメットまたは帽子
    ・作業用ゴーグル(砂ぼこりや破片から目を守る)
    ・防塵マスク
    ・軍手または皮手袋
    ・ゴム手袋(水害時に必要)
    ・長靴と踏み抜き防止用インソール(破片などでケガしないために)
    ・雨具(上下セパレートのレインウエアが動きやすくて便利)
    ・タオル
    ・着替え
    ・常備薬・救急セット
    ・保険証
    ・ボランティア活動保険証明書
    ・飲料(夏場の屋外活動では多めに用意)
    ・食糧

往復の交通手段、宿泊先の確保

往復の交通手段、宿泊先の確保

ボランティアは「自己完結」が基本のため、活動中の食事はもちろん、往復の交通手段や宿泊先も自分で確保する必要があります。被災地では道路の寸断、公共交通機関の不通なども考えられるので、出発前に最新の交通状況やルートチェック。車で向かう場合は、事前に「ボランティア車両証明」を申請し、証明書を提示することで高速道路の無料措置を受けられることもあります。また被災地に近い宿泊施設は混雑が予想されることから、活動場所に通える範囲のエリアで宿泊施設を探すのも一考です。

ボランティア活動保険の加入

ボランティア活動保険の加入

ボランティア活動中の事故などでボランティア本人がケガをしたり、他者に損害を与えたりした場合に備える保険(ボランティア活動保険)があります。保険は年度内有効で、保険料は350~710円です。保険加入には社会福祉協議会への登録が必要ですので、お住まいの地域の社会福祉協議会へ問い合わせましょう。お住まいの地域で事前に手続きを行うことで、自宅から活動場所までの往復の道のりも補償対象となります。

当日のボランティア活動の流れ

(1)災害ボランティアセンターで登録する

(1)災害ボランティアセンターで登録する

活動したい地域の災害ボランティアセンターの受付場所で、ボランティア登録用紙に住所・指名・連絡先などを記入。もしも登録用紙がWEBサイトからダウンロード可能な場合は、あらかじめ記入しておくと流れがスムーズです。またボランティア活動保険に未加入の場合はここで加入します。

(2)出発前の説明を受ける

(2)出発前の説明を受ける

活動するグループに分かれ、グループ内のリーダーを決めます。センターのスタッフから活動目的や内容、活動時の注意点などの説明を受けた後、必要な用具(スコップや地図など)があれば受け取り、徒歩や車両で活動場所へ移動します。

(3)現場でボランティア活動を行う

(3)現場でボランティア活動を行う

現場の被災者や、ボランティア同士がコミュニケーションをとりながら活動します。活動中は安全第一を心がけて、無理をせずに適宜休憩をとり、特に暑い日の作業はこまめに水分を補給しましょう。 ※ボランティア活動中の心構えやマナーについては、この後の「活動中は、こんなことに気をつけて!」で紹介しています。

(4)活動内容を報告して終了

(4)活動内容を報告して終了

活動が終了したら災害ボランティアセンターへ戻り、グループのリーダーがその日の活動内容や気付いた点などをセンターのスタッフに報告。報告を受けたスタッフは、その情報をもとに次の活動に役立てます。使用した用具の洗浄・返却、うがいや手洗いなども忘れずに行いましょう。お疲れさまでした!

活動中は、こんなことに気をつけて!

被災者の気持ちに寄り添い、安全・衛生管理もしっかりと

被災者の気持ちに寄り添い、安全・衛生管理もしっかりと

被災地の復旧・復興の主役はそこに住む人たちであり、災害ボランティアは、被災者の暮らしを取り戻すサポートをする存在です。活動中は常に被災者の気持ちや立場にたって行動し、自分の経験を振りかざしたり、善意を押し付けたりしないように注意しましょう。 また安全・衛生に気をつけて活動することも大事です。ボランティア活動中のケガや事故は、被災地に負担をかけることになってしまいます。自分の体調を見極め、不調を感じたら活動をやめる勇気も必要です。活動が終わったら、うがい・手洗いをして感染症を予防しましょう。

まとめると…まとめると…

被災した人や地域を思う気持ちが大切――事前準備や配慮を忘れずに

被災した人や地域を思う気持ちが大切――事前準備や配慮を忘れずに

災害のたびに災害ボランティアの活動が知られるようになり、2016年の熊本地震や2018年の西日本豪雨でも多くのボランティアが被災地で活動を行いました。被災した人や地域を思う気持ちが復旧・復興の一助となるように、災害ボランティア活動に参加するときは事前準備を行い、被災者に配慮して活動しましょう。