【専門家監修】築年数だけで決めるのは危険!?中古住宅の賢い選び方

2020年3月8日

中古住宅の購入の際にはできるだけ価値が高く、寿命が長い物件を選びたいものです。築年数が少ないほうが価値は高く、寿命も長いだろうと考える人は多いでしょう。しかし、持ち主次第では築年数以上の劣化があったり、逆に築年数より劣化が少なかったりします。また、耐用年数は減価償却の尺度であるため、建物の寿命を表すものではありません。この記事では、どのように中古住宅の価値を判断すればいいのかについて紹介します。

中古住宅を選ぶメリットやデメリットは?

中古住宅を選ぶメリットはいくつかありますが、購入価格が安い点を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。同じ土地であっても新築であればその分、価格は高くなりがちなので、住みたい地域があった場合、あえて中古住宅を選ぶという方法もあります。建物自体の購入価格が安い分、リフォームする費用にまわすことも可能です。リフォームで自分好みの家にすることもできるのは、大きな魅力となります。また、建物がすでに建っているので、周囲の家の雰囲気や周囲の環境を見て購入を考えられるのもメリットです。長く住むことを考えたとき、周囲の環境や雰囲気は非常に重要なポイントになります。さらに、土地があまりあるときに建てられた住宅だった場合、立地条件が良いケースも多いです。
しかし、築年数が長い場合、構造上の劣化から問題発生することがあります。劣化が激しい箇所があるときにはリフォームが必須となりますが、費用が高額になると結局新築住宅の購入と変わらない出費になる場合があります。古い物件ではバリアフリーの設備がされてないことも多いですし、築20年以上の物件は住宅ローンを組めないケースもあるので注意が必要です。

物件の賢い選び方 基本編

ここでは戸建てやマンション問わず、どのような点をチェックすべきかについて紹介します。

・床や柱の傾き

床も柱も傾きがないかは要チェックです。床はボールなどを置いて転がり方を見たり、柱は重りがついた糸をたらすことで傾きがどれくらいあるかを調べたりすることができます。
・給排水設備の問題
生活する上で重要な給排水設備も大切なチェックポイントです。水道は可能であればサビ水がでないかをチェックし、必要であれば水道管の清掃や取り換え、修繕予定はあるのかを確認します。風呂や洗面台・キッチンなどは水を流して排水が勢いよくされるかを確認しましょう。必要であれば、水道管同様に修繕計画の有無を確認しておくほうが良いです。

・天井の雨漏りのシミや壁のひび割れ

天井や壁などにひび割れはないか、雨漏りのシミはないかも大切なチェックポイントです。雨漏りが原因でカビがはえ、健康被害がでる可能性もあるため、雨漏りのシミやひび割れがあった場合は修繕する予定があるかを確認しておきたいところです。天井裏や家具の後ろなども可能であれば確認しましょう。
・シロアリ被害
シロアリ被害がでない築年数のラインは築10年前後だといわれていますが、築5年以上であればチェックしておいたほうが安心です。新築時にシロアリ防除の保証がついていることもありますが、その期間は5年となっています。もし、築5年以上で売りにだされていた場合はシロアリ防除を新たに行っていないケースがあるのです。天井に雨漏りのシミがあったり、外壁に蟻道ができていたりするなどシロアリがいる特徴がないかを調べましょう。

・天井は低すぎないか?

天井が低すぎる住宅は、生活していると圧迫感を感じることが多いです。梁も圧迫感がないかをチェックしましょう。

・壁や床の厚みと防音対策されているか?

壁や床が薄過ぎると生活音が漏れやすくなったり、ほかの家からの音が聞こえやすくなったりします。防音対策がきちんとされているほうが安心です。たとえば、床の場合は防音フローリングなどがあります。
・換気扇が壊れてないか?
キッチンで料理をする際や換気する際に換気扇が壊れているのは困るので、実際にまわして空気の流れを確認します。

・リフォームの制約がないか?

中古住宅ということもあり、リフォームの必要がでてくる場合があります。そのとき、制約があると思ったようにリフォームできません。そのため、どういうリフォームまで許可されているのかをチェックしておくことは重要です。
・旧耐震基準で建てられていないか?
1981年以前の旧耐震基準で建てられていても、耐震診断や補強して対策していれば安心して住むことはできます。新耐震基準に合う補強がされているかどうかがチェックポイントです。
・瑕疵担保責任の所在
瑕疵担保責任はとても重要なものなので、所在をきちんと確認しておきましょう。

物件の賢い選び方 マンション編

こちらでは、マンションを購入する際に注意すべきポイントを紹介します。

・ひと棟全体の大規模修繕や改修工事をすることがあるか

大規模修繕などが必要な場合、入居したばかりなのに費用の集金をされる可能性があります。これまでの修繕履歴書があるかを確認し、修繕が必要だった際に速やかに行われているかを見てみましょう。
・長期修繕計画が25年以上策定されているか?
25年以上の長期修繕計画の策定がされているかは必ずチェックすべき点です。その際、修繕積立金が十分残っているかについても確認します。

・共用部分の管理状態

マンションの共用部分の清掃などをきちんとしているか・掲示板の内容が充実しているかなどはチェックポイントです。管理人や住人のマンションに対する美化の意識を知ることができるからです。また、掲示板を見れば、住人同士の交流について知ることができます。たとえば、マンションのイベントやサークル活動などがある場合、交流が活発であるといえます。

ホームインスペクション利用のすすめ

さまざまなチェックポイントはあるものの、すべてを細かくチェックすることは非常に大変です。また、チェックしたつもりでも抜け漏れする可能性もあります。そういったときに役立つのが、住宅の状態をチェックしてくれる「ホームインスペクション」です。申し込み後に申込金を支払った後、すぐに実施するのがおすすめです。申込金を支払っておくことで、調べている間にその物件をほかの人が契約する可能性がなくなります。契約した後では、住宅の診断結果が芳しくなかった場合にキャンセルしにくいです。しかし、ホームインスペクションを利用することで、診断結果から資金計画を立てやすくなります。
間取図など、住宅に関する資料を前もって用意しておくとスムーズにすすめることができます。ただ、資料がなかったとしても、ホームインスペクションを利用することは可能です。

瑕疵担保責任の期間も要チェック

「瑕疵担保責任」は、購入契約後にキズや欠陥が発覚した場合、たとえ、それに売主が気づいてなかったとしても責任を持ってもらえる期間のことです。つまり、「瑕疵担保責任」の期間中であれば、修繕に関して売主と購入者の間でトラブルが起きにくくなります。民法では、購入者が欠陥に気づいて1年以内であれば損害賠償請求や契約解除が可能と定められています。もし、売主が不動産会社の場合は「宅地建物取引業法」によって不動産会社が最低2年間責任を負い、売主が個人の場合は売主と購入者の交渉で期間が決められます。
2020年4月1日施行の民法改正によって、「瑕疵担保責任」は名称や責任の範囲が変更となります。新しい名称は「契約不適合責任」です。契約時期が民法改正後ならば、不動産業者に説明してもらうほうが安心です。

冷静かつ客観的な判断で失敗しない買い物を

中古住宅の購入の際には築年数などだけではなく、客観的に判断された建物の価値も見ることが大切です。自分でチェックするだけではなく、細かに見るべきポイントを確認してもらえるサービスを利用してみるのも良いのではないでしょうか。瑕疵担保責任の期間も重要なので、きちんと確認しておくほうが良いです。トラブルなく、納得ができる購入を目指しましょう。

執筆者プロフィール

小林 弘司
小林 弘司

小林 弘司(不動産コンサルタント)
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)です。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問なども行っています。


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