【専門家監修】見逃せない!すまい給付金が申請できる中古物件とは

2019年7月12日

一定の要件に該当する住宅購入者は、今年10月に予定されている消費税増税による負担軽減を目的とした制度を利用できます。制度はいくつかあり、そのうちのひとつが「すまい給付金」です。そして中古物件の購入では対象となるケースとならないケースがあり注意が必要です。すまい給付金とはどのような制度か、対象となる条件や注意点にはどのようなものがあるかを把握しておきましょう。

最大50万円?すまい給付金の概要

住宅の購入に際し購入者の負担を減らす制度として有名なものに住宅ローン控除があります。住宅ローン控除は、年末時の住宅ローン残高の1%にあたる額が、所得税や住民税から控除・還付されるというものです。控除は上限があるものの10年間継続しますので、トータルでみると大きな減税効果があります。しかし、住宅ローン控除は納める税金から控除をするもののため、収入が低く納める税金があまり多くない人にとっては、恩恵が少ないという特徴があります。
そこでつくられたのが、住宅購入にあたって消費税増税分の負担を直接軽減するため現金を給付するというこの「すまい給付金」制度です。給付額は、消費税が8%のときは最大30万円、10%のときは最大50万円です。ただし、金額は一律ではなく、収入などに応じて変動します。なお、購入した住宅が新築でも中古でも、給付の対象となるためには一定の条件を満たさなければなりません。すまい給付金の実施期間は2014(平成26)年4月から2021年(令和3)12月までです。

すまい給付金が支給されるのはどんな人?

すまい給付金の給付基礎額は以下のとおりです。
・消費税率8%時:収入額の目安が425万円以下で30万円、475万円以下で20万円、510万円以下で10万円
・消費税10%時:収入額目安が450万円以下で50万円、525万円以下で40万円、600万円以下で30万円、675万円以下で20万円、775万円以下で10万円
つまり、消費税8%のときは収入がおよそ510万円以下、10%のときは775万円以下であれば、給付の対象となります。ただし、この収入目安は、夫婦と中学生以下の子どもが二人いる世帯で、妻に収入がない場合の金額です。そのため、計算の際の目安収入は家族構成によって異なることがあります。また、給付基礎額算は厳密には年収ではなく「都道府県民税の所得割額」によって算出されます。
ローンを夫婦で負担している場合は、夫と妻のそれぞれで申請することが可能です。共有名義の場合は、給付される金額は基礎給付額にそれぞれの持分割合をかけて算出されます。たとえば、夫と妻の持分比率が8:2で、給付基礎額が10万円と30万円であるとしましょう。この場合、夫は10万円×0.8で8万円、妻は30万円×0.2で6万円が受け取れます。
すまい給付金が適用されるには、以下の要件を満たすことも必要です。
・住宅所有者(不動産登記上の持分保有者)
・購入した住宅の居住者(住民票で確認できること)
すまい給付金は、住宅ローン控除の恩恵を受けにくい世帯の人たちを支援するという性質のものです。そのため、原則として住宅ローンを利用していることも条件となります。住宅ローンを利用しない場合には50歳以上であれば給付の対象となります。

対象となる中古物件は?

給付の対象となるには、購入住宅にも一定の条件があります。まず、新築物件か中古物件かにかかわらず、以下の条件を持たすことが必要です。
・床面積(不動産登記上)50平方メートル以上
・検査によって一定の品質が確認された住宅
中古物件は、売り主が誰かによっても給付の対象かどうかが変わります。対象となるのは、売り主が宅地建物取引業者のケース(中古再販住宅)のみです。
すまい給付金は良質な住宅ストックの形成を促す目的があるため、住宅の質的な要件があり、宅地建物取引業者による買取再販など、消費税の課税対象となる住宅取得が対象であって、消費税が非課税とされている個人間売買の中古住宅は対象外となることに注意が必要です。

すまい給付金はいつ誰が申請する?

給付金を受け取るためには、必要な書類をそろえて申請しなければいけません。申請者となれるのは、住宅を取得して不動産登記上の持分を保有し、かつ購入した住宅に居住している人です。ただし、住宅事業者などが代理で手続きをすることは可能です。また、給付金の受領も、申請者のほかに住宅事業者などが代理で受け取っても構いません。申請は、契約の段階ではなく、購入した住宅に入居してからおこないます。申請期限は住宅の引き渡しを受けてから1年以内ですが、2015年4月より1年3カ月に延長中です。
給付金を申請するためには、すまい給付金事務局指定の申請書と複数の確認書類が必要になります。給付申請書は、申請窓口や公式サイトからダウンロードすることで入手できます。確認書類には、住民票の写しや不動産登記における登記事項証明書・謄本、課税証明書など複数あり、購入した住宅の種類や住宅ローンの有無などによって必要なものが異なります。そのため、事前に何が必要かをよく確認しておきましょう。

住宅購入の支援策を積極的に利用しよう

住宅を購入すると、さまざまな費用がかかります。たとえば、印紙税や不動産取得税といった税金やローン契約の事務手数料などのほか、引っ越し費用や家具、家電の購入費用も必要です。すまい給付金は現金が支給されますので、住宅購入に伴う出費を賄うことができます。申請者の収入やさまざまな条件によって金額が変わるものの、資金面で役に立つ制度です。制度を積極的に利用して、お得に住宅を購入しましょう。すでに住宅を購入した人も、期限に間に合うようであれば、ぜひ申請しましょう。

執筆者プロフィール

田井 能久
田井 能久

田井 能久(不動産コンサルタント)
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。


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