2016年4月7日 更新
テレビや新聞などで報道されている空き家トラブルは、所有者になんらかの事情があって管理が不十分な空き家に多く発生します。
空き家を放置すると、具体的にどのようなトラブルが起こるのでしょうか。
管理が不十分な空き家が招くトラブルは……
- 災害リスクが高まる
通常、建物は人が出入りすることによって自然に通気や換気が行われます。けれども人の出入りがない空き家は湿気がこもって腐食、カビなどで劣化が進み、傾きやゆがみが起こりやすくなります。さらに台風や地震による建物の倒壊や破損した外壁の落下、建物の周囲に散らばったがれきの火災など、さまざまな災害につながるおそれがあります。
建物の劣化が軽度ならメンテナンスや修繕などで対処できますが、土台・基礎まで劣化が進んでいると、リフォームや解体を検討しなければなりません。
- 犯罪リスクが高まる
無人で監視の目が届かない空き家は、不審者にとって格好のターゲットになります。特に空き家に布団などの生活用品や家具が残っている場合は要注意。いつの間にか不審者が寝泊まりをしていて、たまたま見回りに来た所有者と鉢合わせ……という可能性もゼロではありません。
また、敷地内へのごみの不法投棄や、雑草やがれきへの放火などの犯罪を誘発し、近隣の治安悪化につながります。
- 害獣、害虫の発生
空き家に集まるのは不審者だけではありません。破損した屋根や外壁などから野良猫やネズミなどが住みついたり、蚊やハエ、ノミなどさまざまな動物や虫のたまり場となり、衛生環境が悪化します。また、シロアリによる建物の浸食(蟻害)やスズメバチの巣などは、その住宅に住んでいればすぐに気付いて駆除できますが、空き家だとわかりづらく、所有者が気付いた時には被害が進んで手遅れになることも。
- 景観の悪化
ぼろぼろに朽ち果てた建物、伸びきった雑草、落書きや破損が目立つ外壁など、長年放置された空き家とわかる建物は景観にも影響を及ぼします。空き家が多い地域は「荒れている」「治安が悪い」といったイメージがつきやすくなり、地価が下がってしまうこともあります。
- その他
上記で取り上げたトラブルは、住宅の価値を下げるだけではなく、近隣住民にとっても不安の種となっています。
空き家トラブルを引き起こさないためには、所有者が「空き家をきちんと管理すること」が第一ですが、所有者にやむをえない事情などがあって空き家に目が届かず、中にはトラブルが起きていることさえ気づいていないケースもあります。
けれどもどんな住宅も年月とともに劣化するものですし、空き家であればさらに劣化のスピードは速まります。劣化が進めば進むほど修繕やリフォームにかかる費用がかさみ、賃貸や売却なども難しくなってしまいます。所有者の不安を少しでも軽くするためにも、早めの対処が求められます。
※空き家の対処については「空き家を売る」「空き家を維持する、貸す」で詳しく紹介します。
空き家といえば戸建てのイメージが強いのですが、実はマンションでも空き家問題が発生します。
築年数の古いマンションでは居住者の高齢化が進み、空き家率が高くなっているところもあります。管理組合がきちんと管理していれば安心ですが、中には管理組合の機能が失われて修繕が不十分になり、外壁の落下やガラスの飛散などが起こって近隣の迷惑となるケースもあります。
複数の世帯が生活するマンションでは修繕や解体を行うのに区分所有者全員の意思を確認する必要があるため、対処が遅れてしまいがちです。2015年に施行された「空き家対策特別措置法」ではマンションの空き家は対象外となっていますが、決して見過ごせない問題といえます。
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