【専門家監修】中古戸建てを購入したい!押さえておきたい注意点は?

2019年12月5日

同じ戸建て住宅でも、新築と中古では購入する際に注意すべきポイントに違いがあります。例えば、中古戸建ての場合、購入してからメンテナンスが必要になる場合もあります。そのため、購入の際は物件の状態をしっかり見ておくことが肝心です。これをはじめとして、中古戸建てには、新築戸建てにはない注意点がいくつかあります。そこで今回は、中古戸建てを購入する際に押さえておきたいポイントについて解説します。

中古戸建てを購入するメリット・デメリット

中古戸建てには、新築にはないメリットがあります。まず、新築戸建てに比べて、中古戸建ては価格が安めです。住宅市場では、一般に新築時から1年を経過しても住宅として使われたことがないものを中古住宅といいます。もちろん、築年数が浅ければ、中古戸建てでも価格の高いものは多くあります。しかし、築30年以上経っているような物件なら、土地の相場価格程度で購入できてしまう中古戸建ても少なくありません。場合によっては、土地の相場価格以下で買えることもあり、こうした価格の安さは新築にはない中古戸建てならではの大きなメリットです。

また、新築戸建ての場合、価格や設備を重視するあまり、立地については目をつぶらなければいけないこともあります。しかし、安心した住環境を実現するためには、住宅の立地は欠かせない要素のひとつです。その点、中古戸建ては立地の選択肢が多く、住む前から周りの環境を考慮して家探しをすることができます。新築に比べて好立地を選びやすく、自分のライフスタイルに合ったエリアに住める可能性も高いです。もちろん、既に建てられている住宅から選ぶことになるので、実際に物件や周辺環境の様子を見たうえで購入の判断ができるのも中古戸建てのメリットです。

一方、中古戸建ては、設備面ではどうしても新築に後れを取ります。一昔前の設備であることも多く、場合によっては修繕や更新が必要になることも珍しくありません。古い中古戸建てを購入した場合は、購入後にリフォーム費用を捻出しなければいけないこともあり、物件の価格自体は安くても結局お金がかかってしまうというデメリットがあります。また、築年数の古い物件のなかには、古い耐震基準で建てられているものもあります。耐震強度を高める工事をすれば費用がかかりますし、そのまま暮らすとしても地震が多い日本ではやはり不安です。中古戸建てには、こうしたデメリットがあることもしっかり認識しておく必要があります。

中古戸建てを探すときの注意点

中古戸建てを探す際は、やはり設備面での不安をしっかり解消してから決めることが大切です。少し見ただけでは設備面の不備や欠陥がわからないこともあるため、中古戸建てを探すときは焦らず多くの物件をチェックして比較するのが鉄則となります。仲介業者によっては、営業成績のために契約を急かす場合もあります。購入するかどうか決める際は、相手の口車に乗らず、自分が納得するまでじっくり考えたうえで最終的な決定を下すようにしましょう。

もちろん、自分の条件に合致するところもあれば、少し妥協しなければいけない部分も出てくるかもしれません。じっくり考えてから決めるのは大切ではありますが、人気の物件はすぐに契約が決まってしまうこともあります。慎重に事を進めながら、決めるときはきっぱり決めることも大切です。事前に希望条件をある程度まとめておくと、迷ったときにも判断がしやすくなるので、時間をかけ準備してから臨むのもひとつの手でしょう。

建物には耐用年数というものがあります。税法や会計上その建物が使える年数が決められているのです。例えば、木造住宅の耐用年数は税法上22年、価格査定では25年として計算されることが多くあります。ただ耐用年数とは一律・便宜的に決められた年数であくまで参考に過ぎず、それがそのまま住宅の寿命を表すわけではない点には注意が必要です。建物の環境や条件によって、耐用年数を過ぎた物件でもまだまだ利用できる場合もあります。そのため、築年数や耐用年数だけを見て省いてしまうのではなく、その住宅の状態がどの程度のものなのか、またどういう経緯で建てられたのかなど、建物の環境や条件を鑑みたうえで状態を観察することが重要です。

中古戸建ての購入を決める際の注意点

情報収集して気になる物件が見つかったら、実際に現地へ出向いて自分の目で状態を確認するようにしましょう。自分の目で確かめることで、情報だけではわからなかったことにも気付くことができます。物件を観察する際は、まず建物の外観をチェックしましょう。屋根や軒裏、外壁、基礎部分など、状態に問題がある物件は誰が見てもすぐわかります。また、建物だけでなく、周辺を歩いて環境をチェックすることも忘れないようにしましょう。

外観や周辺のチェックが済んだら、建物の中もくまなく調べていきます。特に築30年以上経っている物件は、見えないところに欠陥が潜んでいることも少なくありません。傾きがないか、シロアリなどの被害が出ていないか、雨漏りをしていないかなど、隅々まで漏らさずチェックしていきましょう。ただし、どれほど熱心に観察していても、素人の目ではどうしても見逃してしまう欠陥もあります。ですから、購入を決める前に、プロに依頼して建物状況調査(インスペクション)してもらうとより安心です。インスペクションをする場合、仲介をお願いしている不動産会社に相談すれば、建築士などを紹介してくれるようになっています。

中古戸建ての契約における注意点

いざ購入する物件を決めて、契約する運びとなったら、契約前に「重要事項説明」というものを受けることになります。重要事項説明では、不動産や法令などの重要な説明がされます。内容も多く、その場ですべてを理解するのは難しいかもしれません。そのため、可能であれば事前に写しをもらって、大雑把にでも内容を把握しておけば、重要事項説明の際に疑問点を質問することができます。

また、中古住宅の購入には、物件に欠陥があった場合の取り決めがあらかじめされています。売主が欠陥の責任を負って修理や賠償を行わなければならないことを瑕疵担保責任といい、万が一、購入後に住宅に欠陥が見つかった場合、この瑕疵担保責任の内容に従って解決されるのが通常です。中古戸建てでは、住んでみてから欠陥が見つかることも決して珍しくないため、補償に関してどのような取り決めになっているのか瑕疵担保責任条項をきちんと確認しておくことが重要です。

瑕疵担保責任は必ずしも無制限に補償することを約束するものではありません。補償してもらえるのは一定期間のみということが多いですし、場合によっては、「瑕疵担保責任を免除する」という特約が付いているケースもあります。それだけに、購入してから後悔しないためにも契約時に瑕疵担保責任がどのように設定されているかを忘れず確認して説明を受けるようにしましょう。

中古戸建ての費用に関する注意点

住宅を購入する際、必要になる費用は住宅自体の購入代金だけではありません。まず、売主と買主の間に仲介業者がいる場合は、仲介業者に対する手数料を支払う必要があります。仲介手数料は、ほとんどの場合「(売買代金×3%+6万円)+消費税」が上限金額と法律で決まっています。

また、契約に際しては、その他の諸費用もかかってきます。印紙税や登記費用、ローンの借入手数料、各種保険料などです。それから、不動産を取得すれば、固定資産税や都市計画税といった税金もかかります。こうした費用は、売主へ日割りで支払う場合もあるので注意が必要です。また、新築戸建てで適用される税制面の各種優遇措置が中古戸建てでは適用されなかったり、適用されるとしても少額だったりします。

もちろん、設備面での古さが気になるなら、購入後にリフォームすることもあります。中古戸建てでは、リフォーム費用も住宅の購入費用の一部だと考えるのが一般的です。このように、中古戸建ての購入は、住宅自体のみならず、諸費用や税金、さらにはリフォーム費用など、さまざまな部分でお金がかかってきます。ですから、住宅ローンで購入後のリフォームまでまかなえるかといった点を確認し、しっかりと資金計画を立てる必要があります。

注意点に気を付けて中古戸建てを購入しよう

中古戸建てを購入する際は、物件を探す段階から契約時、さらには入居後のリフォームまで、さまざまな注意点があります。瑕疵担保責任の有無など、トラブルになりやすい契約上の問題も多いため、重要項目をしっかり確認してから契約することが大切です。こうした確認をきちんとしていれば、希望に合った物件を手に入れることも決して夢ではありません。職人不足や建築費高騰などで新築戸建ての価格が上昇傾向にある今、ここで紹介した注意点に気を付けて、理想の中古戸建ての購入を検討してみてはいかがでしょうか?

執筆者プロフィール

中山 聡
中山 聡

中山 聡(一級建築士、不動産鑑定士)
東京大学医学部を卒業後、三井住友信託銀行、近畿大学工学部、株式会社アイディーユー、早稲田大学大学院ファイナンス研究科招聘研究員、チームラボ株式会社等を経て、現在、わくわく法人rea東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社代表取締役。執筆・著書に、『新訂 闘う!空き家術(プラチナ出版)』『空き家管理ビジネスがわかる本(同文館出版DO BOOKS)』『ビジネス図解 不動産のしくみがわかる本(同)』などがある。


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