【専門家監修】土地の登記費用っていくら?基礎から分かりやすく解説

2020年11月30日

土地の登記という言葉は聞いたことがあるでしょう。不動産を取得する際に登記を行うことによって、その不動産が誰の所有物なのかを証明することができます。ただし、土地の登記には費用がかかります。また、登記には複数の種類があり、それぞれ異なる手続きが必要な点にも注意しなければなりません。そこで今回は、登記の費用や種類など、土地の登記に関する基礎的な内容を解説します。

土地の登記とは?

土地や建物といった不動産には、必ず権利の問題が発生します。不動産は移動できるものではないため、お金や時計のように物理的に手元に保管することができない場合があります。そのため、住宅購入などで不動産を所有する場合は、その土地や建物が自分の所有物であることを公的に証明するための手続きが必要になります。登記とは、そのために行う手続きです。

実際の登記の手続きでは、不動産の種類や構造など、該当する土地や建物の現況や所有者などを記録することによって、その不動産が誰の所有物であるかを明確にします。登記の手続きを行えば、その情報は「不動産登記簿」に明記され、法務局で誰でも閲覧できるようになります。このように、その不動産の権利関係を公開することで、第三者に悪用されたり、無断で奪われたりすることを防ぐのが登記制度の目的です。

不動産の安全かつ円滑な取引も、登記制度が厳重に行われているからこそ担保されます。その不動産が誰の所有物なのか、登記簿を確認すればすぐにわかります。登記制度がしっかり機能することによって、別の誰かが持っている不動産を間違って購入してしまうといったトラブルも未然に防ぐことができるのです。

登記の種類

住宅購入の際に済ませる登記には、「所有権保存登記」と「所有権移転登記」の2種類があります。所有権保存登記とは、新規に建物を取得する場合に行う登記です。一方、所有権移転登記は、誰かから土地や建物を購入したり譲り受けたりする場合などに行う登記です。売買などによって所有者が変わる際に、それを改めて確認するのが所有権移転登記の目的となります。

それでは、新築一戸建て物件を購入する場合を例にとって、どのような登記の手続きが必要なのか具体的に見てみましょう。新築一戸建て物件の場合、まずは土地を購入しなければなりません。しかし、国内の土地は、既に売主や不動産業者が所有している土地です。そのため、所有権移転登記をして土地の所有者を変更する必要があります。一方、新築の建物は、以前に誰かが所有していたものではなく、自分が初めて所有することになるものです。したがって、建物の取得には、所有権保存登記が必要となります。

このように、新築一戸建て物件の購入には、所有権保存登記と所有権移転登記という2種類両方の手続きをしなければなりません。また、住宅ローンを組んで物件を購入する場合は、「抵当権設定登記」という手続きも必要となります。抵当権設定登記とは、要するに土地や建物を担保にするための登記です。何らかの理由でローンを返済できなくなった場合のために、金融機関が設定するものです。

このほかにも、「住所の変更登記」や「抵当権抹消登記」といった登記もあります。住所の変更登記は、権利者の名義を変更するためのもので、抵当権抹消登記は、ローンを支払い終わったときなどに行う、抵当権を取り消すための手続きです。所有者の情報が変わった場合などに、登記簿の情報を変更する「変更登記」「更生登記」なども、代表的な登記の種類なので覚えておきましょう。

登記にはどれくらいの費用がかかるの?

不動産の登記には、所定の費用がかかります。登記費用の内訳は、大きく分けて2種類あります。一つはいわゆる実費と呼ばれる登録免許税で、これは国に納めることになります。もう一つは、手続きのための費用です。不動産登記には専門的な知識が必要であるため、司法書士や土地家屋調査士などに依頼するのが一般的です。その際には、当然依頼した専門家に対して報酬を支払わなければなりません。そのための費用も、登記費用の一部に含まれます。

手続きのための費用は、依頼する専門家によって料金も変わってきます。相場では、5~10万円といったところでしょう。これに対して、不動産登記の実費については、どの専門家に頼んだとしても費用は一定です。実費とは、要するに国に支払う税金であるため、購入する不動産の評価額に応じて一定の金額が算出されます。たとえば、土地の所有権移転登記をする際、その登録免許税額は評価額×2%(令和3年3月31日までの間に登記を受ける場合は1.5%)です。建物の新規取得の際の所有権保存登記には、評価額×0.4%の登録免許税がかかります。抵当権を設定する場合は、さらに債権金額×0.4%の税額で登録免許税を算出しなければなりません。新築一戸建て物件では、これらを合計した金額が実費として計上されます。ここに、専門家に支払う手数料を加えて、登記費用の合計が導き出されます。

登記に必要な物

登記の手続きを行う際は、まず必要書類を揃えなければなりません。登記の種類によって必要な書類は変わってきますが、基本的には住民票や本人確認書類といった、登記申請書に記載した内容を証明するための書類が必要となります。たとえば、建物表題登記の場合、世帯全員分の情報が記載された登記名義人の住民票が必要です。加えて、建築確認済証、検査済証または工事完了引渡証明書、印鑑証明書、本人確認書類のコピーなどもそろえなければなりません。手続きを専門家に任せる場合は、委任状も必要となります。

新築一戸建て住宅では、所有権保存登記と所有権移転登記の両方が必要なため、用意する書類もかなり多めです。所有権保存登記のために、まず世帯全員分の住民票が必要です。それから、減税を受ける場合は住宅用家屋証明書を用意して、自分で手続きする場合を除いて委任状もそろえる必要があります。上記に加えて、所有権移転登記のために、契約書や権利書・登記識別情報通知書、不動産を譲る人の印鑑証明書、不動産を取得する人の住民票、さらには固定資産評価証明書も手続きに必須の書類です。売買や財産分与ではなく、土地を相続する場合は、住民票のほか、固定資産評価証明書と戸籍謄本、それから専門家の委任状が必要書類となります。

手続きの方法や費用を知っておこう

不動産の登記は、住宅購入の際に必ず行わなければならない手続きです。もちろん、手続き自体が複雑なため、通常は専門家に一任してしまうのが一般的です。ただ、費用を支払うのは自分であるため、あらかじめ費用の算出方法や相場などを知っておいて損はありません。不動産登記をすることは、多くの人にその機会がやってくるものですから、基礎知識をしっかり身につけて、いざというときも冷静に対応できるようにしておきましょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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