【専門家監修】新築購入にかかる諸費用はいくら?現金は必要?

2019年9月12日

新築で家の購入を検討している人にとっては「家を購入する際にかかる必要な諸費用が全部でどれくらいかかるのか」、ここが気になるのではないでしょうか。家を買うときには、「税金や手数料」などさまざまな費用が必要です。この記事では、新築の家を購入するにあたってかかる費用は大体どれくらいなのか、どのくらいの現金を用意する必要があるのかなど少し詳しく解説します(基準2019年8月現在施行の税率など)。

新築時の諸費用は税金だけでも種類が多い

新築の家を購入する際の諸費用として、最初に把握しておきたいのは税金のことです。この部分は、必ず発生する諸費用なので、しっかりと理解しておきましょう。新築の家を購入する時に発生する税金には、意外と多くの種類があります。この購入に必要な諸費用に含まれる税金には次のようなものがあります。列挙すると「印紙代=印紙税」「不動産取得税」「登録免許税」「固定資産税・都市計画税」「消費税」「贈与税=住宅資金贈与など」です。それではそれぞれの税金について説明しましょう。

「印紙代=印紙税」は収入印紙を購入する代金で、手付金の領収書や取引の際(対不動産会社や金融機関など)の契約書などに記載している金額によって変わり、金額が大きいほど印紙代もその分高くなります。

「不動産取得税」は、その名の通り土地や建物といった不動産を取得する際にかかる税金です。建物の場合、住宅以外は4%ですが、土地および建物が住宅の場合は固定資産税評価額に3%が課税されます。他にも、新築物件の場合にはいくつか条件はありますが特例により期限付き(2020年3月31日まで→注意事項:延長もあり得ます)で税額の軽減措置が受けられます。この軽減措置を受けられるのは、総床面積が50(賃貸は40)~240平方メートル以下の住宅全般「セカンドハウスや居住用の賃貸マンション含む」である必要があり、その場合は新築住宅の固定資産税評価額から1,200万円(※1、控除額)が特例により控除されるのです。また、新築用の土地(敷地)については固定資産税評価額の2分の1に3%が課税されますが、さらにここから特例による※2、控除額(最低45,000円)が差し引かれます。
※1、新築住宅の場合の控除額は1,200万円ですが、中古住宅の場合でも各都道府県が定める控除額があり、中古住宅の軽減措置にも条件があるので中古住宅の存在する各都道府県の県税事務所で確認しましょう。
※2、(住宅用の土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税総床面積×2=MAX200㎡)×3%が控除額です。ただし、この計算が45,000円未満の場合は45,000円が控除額となります。また、この特例が適用されるためにも条件があり、まず、新築住宅の場合の軽減措置の条件を満たし、土地を先行して取得後3年以内(2020年3月31日まで→注意事項:延長もあり得ます)に新築するか、逆にまず土地を借りて新築後1年以内に土地を取得する場合に適用されます(中古の場合は中古住宅の軽減措置の条件を満す必要はありますが、いずれも1年以内)。

「登録免許税」は、不動産を登記する際にかかるもので、注意したいところは住宅ローンの借入時に抵当権を設定するためだけの税金ではないところです。住宅の場合には新築時の建物の所有権保存登記や土地や建物の購入時などの所有権移転登記にも必要になります。通常、司法書士に依頼するのでその報酬(こちらから見れば手数料)の支払いと合わせて請求されるため結構な額となります。ちなみに登録免許税が必要な新築のケースの例ですが、「土地の所有権移転登記については固定資産税評価額の1.5%、(2021年3月31日まで、以降は2.0%)」新築建物の所有権保存登記について※適用条件はありますが軽減税率が適用されると評価額(法務局認定価格)の1.5%となります。また、住宅ローンの借り入れに対しての抵当権設定については原則債権額の0.4%ですが、こちらも同じく新築建物の軽減税率の適用条件を満たす場合は0.1%に軽減されます。※登録免許税の軽減税率の適用条件(新築住宅の場合)
1.自分が居住する住宅であること
2.新築または取得後1年以内の登記であること
3.登記上の床面積が50平方メートル以上であること
住宅資金贈与などの利用は必ず税理士(FPより紹介のケースを含む=この場合、贈与税が得意な税理士の紹介も期待)に事前に相談しましょう。

「固定資産税・都市計画税」は、固定資産税課税台帳に賦課期日である毎年1月1日現在の土地・建物の所有者(登記簿上で把握)に対して納付を請求される税金です。通常では、1月1日以外の日に売買などで所有者が変わることがほとんどでしょう。そのため、家を買った場合は所有権が移転した日を基準とし、365日の日割り計算をした(按分)上で税額を買主から納付義務者である売主へ支払うというのが一般的です。

「消費税」は「令和元年10月より10%」となります。土地の購入は非課税ですが、住宅の購入の場合(新築並びに不動産業者が再販売する中古住宅についてはは消費税がかかり、購入者にとって大きな負担となります。また、各種手数料「登記関連の手数料・不動産の仲介手数料・住宅ローンの事務手数料など」にも消費税がかかります。この場合の消費税には軽減税率としての恩恵はありません。消費税分など少しでも取り戻したいですね。ですから、住宅ローン減税(所得税/住民税から控除、当初10年間は住宅ローン残高の1%、残り3年間はこれと建物価格の2%と比べて低い方:条件はありますが期間はMAX13年に延長されている)はしっかり受けて返してもらいましょう。

関連業者に対して支払う諸費用とは?

中古でも新築でも家を購入する際には、不動産会社などのさまざまな業者が関わりますので、各業者へ支払う諸費用も必要です。中古の家を購入する場合や中古でも新築でも同時に土地を購入する際には、不動産会社に「仲介手数料」を支払います。手数料の上限金額(宅地建物取引業法)は、物件価格の3%に6万円をプラスした金額と消費税です。この上限で計算した金額よりも高くなることはありません。そして、先ほども記述しましたが不動産の登記手続きには、司法書士への支払いが発生します。登記手続業務は司法書士の独占業務なので、登記上の住宅の所有者となるため、あるいはこれに伴う住宅ローンの利用のための抵当権設定などを行う場合は、「司法書士報酬」が発生するのです。司法書士の報酬額は、特に定められているわけではなく自由化されていますので、報酬額の相場はハッキリとご紹介できるものはありません。もよりの司法書士さんがいる場合は良いのですが、通常、銀行などの金融機関と信頼関係のある司法書士さんを紹介されることが多いでしょう。

既に相続などで土地を持っていて、その上に家を新築するケースもあるでしょう。その場合、土地家屋診断士に「測量図並びに境界線の確認書」の作成などを依頼するため、「土地家屋調査士への報酬」が発生します。不動産の登記を行う場合には測量が必要です。また、境界線などのケースでは、短期間での依頼ほど高くなります。この報酬を支払うのは売り手なのか買い手なのかの問題は残りますが土地家屋調査士への報酬も、特に定められているわけではなく自由化されていますので、報酬額の相場はハッキリとご紹介いできるものはありません。ただし、事務所を始めたばかりなど得手不得手の違いで報酬にも差があるようです。また、別途「住替えに伴う引っ越しに関する諸々の費用」も準備しておく必要があります。世帯単位の荷物の量によって金額は変わりますので、新築の購入で家具や家電などを一新する場合は、この機会に古いものを処分できれば荷物量も減るため、金額を少しは抑えられるでしょう。

金融機関への支払いも発生

住宅ローンを借りるときに発生する費用としては、まず、金融機関に支払う「融資手数料」です。金融機関によって、定額制としていたり定率制としていたりしますが、どちらにするかを選べる金融機関も結構存在します。住宅ローンを借りる際、保証料不要(フラット35など、ただし、事務手数料が高目の場合あり)の金融機関もありますが、保証会社の保証制度を利用する場合は「住宅ローンの保証料」が必要です。この制度は、借入人サイドの保証人の依頼が困難なケースには助かりますが、金融機関側から見ると住宅ローン債権の貸し倒れを防ぐ(融資金の確実な回収)ための債券保全手段といえます。例えば、利用者の返済が滞ったとき、保証会社が融資残高(借り手から見れば住宅借入金残高)を一旦立て替えて金融機関へ支払い、その後利用者は保証会社へ返済するというしくみです。そのため、住宅購入者(借入人)が金融機関で住宅ローンを組むためには、連帯保証人を立てる代わりに融資金額など(元金+金利に対して)の保証料を支払ってでもこうした保証制度を利用する必要があります。そして、この住宅ローンの保証料は、借り入れ金額や返済期間・返済方法(元金均など・元利均など)によっても異なります。ただし、繰り上げ返済をする場合は支払った保証料の一部ですが払い戻しがあります(事務手数料は戻りません)。

また、フラット35などを除き住宅ローンの返済中に、住宅ローンの借り手が亡くなったり高度障害になったりしたときに、残りのローン残高を一括完済できるように「団体信用生命保険」への加入が必要です。一応は世帯主(稼ぎ手)が亡くなり残されたご家族が家計の大きな負担となる住宅ローンの返済に追われない為でもあり、言い換えれば金融機関にとっても融資金の貸し倒れを防ぐ処置ともいえます。住宅ローンを利用する場合は団体信用生命保険への加入が義務付けられている所以です。保険料は、金利に含まれていることが多いためあまり負担に感じづらい費用ともいえるでしょう。「火災保険」への加入も金融機関にとっては融資債権保全上(質権設定)必要ですので義務付けられているケースがほとんどです。例えば、火災により家が全焼してしまった場合は、新たに住む場所を探す必要があります。そうなると、新しい借家の家賃などを支払っていくことになるため、借り手にとっては住宅ローンの返済がいちじるしく困難になり、金融機関にとっても回収が困難となり貸し倒れ(不良債権)となってしまいます。

そのため、金融機関では火災保険への加入を義務付けることにより、火災で焼失した場合に保険金を取得(担保としての質権の効力を利用)し住宅ローンの残額の回収に充てることにより貸し倒れを防ぐ必要がある訳です。

諸費用ていったいいくら必要なの?

それでは新築で家を購入するときには、諸費用はどれくらいかかるのかを具体的に説明しましょう。ここでは、「土地・建物の代金」合わせて購入費用総額4,000万円、35年返済で3,500万円の住宅ローンを借りたケースで考えていきます。ちなみに、新築の建売住宅の場合では消費税を除き約244万円、同じく新築の注文住宅では約444万円の諸経費が必要との計算です。また、同じ4,000万円でも建物にかかる金額の割合が高い分、注文住宅での諸費用が高くなります。また、「設計監理費や地鎮祭費用、地盤調査費用」などの、建売住宅ではかからない費用も必要になるため、注文住宅では諸経費の合計が2倍近く高くなる訳です。
※土地には消費税はかかりません。

それでは同じ新築でも、マンションではどうでしょうか。新築マンションでは消費税を除き約132万円の諸経費がかかります。新築マンションでは、仲介ではありませんので手数料がかからないためその分諸経費は安くつきますが、修繕積立基金などが必要です。それでも、一戸建てにかかる諸経費よりは安くなっています。
※消費税は令和元年10月より増税となるため別枠で計算願います(ちなみに4,000万円の建物で10月以降の新税率10%の場合は400万円です。予算を検討される場合は消費税込みの価格を抑えて置生きましょう。

諸費用が発生するタイミングにも注意

家を購入するときに必ず発生する諸経費は、家が完成した後にまとめて支払うばかりではなく、途中で必要に応じて順次支払うケースがあります。中間金など新築途中に代金の一部を入れる事が必要なケースもあるでしょう(この場合は事前に金融機関へのつなぎ融資の申込など準備も必要)。家の購入を検討している場合はスムーズに手続きを進めるためにも、ご自分と取引する相手「金融機関や不動産会社・もよりの司法書士などの専門家」などよりどのようなタイミングで、どれくらいの費用が必要になるのかをあらかじめ調べて準備しておき、相応しい現金を用意しておくことをおすすめします。これらの自己資金の準備が少なく、住宅取得を諦めるだけでなく、住宅ローンなどの借り入れが過多となり、家計の負担が増大して後にやむなく住宅を手放すということのないようにするためです。

執筆者プロフィール

木村 正人
木村 正人

木村 正人(ファイナンシャル・プランナ- CFP®)
GLGカウンシルメンバー
FP1-オフイス21 代表 (エフピーワンオフイスニジュウイチ)
ライフプラン&マネ-に関する相談・サポート
日経セミナ-・企業などで講演の他、FP・証券・会計等の研修会講師、
専門誌・FPコラムなどの執筆を行う


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