【専門家監修】土地の固定資産税って何?その仕組み・軽減条件を解説

2020年11月25日

所有している土地には「固定資産税」がかかることはご存知の方が多いでしょう。ただ、固定資産税について正しい仕組みを理解している人はそれほど多くないかもしれません。納税のタイミングになって、その額に驚いてしまうケースもあります。この記事では、土地の固定資産税の概要や、軽減してもらえる条件について解説をしていきます。

1.固定資産税とは?

1-1.軽減制度もある

そもそも固定資産税とは、家屋や土地といった個人が所有する不動産について、課せられる税金のことです。課税対象資産の名義人になっている人物が、納税を行わなくてはなりません。毎年1月1日時点で、不動産を所有している人に対し、市町村が徴収する仕組みとなっています。ただ、条例や税率によって軽減制度も設けられています。つまり、ある条件を満たせば、通常よりも安い税額に軽減されるのです。こうした軽減制度は市町村ごとに異なるため、事前にしっかり調べておくことが大事です。

1-2.額はどうやって決まる?

原則的に、固定資産税は地価に左右されます。地価が高くなるほど、固定資産税も高くなるのが一般的です。固定資産税の額もまた、市町村によって定められています。ただし、東京都23区だけは例外的に、都が額を決めています。

2.いつ支払うの?

2-1.自動的に課税されて通知書が送付されてくる

毎年1月1日現在、不動産を所有していた時点で、その人には納税義務が生まれています。ただし、1年分の税金を必ずしも納めることになるとは限りません。その年度の途中で、不動産を売却するようなケースもあるからです。その場合、税額は日割り計算され、売却から年末までの期間分は買主側に支払いが求められます。不動産売買を行えば、所有権を登記するので、不動産の所有の状況は必ず自治体に伝わっています。納税者が申告や計算を自分でしなくても、自動的に課税されるのが固定資産税の大きな特徴です。

なお、税額は「納税通知書」によって伝えられます。納付通知書は、毎年4~6月に市町村が送ってくる書類です。支払方法は市町村によって変わるものの、基本的には「一括払い」と「年4回の分割払い」から選べるようになっています。分割払いにしたなら、1期分を6月末、2期分を9月末、3期分を12月末、4期分を翌2月末までに支払います。

2-2.延滞税

納付期限を超えると延滞税が課せられるため、要注意です。しばらく納付を行わないまま放置していると、市町村から督促が来ます。それでも無視していれば、口座を差し押さえられることもあるので、速やかに対応しましょう。延滞税の率は、税額の7.3%です。納期限から1カ月経ってまだ支払わなければ、特例基準割合と7.3%を足した率に増えてしまいます。

2-3.支払い方法はいろいろ

納税者にとって楽な支払い方法は、口座振替の自動引き落としでしょう。期限を忘れて、延滞になってしまうリスクが減るからです。一方で、市税事務所や金融機関から振り込む方法もあります。納付書を利用して、コンビニ払いにするパターンも近年では増えてきました。そして、全ての自治体ではないものの、クレジットカード払いも対応されつつあります。「現金がすぐに引き落とされていくのは厳しい」というなら、クレジットカードで支払うのもひとつの選択肢でしょう。

3.固定資産税の計算方法

3-1.評価額とは何か

「固定資産税評価額」をベースにして、住宅の固定資産税は計算されます。固定資産評価額とは、不動産物件の価値を市町村の基準によって確認した数字のことです。決して、購入価格がそのまま評価額になるわけではありません。評価額を決めるのは、売主や買主の判断ではないからです。また、評価額は普遍的な数字ではなく、時期によって変動します。土地の用途、状況などに変化があれば、評価額にも影響するシステムです。

3-2.計算式

それらの前提を踏まえたうえで、固定資産税額を求める計算式は「固定資産評価額(課税標準額)×税率(標準税率である1.4%)」です。ただ、「1.4%」とは23区内だと統一されているものの、自治体によっては超過税率として1.4%超になっていることも珍しくありません。計算する際には、自治体の税率を確認しておくことが大事です。

4.固定資産税が軽減される条件とは?

4-1.小規模な住宅用地の軽減

ある基準を満たしている住宅用地は、特例の適用を申請できます。その結果、課税標準の軽減が認められることも少なくありません。東京都であれば、特例によって固定資産税が半分以下になった不動産物件もあります。少しでも特例に該当する部分があるなら、税金対策として無視できないでしょう。まず、住宅1戸あたり200平方メートル以下の小規模な住宅用地であれば、固定資産税の課税標準額が、固定資産税評価額の6分の1の額で計算されます。そのうえ、都市計画税の課税標準額も、固定資産税評価額の3分の1にまで抑えられます。

4-2.大きな住宅用地やマンション

次に、住宅1戸あたり200平方メートル超の住宅用地であれば、固定資産税の課税標準額が、固定資産税評価額の3分の1にまで軽減されます。都市計画税の課税標準額もまた、固定資産税評価額の3分の1となります。マンションでは、土地の固定資産税は、敷地全体の固定資産税を専有面積に沿った持ち分割合で案分するルールです。登記簿謄本の表題部「敷地権の割合」を見れば、敷地全体において敷地利用権が含めれている面積を確認できます。また、面積が200平方メートル以下なら、前述の小規模住宅用地の特例適用が認められます。

4-3.一定条件の新築

新築住宅も、ケースによっては特例の対象です。たとえば、「令和4年3月31日までに新築された住宅」などの条件を満たしていれば、固定資産税の額は半分に軽減されます。そのかわり、軽減される期間には限度があって、一戸建てでは3年、マンションでは5年に設定されています。加えて、この特例は、床面積120平方メートル相当分までしか適用できません。超過する分については、通常の税額を支払うこととなります。

5.固定資産税は重要なもの!

しっかり固定資産税を学べましたか。もしも滞納をすれば、高額になることも多い税金です。そのかわり、条件さえ満たせば軽減を申請する方法もあります。支払方法に。もクレジットが使えたり、分割ができたりと、負担を減らせる仕組みが増えてきました。固定資産税を正しく理解していれば、ルールを守って納付できるはずです。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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