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2015年5月21日 更新

高齢者介護サービスについて知りたい!

高齢者介護サービスとは 現在の日本は、4人に1人が65歳以上という超高齢社会。高齢者が老後を安心して暮らすためには、介護による体と心のケアが欠かせません。
ひと昔前の介護は「家族ぐるみで行うもの」というイメージが強かったのですが、少子高齢化や核家族化といった社会環境の変化により、介護が必要になった高齢者と同居していたり近隣に住んでいる人、または長男・長女の負担が大きいケースや、介護をする人も高齢であるという老老介護のケースなども見られます。
高齢者介護サービスは、介護が必要になった高齢者と介護をする人の暮らしを支えるものです。2000年にスタートした介護保険制度をはじめ、行政や民間による数々のサポート体制が整備されています。

こんな人におすすめです!

  • 身内の介護にかかわるすべての人
  • 少人数や1人で介護をしている人
  • 介護が必要となった親が遠方に住んでいる人
  • 仕事をしながら介護をする人
  • 老老介護を行っている人           ……など

「高齢者介護は大変……」その理由は

介護は、必要とされるケアの内容も、期間も、人によってそれぞれ異なります。そのため子育てなどと比べると先が見えにくく、介護をする人が今までどおりの生活や仕事を続けることを困難と感じるケースも少なくありません。
加えて、介護という初めての経験に対する戸惑い、頑張っても成果が見えにくいストレスなどが積み重なって、「介護疲れ」「介護うつ」といった状態になることがあります。
介護の問題を個人や家族だけで抱え込まず、できる限り公的なものや民間のサービスを利用して乗り切ることが大切なのです。

「介護保険」は高齢者介護の心強い味方

介護が必要になった高齢者も、介護をする人も、上手に活用したいのが「介護保険」です。
介護保険とは、現在40歳以上のすべての人が加入を義務付けられている社会保障制度で、65歳以上になると個々の健康状態に合わせて「一般高齢者」「特定高齢者」「要支援高齢者」「要介護高齢者」の4つのタイプに分類されます。このうち、介護保険サービスの対象となるのは「要支援高齢者」「要介護高齢者」です。
※40~64歳であっても、特定の病気にかかっていてお住まいの市町村から「要介護」または「要支援」の認定を受けた人は介護保険サービスを受けることができます。

65歳以上の高齢者の4つの分類

一般高齢者

介護を必要としない元気な高齢者。
介護保険サービスの対象ではないものの、市町村が独自に行っている地域支援事業の介護予防プログラムを利用できます

特定高齢者

今のところ介護は必要ではありませんが、健康状態が低下すると要支援・要介護になる可能性がある虚弱な高齢者。
一般高齢者同様、介護保険サービスの対象ではないものの、市町村が独自に行っている地域支援事業の介護予防プログラムを利用できます

要支援高齢者

介護予防が必要な高齢者。
介護保険の「介護予防サービス(予防給付)」を、サービス利用料の1割負担で受けられます

要介護高齢者

介護を必要とする高齢者。
介護保険の「介護サービス(介護給付)」を、サービス利用料の1割負担で受けられます

介護保険のサービスの対象となる「要支援高齢者」「要介護高齢者」は、心身の状態などからさらに「要介護度」と呼ばれる詳細なレベルに分類されます。要介護度に応じてサービスの利用限度額が設定されており、その限度額以内であれば自己負担額は1割ですが、限度額をオーバーした分は全額自己負担となります。

要介護度と利用限度額

要介護度 判断の目安 利用限度額 自己負担額
(1割負担)
要支援 1 日常生活の動作(食事・入浴・排泄など)はほぼ自力で行えるが、一部で他者の介助が必要とされる 4万9,700円 4,970円
要支援 2 日常生活の動作(食事・入浴・排泄など)は自力で行えるものもあるが、部分的に他者の介護が必要とされる 10万4,000円 1万400円
要介護 1 日常生活の動作(食事・入浴・排泄など)に若干の介護が必要で、病気などにより心身の状態が不安定である 16万5,800円 1万6,580円
要介護 2 日常生活の動作(食事・入浴・排泄など)の一部または全体で他者の介助が必要。徘徊や介護拒否、理解力の低下が見られることがある 19万4,800円 1万9,480円
要介護 3 日常生活の動作(食事・入浴・排泄など)が自力で行えないため、他者による中度の介助が必要。徘徊や介護拒否、理解力の低下が見られる 26万7,500円 2万6,750円
要介護 4 日常生活の動作(食事・入浴・排泄など)、複雑な動作に加え、移動なども自力で行えないため、他者による重度の介助が必要。徘徊や介護拒否、理解力の低下が見られる 30万6,000円 3万600円
要介護 5 日常生活の動作(食事・入浴・排泄など)、複雑な動作、移動なども自力で行えず、生活が困難であるため他者による最重度の介助が必要。徘徊や介護拒否、理解力の低下が見られる 35万8,300円 3万5,830円

「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」

介護が必要になった高齢者が受けられる「介護サービス(介護給付)」には、住み慣れた自宅で暮らしながら利用する「在宅介護サービス」と、高齢者施設に入居する「施設介護サービス」の2つがあります。どちらもサービスごとの特徴をよく把握して、利用限度額内で個々の状況に応じたサービスを選んでいくようにしましょう。

在宅介護サービス
①訪問系サービス

ホームヘルパーや看護師が自宅を定期的に訪問して、日常生活を送るために必要なサービスを提供します。介護にかかわる家族の負担を減らし、高齢者ができるだけ自立した生活を送ることを目指します。

主な種類

訪問介護(ホームヘルプ)

ホームヘルパーが食事・入浴・排泄などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援をします。通院付き添いなどのサービスを行う事業所もあります。
(利用できる要介護度/要支援1・2(※)、要介護1~5)
※要支援高齢者を対象とした訪問介護(ホームヘルプ)は、2015年4月より市町村の「地域支援事業」に段階的に移行されます。

訪問入浴

介護職員などが介護用の特殊浴槽を持参して、入浴の介護を行います。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

訪問看護

在宅療養中の高齢者に、看護師などが医師の指示に基づいて療養上のお世話や健康状態のアドバイスなどを行います。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

訪問リハビリテーション

理学療法士などが機能訓練や自立に向けたリハビリテーションを行います。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

②通所系サービス

介護を受ける高齢者が日中施設などに通い、そこで日常生活を送るために必要な日帰りのサービスを受けます。心身に不調があると自宅にこもりがちになりますが、施設に通うことで孤立感を解消し、身体機能の維持回復を目指します。

主な種類

通所介護(デイサービス)

食事や入浴などの日常生活の支援が中心です。リハビリや重度化防止を兼ねたレクリエーションなどもあります。
(利用できる要介護度/要支援1・2(※)、要介護1~5)
※要支援高齢者を対象とした通所介護(デイサービス)は、2015年4月より市町村の「地域支援事業」に段階的に移行されます。

通所リハビリテーション(デイケア)

食事や入浴などの日常生活の支援のほかに、医師の指示に基づいたリハビリテーションや療養も行います。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

③短期入所サービス

介護を受ける高齢者が一時的に自宅での生活が困難になった場合、短期間だけ施設に泊まり、介護サービスを受けます。介護をする家族の介護疲れを解消するのにも効果的です。

主な種類

短期入所生活介護(ショートステイ)

食事や入浴などの日常生活の支援が中心です。リハビリや重度化防止を兼ねたレクリエーションなどもあります
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

短期入所療養介護

食事や入浴などの日常生活の支援のほかに、医師の指示に基づいたリハビリテーションや療養も行います
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

④住環境の改善サービス

介護を受ける高齢者が安心して暮らせるように自宅の介護環境を整える際、福祉用具のレンタルを行ったり、福祉用具の購入費などを負担するサービスです。

主な種類

福祉用具貸与

手すりやスロープ、床ずれ防止用具、歩行器など、なるべく自宅で自立した日常生活を送ることを目的とした福祉用具のレンタルサービス。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

特定福祉用具の販売

入浴補助用具やポータブル式トイレなどの入浴や排泄に用いる福祉用品はレンタルになじまないため、このような商品の購入費の9割を負担します(同一年度で購入できるのは10万円までで、この場合9万円が介護保険から払い戻されます)。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

⑤地域密着型サービス

介護を受ける高齢者が、住み慣れた地域で暮らしていくために必要なサービスです。地域密着型サービスは、お住まいの市町村にある事業所や施設のサービスしか利用することができません。

主な種類

夜間対応型訪問介護

夜間(18~8時)にホームヘルパーや介護福祉士が自宅を定期的に訪問し、日常生活を送るために必要なサービスを行う「定期巡回」と、夜間に突然体調が悪化した時などにホームヘルパーが駆けつけて介助などを行う「随時対応」があります。
(利用できる要介護度/要介護1~5)

小規模多機能型居宅介護

介護が必要になった高齢者が、状況に応じて施設に通ったり短期間の宿泊をしたりするほか、自宅への訪問を受けるなどして日常生活を送るために必要なサービスを受けます。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

認知症対応型通所介護

軽度の認知症状のある高齢者が日中施設に通い、日常生活の介助や機能訓練、レクリエーションなどのサービスを受けます。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

5~9人程度の軽度の認知症状のある高齢者が介護スタッフとともに共同生活し、日常生活の介護や機能訓練、レクリエーションなどのサービスを受けます。
(利用できる要介護度/要支援1・2、要介護1~5)

施設介護サービス
①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

寝たきりや認知症などで常に介護を必要としていても、在宅で介護が受けられない高齢者を対象とした施設。「特別養護老人ホーム」や「特養」などの略称で呼ばれています。入居者は食事や入浴、排泄など日常生活の介護や機能訓練などのサービスを受けます。
(利用できる要介護度/要介護1~5)

②介護老人保健施設

健康状態に若干の不安があるけれど、ゆくゆくは在宅復帰を目指している高齢者が入居する施設で、「老健」などの略称で呼ばれています。入居者は日常生活の介護や機能訓練などのサービスを受け、3カ月ごとに行われる健康状態のチェックにより入居継続の是非が判断されます。
(利用できる要介護度/要介護1~5)

③介護療養型医療施設

療養型病床とも呼ばれており、長期療養が必要な高齢者を入院させるための医療施設です。介護療養型医療施設は2011年度末での廃止が予定されていましたが、入居者の受け入れ先が見つからないなど環境整備の遅れから2017年度末まで廃止が延期されています。
(利用できる要介護度/要介護1~5)

介護保険サービス利用までの流れ

上記の介護保険サービスを利用するためには、「要介護認定」の申請をして要介護度の判定を受け、介護を受ける高齢者の個々の状況に沿ったケアプランを作成する必要があります。
具体的な流れは下記を参照してください。

①申請

お住まいの市町村の介護保険担当の窓口や、地域包括支援センターに問い合わせて「要介護認定」の申請をします。

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②訪問調査

市町村の担当職員が自宅を訪問し、申請を行った高齢者の心身の状態などを調査します。
また、主治医が医学的な見地から病気の状態などをまとめた意見書を報告し、総合的に要介護度を判定します。

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③介護認定とケアプランの作成

要介護認定が出るのは申請から最大で1ヶ月近くかかることもあります。

非該当(一般高齢者・特定高齢者)

介護が不必要とされた場合は介護保険を利用することができませんが、市町村が独自に行っている地域支援事業の介護予防プログラムを利用できます。

要支援1・2(要支援高齢者)

「介護予防サービス(予防給付)」を受けることができます。
具体的な介護予防ケアプランは、地域包括支援センターの保健師などが高齢者の心身の状態を調べた上で作成します。

要介護1~5(要介護高齢者)

「介護サービス(介護給付)」を受けることができます。
具体的な介護ケアプランは、居宅介護支援事業者のケアマネジャーが高齢者の心身の状態を調べたうえで作成します。

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④サービスの利用開始

要介護認定には更新時期があり、期限が切れる前に更新の手続きをしなければなりません。 更新の申請は、期限の60日前から行うことができます。