食生活を改善!おいしく食べて健康になる

栄養素ってどんなもの?

2019年9月2日 更新
栄養素ってどんなもの?

「栄養素」とは、食品に含まれる体に必要な成分のこと。私たち人間は、生まれた時から死ぬまで、食事から栄養素をとり続けることで生命活動を維持しています。

主な栄養素の種類と働き

体にとって特に重要な成分であるたんぱく質・脂質・炭水化物を「3大栄養素」といい、さらにビタミン・ミネラルを加えたものを「5大栄養素」といいます。
これらの栄養素のどれか1つでも欠けると健康が損なわれてしまいます。
※各栄養素の1日の摂取推奨量の「成人」は18~69歳の年齢層です。

◎3大栄養素と5大栄養素
3大栄養素と5大栄養素

たんぱく質「筋肉や内臓など体をつくる成分」

多く含まれる食品/肉、卵、魚、牛乳・乳製品、大豆製品、穀類、ナッツ類など
1日の摂取目安/総摂取カロリーの20%

たんぱく質「筋肉や内臓など体をつくる成分」

たんぱく質は約20種類のアミノ酸が結合したもので、体内で分解と合成を繰り返して筋肉や内臓、皮膚、爪、髪などをつくったり、代謝に必要な酵素をつくりだしたりしています。
動物性と植物性の2つがあり、動物性たんぱく質は肉、魚、乳製品などに、植物性たんぱく質は大豆製品、穀類などに多く含まれています。動物性と植物性ではアミノ酸の種類や量が異なるため、どちらのたんぱく質もバランスよくとるようにしましょう。

脂質「エネルギー量は3大栄養素の中でトップ」

多く含まれる食品/植物油、バター、ナッツ類など
1日の摂取目安/総摂取カロリーの20~30%

脂質「エネルギー量は3大栄養素の中でトップ」

脂肪や油脂に含まれる脂質は、体内で酸化を受けて1gあたり9キロカロリーのエネルギーを生みだします。糖質やたんぱく質では4キロカロリーですから、脂質のエネルギー量は非常に効率がよいことが分かります。
また、脂質は細胞膜やホルモンをつくる成分になるほか、ビタミンA、D、E、Kの脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもあります。
ただ、とりすぎると肥満になりやすく、生活習慣病のリスクも高まるので、過剰な摂取は控えましょう。

炭水化物「体や脳を動かす主要なエネルギー源」

多く含まれる食品/糖質…穀類、いも類、砂糖など
食物繊維…穀類、いも類、大豆製品、野菜、果物、海藻類など
1日の摂取目安/総摂取カロリーの50~70%

炭水化物「体や脳を動かす主要なエネルギー源」

炭水化物とは「糖質」と「食物繊維」の総称です。このうち糖質は体内で素早く消化吸収され、1gあたり4キロカロリーのエネルギーになります。特に脳や神経系では、単糖類のグルコース(ブドウ糖)が唯一のエネルギー源であるため、糖質が不足すると頭の働きが鈍くなってしまいます。
もう一方の食物繊維は人の消化酵素ではほとんど分解・吸収されないためエネルギーにはなりませんが、便通を整える、コレステロールを下げる、血糖値の急激な上昇を抑えるといった機能があることが分かっています。

ビタミン「体の調子を整えるために欠かせない栄養素」

ビタミン「体の調子を整えるために欠かせない栄養素」

ビタミンには体のさまざまな生理機能に働きかけたり、エネルギーの代謝にかかわったりして健康を維持する働きがあります。
全部で13種類あり、油に溶けやすい脂溶性ビタミン(A、D、E、K)と、水に溶けやすい水溶性ビタミン(B1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、B12、ビオチン、ビタミンC)に分けられます。脂溶性ビタミンは体内に長くとどまる性質がありますが、水溶性ビタミンはたくさんとってもすぐに排泄されてしまうため、定期的に必要量をとることが大切です。

ミネラル「体の組織づくりや生理機能の調節に役立つ」

ミネラル「体の組織づくりや生理機能の調節に役立つ」

人間の体内には約60種類の元素が存在していますが、このうち酸素・炭素・水素・窒素を除いた元素をミネラル(無機質)といいます。
生命や健康の維持のために、厚生労働省が摂取基準を定めているミネラルは13種類。骨や歯をつくり、維持する(カルシウム、マグネシウム、リンなど)、体液のバランスを保つ(ナトリウム、カリウムなど)、代謝調節にかかわる(マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ヨウ素など)といった働きがあります。

意識してとりたいビタミンとミネラルは?

意識してとりたいビタミンとミネラルは?

ビタミンやミネラルは、3大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)のように体を動かすエネルギーにはなりませんが、体のいろいろな機能を調節する役割があります。
けれども「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、以下のビタミンやミネラルが不足している傾向がみられます。ビタミンもミネラルも体内で必要とされる量はごくわずかですが、体内でつくることがほとんどできないため、これらの栄養素を食事で積極的にとるようにしましょう。

ビタミン

ビタミンA「体の組織づくりや生理機能の調節に役立つ」

多く含まれる食品/レバー(鶏、豚)、ウナギ、緑黄色野菜など
1日の摂取推奨量(成人)/男性850~900㎍RAE、女性650~700㎍RAE

ビタミンA「体の組織づくりや生理機能の調節に役立つ」

肉や魚のレバー(肝臓)に多く含まれるレチノール、にんじんなど緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンが、体内でビタミンAとして働きます。 皮膚や粘膜に働きかけて感染を防ぐ、目の健康を保つといった働きがあり、β-カロテンには抗酸化作用もあります。ビタミンAは脂溶性のため、炒め料理などで油と一緒にとることで吸収が高まります。

ビタミンD「骨や歯の健康を維持する」

多く含まれる食品/魚(鮭、サンマイワシなど)、きくらげなど
1日の摂取推奨量(成人)/男性5.5㎍RAE、女性5.5㎍RAE

ビタミンD「骨や歯の健康を維持する」

カルシウムとリンの吸収を高め、骨や歯の健康を保つ働きがあります。
ビタミンDが不足すると骨がもろくなり、骨軟化症や骨粗しょう症のリスクが増加します。ビタミンDとカルシウムと一緒に食べることで、丈夫な骨づくりに役立てましょう。油に溶けやすい脂溶性ビタミンなので、炒めたり、ゴマやピーナッツを加えたりすると吸収率がアップします。

ビタミンB2「糖質や脂質を体内でエネルギーに代える」

多く含まれる食品/レバー(豚、牛)、ウナギ、カレイなど
1日の摂取推奨量(成人)/男性1.5~1.6mg、女性1.1~1.2mg

ビタミンB2「糖質や脂質を体内でエネルギーに代える」

ビタミンB2は、体内で糖質や脂質の代謝を助け、エネルギーに代える補酵素の働きをします。たくさん運動をする人などはエネルギー消費も大きいため、よりビタミンB2が必要です。
また、皮膚や粘膜の健康維持にもかかわっており、不足すると口内炎や目の炎症などの症状が出ます。
水溶性のビタミンB2は煮汁や茹で汁に溶けだしやすいため、焼くか、煮汁ごと利用するなどして栄養をあますことなくいただきましょう。

ビタミンC「コラーゲンを生成して美肌に役立つ」

多く含まれる食品/赤ピーマン、ブロッコリー、じゃがいもなど
1日の摂取推奨量(成人)/男性100mg、女性100mg

ビタミンC「コラーゲンを生成して美肌に役立つ」

皮膚の細胞と細胞をつなぐコラーゲンの生成に欠かせないビタミンで、肌のシミやシワを防ぐ「美容ビタミン」です。不足すると肌が荒れたり、歯茎から出血しやすくなったりします。
ビタミンCは水に溶けやすく熱にも弱いので、サラダにして生食するか、さっと茹でるだけの調理法がおすすめです。

ミネラル

カルシウム「骨や歯をつくり、イライラを鎮める」

多く含まれる食品/魚介類(ドジョウ、干しエビ、イワシなど)、牛乳など
1日の摂取推奨量(成人)/男性650~800mg、女性650mg

カルシウム「骨や歯をつくり、イライラを鎮める」

体内にあるカルシウムは、その99%が骨や歯などに、残りの1%は血液や筋肉に含まれています。
カルシウムは骨や歯をつくり、維持する働きや、神経や筋肉の機能を調節する働きがあります。そのため、不足すると骨や歯がもろくなるほか、ちょっとしたことでイライラしやすくなります。
体内に吸収されにくいため、カルシウムの吸収を助けるビタミンDと一緒にとりましょう。乳製品のカルシウムは、魚介類と比べて吸収率がいいとされています。

鉄「体のすみずみに酸素を届ける運搬役」

多く含まれる食品/レバー(豚)、貝類(アサリ、シジミなど)、小松菜、卵など1日の摂取推奨量(成人)/男性7.0~7.5mg、女性6.0~6.5g※月経時は10.5g

鉄「体のすみずみに酸素を届ける運搬役」

体内にある鉄の65%は赤血球のヘモグロビンと結びつき、酸素を全身の細胞へ運ぶ働きをします。鉄が不足すると細胞が酸素不足を起こし、鉄欠乏性貧血や疲労倦怠感、めまいなどにつながります。
動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があり、ヘム鉄は非ヘム鉄の約5倍もの吸収率があります。また、非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収が高まります。