地球環境のために、個人で取り組める工夫を紹介 暮らしの中でできる「環境対策」

水や大気の汚染

2021年5月17日 更新
水や大気の汚染

水や空気は私たちが生きていくために欠かせないものです。けれども、工場や家庭からの排水が河川や海に流れて水を汚す「水質汚染」、車の排気ガスなどが空気を汚す「大気汚染」が世界中で発生し、自然環境や私たちの健康に被害をもたらす原因となっています。いつまでもきれいな水や空気を保つために、私たちができる工夫を紹介します。

水質汚染について

めぐり続ける水の汚れが、生態系や健康に影響を及ぼす

めぐり続ける水の汚れが、生態系や健康に影響を及ぼす

私たちが日常的に使う水道水は、主に河川の水を利用しています。使った水は河川や海に流され、その水を魚などの生き物が利用します。さらに河川や海の水は蒸発して雲をつくり、雨となって再び私たちのもとに降りそそぎます。このように私たちは地上と空をめぐる水を繰り返し利用していますが、人間の活動によって河川や海の水が汚染されると、飲み水が汚れたり、魚などの生態系が破壊されて、それを食べる私たちの健康にも影響を及ぼします。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

水資源に恵まれた地球。でも…私たちが使える水はほんのわずか

私たちが使える水はほんのわずか

地球は「水の惑星」と呼ばれますが、地球上に存在する水の96.5%は海水であり、塩分を含まない淡水は2.5%だけ。しかも、淡水のほとんどは南極や北極の氷のため、私たちが使える河川や湖沼の水はわずか0.01%以下です。そのような貴重な水を使っている私たちは、なるべく水を汚さないようにすることが大切です。

水を汚す原因の一つが「生活排水」

家庭から出る汚れた排水が河川や海に流れ込む

家庭から出る汚れた排水が河川や海に流れ込む

かつて水質汚染の主な原因は工場から出る「産業排水」でしたが、工場への排水規制などの対策が進み、現在は家庭で使用された「生活排水」が水質汚染を引き起こす大きな原因となっています。
生活排水は浄化槽や下水処理場で洗剤成分や汚れを浄化し、魚がすめる水質に戻してから川や海に流されますが、この処理には大量の水が必要となります。家庭からの水質汚染を減らすために、水を汚さない工夫を心がけましょう。

・東京都の家庭での水の使われ方(2015年度)

※東京都水道局WEBサイトより作成

東京都の家庭での水の使われ方(2015年度)
・生活排水の処理に必要な水の量は?
使用済み天ぷら油(20ml)…バスタブ(300L)20杯分の水が必要
牛乳コップ1杯(200ml)…バスタブ(300L)11杯分の水が必要
シャンプー1回分(4.5ml)…バスタブ(300L)0.67杯分の水が必要
台所用洗剤1回分(4.5ml)…バスタブ(300L)0.67杯分の水が必要

※環境省「生活排水読本」より作成

暮らしの中で「水を汚さない」工夫

※こちらのページでも、水を汚さない工夫について紹介しています。
・暮らしの水を守るエコアイデア「できるだけ水を汚さない」
https://www.e-life.jp/column/eco_save_water/page3.html

台所

台所

調理中に出た野菜くずや食べ残しを流してしまわないように、排水口には水切りネットをセット。天ぷらなどに使用した油も、揚げくずを取り除いて炒めものに使うなど、なるべく捨てないようにします。やむを得ず捨てるときは、古新聞や古布などに吸わせてから、生ごみと一緒に捨てるようにしましょう。

お風呂

お風呂

シャンプーやリンスは適量を守り、使いすぎないようにしましょう。髪の毛などのごみをキャッチするネットを排水口に取り付けると、水を汚すのを防止するだけでなく、掃除もラクになります。

洗濯

洗濯

洗剤は、大量に入れても汚れ落ちがよくなる訳ではなく、かえって溶け残りが衣類に付着してしまいます。付属の計量スプーンなどで適量を計って使用しましょう。

大気汚染について

思いきり深呼吸できない?気になる空気の汚れ

思いきり深呼吸できない?気になる空気の汚れ

人間の活動によって作り出された汚染物質で空気が汚れることを「大気汚染」といいます。日本では、高度経済成長によって工場が増え、都市化が進んだ1960~1970年代に、車の排気ガスや工場のばい煙などから出る汚染物質による大気汚染が深刻化し、環境保全のための法整備が進められました。当時と比較すると現在の大都市の空気はきれいになりましたが、夏になると各地で発生する「光化学スモッグ」や、2013年頃からは「PM2.5」による健康被害が問題となっています。

身近にある大気汚染

光化学スモッグ

光化学スモッグ

日射しの強い暑い日に、屋外に出ると目がチカチカしたり、喉が痛くなったりする「光化学スモッグ」。これは、車の排気ガスや工場のばい煙などに含まれる窒素酸化物と炭化水素が、光と反応して生成される「光化学オキシダント」の濃度が高まった状態で、濃度や継続時間によっては注意報や警報が発令されます。
光化学オキシダントの影響はマスクでは防げないため、光化学スモッグ注意報や警報が発令されたら、なるべく外出は控えて屋内で過ごしましょう。目や喉の症状があれば、水道水で洗顔やうがいをします。ただし、症状が回復しないときは早めに医師の診察を受けてください。

PM2.5

大気中に浮遊する物質のうち、直系2.5μm(マイクロメートル※1μmは1mmの千分の1)以下の非常に小さな粒子で、車の排気ガスや工場のばい煙などに含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物などの原因物質が大気中で反応して生成されます。目に見えないほど小さいため肺の奥深くまで入り込みやすく、呼吸器系や循環器系への影響が心配されています。PM2.5の注意喚起が行われたときは、なるべく外出は控えて屋内で過ごしましょう。外出時はマスクを着用し、長時間の激しい運動を減らすなどしてPM2.5を大量に吸い込まないようにします。

大気汚染状況をチェックする方法

住んでいる地域の大気汚染物質をパソコンやスマホで確認する

住んでいる地域の大気汚染物質をパソコンやスマホで確認する

光化学オキシダントやPM2.5の濃度は、季節や天候、地域などによって変動があります。健康に影響が出るおそれのある測定値が出たときは、各自治体のWEBサイトなどで注意喚起が行われます。また環境省による大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」では、光化学オキシダントやPM2.5をはじめ、さまざまな大気汚染物質を測定した速報値や、光化学オキシダント注意報・警報発令のデータを確認できます。

※参考
・環境省大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」
http://soramame.taiki.go.jp/Index.php

暮らしの中で「空気を汚さない」工夫

省エネを心がける

省エネを心がける

大気汚染物質である窒素酸化物は化石燃料(石炭や石油など)の燃焼によって排出されるため、地球温暖化対策の取り組みとして紹介した「省エネ」を心がけることが、大気汚染対策にも有効です。

※参考
・暮らしの中でできる環境対策「地球温暖化」
https://www.e-life.jp/column/environmental_measures/page02.html

公共交通機関や徒歩で移動する

公共交通機関や徒歩で移動する

排気ガスに含まれる汚染物質の窒素酸化物を減らすため、マイカーの利用はなるべく控えて、公共交通機関を利用したり、近くなら徒歩や自転車で移動しましょう。

エコドライブをする

車を運転するときは、ガソリンを浪費する無用なアイドリングや、不要な荷物を積んで走行するのはNG。緩やかな発進や加減速の少ない走行で燃費効率を向上させる「エコドライブ」を行いましょう。

まとめると…まとめると…

「あるのが当たり前」を大切に。忘れたくない、きれいな水と空気。

「あるのが当たり前」を大切に

水質汚染や大気汚染は、私たちの健康にかかわる重要な問題です。当たり前のように身近にある水や空気だからこそ、その大切さを忘れないように、暮らしの中で水や空気を汚さないための取り組みを心がけましょう。