【専門家監修】じつはお得?中古住宅のメリットと後悔しない選び方

2019年7月8日

マイホームの購入といえば新築住宅をイメージしがちですが、あえて「中古住宅」を選ぶ人も増えています。なぜなら価格や立地など、中古住宅には新築住宅では得られないメリットがあることも多いからです。今回は、中古住宅ならではのメリットをはじめ、購入後に後悔しないための上手な選び方やチェックポイントなどを紹介していきます。

中古住宅ならではのメリット

中古住宅ならではのメリットには、主に以下のような点が挙げられます。
・ライフスタイルに合った物件を見つけやすい
・引っ越し後の新生活をイメージしやすい
・価格が安い

マイホームを購入する際、利便性が良いとか学校や職場に近いなどの、自分たちの希望する条件を満たした物件を探すケースが多いでしょう。ところが、そのような土地や物件は人気が高く、すでにほかの誰かが住んでいることも少なくありません。希望通りの場所に、価格や間取りなどの条件を満たした新築住宅が見つかるのは稀なことなのです。この点、中古住宅であれば利便性の良い場所に建っているものも多く、選択肢が増えるためライフスタイルに合った物件を見つけやすくなります。
また、中古住宅ならすでに完成しているため、外観や内装、周辺環境などから引っ越し後の新生活もイメージしやすいです。分譲地の新築住宅の場合、物件の完成前から売りに出されることもあるので、そのような場合には引っ越してからでないとどのような生活になるかわかりません。また、中古住宅の場合、ご近所にどんな人が住んでいるか、騒音などは問題ないかといった点も事前にある程度わかるので安心です。
さらに、価格が安いというのも大きな魅力です。少子高齢化の影響で空き家が社会問題となり、長く放置されしまうなどある一定の条件に達してしまうと「特定空き家」として指定されることになりました。そのまま放置していると、罰金や固定資産税の増額などのペナルティを受ける可能性があります。このため、安価でも良いのでとにかく手放したいという人が増えてきたのです。それに加え、もともと中古住宅は新築住宅と比べて割安な価格で購入できることもあり、資金面が不安な人でもマイホームを手に入れられる可能性があります。購入資金を節約できれば、引っ越し後に住宅を自分好みにリフォームするための資金に回すこともできるでしょう。

後悔しないためのチェックポイント

意外なメリットが盛りだくさんとはいえ、中古住宅には注意しなければならない点もあります。次は、中古住宅を購入する際にチェックしたいポイントを見ていきましょう。

チェック1.耐震性

中古住宅は、築年数がかなり経過した物件も珍しくありません。地震大国ともいわれる日本では、古い中古住宅を購入する場合「耐震性」に十分注意する必要があります。地震にしっかりと耐えられる可能性が高い新耐震基準は、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されています。建築確認がされてから建物が完成するまである程度の時間がかかることを考えると、1982年までに建てられた中古住宅は古い耐震基準になっているおそれがあるので要注意です。できるだけ1983年以降に建てられた物件を探すか、購入後に耐震工事を施したほうが良いでしょう。

チェック2.建物の構造とリフォームの関係

中古住宅を安く購入し、後でリフォームしようと考えている人も多いでしょう。この場合、建物の構造にも注意しなければなりません。戸建て住宅に多いのは、在来工法や、「壁式構造」と呼ばれる2×4工法です。壁式構造は耐震性に優れますが、壁や天井などの面がすべて住宅を組み立てるのに欠かせない存在となっているため、壁を取り壊すリフォームなどはおこなえません。もし、無理やり壁を取り壊しでもすれば、建物全体のバランスが崩れるおそれもあるので注意しましょう。
なお、鉄骨の戸建住宅ならば「ラーメン構造」で建てられている可能性もあります。ラーメン構造なら強度と自由度の高さを併せ持っているので、将来的にリフォームを考えている場合でもその自由度が高いと考えられます。

チェック3.瑕疵担保責任

以前に誰かが住んでいた中古住宅の場合、住み始めてから建物に不具合が見つかる可能性もあります。万が一の事態に備えて、「瑕疵担保責任」についても正しく理解しておくことが大切です。瑕疵とは、一見しただけではわからない建物の欠陥や不具合のことを指します。目で見てすぐにわかる欠陥であれば、購入前に売り主や買い主で事実を確認して交渉することもできます。しかし、売り主にすらわからない瑕疵があった場合、建物を明け渡した後に欠陥などが見つかると大きなトラブルになってしまうでしょう。このような事態が起きた際、売り主が買い主に負わなければいけない責任が「瑕疵担保責任」なのです。
たとえば、雨漏りや腐食、シロアリや建物の傾斜といった問題のほか、事件や事故の有無など心理的瑕疵も含まれます。買い主が瑕疵に気付いた場合、1年以内に売り主に損害賠償請求をおこなうことができ、住めないほど深刻な瑕疵だった場合は契約の解除も可能です。実際には、中古住宅の売買契約書で責任を負う瑕疵の範囲や年数など、条件を設定したうえで契約を締結するケースが多いです。

ホームインスペクションのススメ

気になる中古住宅を見つけたら、早々に契約するのではなく「ホームインスペクション」を受けましょう。ホームインスペクションとは住宅診断のことで、購入する前に住宅に問題がないかを調査します。屋根や外壁、内装などを目視したり機材を用いたりしてチェックするだけでなく、床下や屋根裏にまで入って劣化やダメージの具合を診断することもあります。耐震性の調査もおこなえるので、築年数が経過した中古住宅を購入する際には受けておいたほうが良いでしょう。
料金については、屋根裏や床下に入らない基本的な調査だと5~7万円、屋根裏などまで調査する本格的な調査では9~14万円ほどが相場と言われています。ただし、相場には地域差があるので、事前にいくつかのホームインスペクション会社で確認しておきましょう。なお、ホームインスペクションは基本的に契約前でも利用できます。受けておくことで購入希望者の心証も良くなりますし、建物の不具合に関するトラブルも未然に防げるため、売り主や不動産会社が進んで受けるケースも多くなっています。料金は依頼者が負担することになりますが、安心してマイホームを購入できることを考えると頼りになるサービスだといえます。

中古住宅は購入前にしっかりチェックしよう

まっさらな新築住宅に憧れる人は多いですが、条件によっては中古住宅のほうがメリットが多いこともあります。ただし、築年数が経過している物件もあるため、建物の耐震性などの安全性などは事前にしっかりチェックしておかなければなりません。マイホームは人生において高い買い物となるので、後悔しないよう慎重に検討していきましょう。

執筆者プロフィール

田井 能久
田井 能久

田井 能久(不動産コンサルタント)
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。


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