【専門家監修】不動産売買(物件/土地など)の仲介手数料はいくらかかるの?

2020年12月25日

不動産会社を通じて不動産の売買を行う際には、売り手も買い手も仲介手数料の支払い義務が生じます。ややまとまった金額になるため、納得のいく取引を行うには、仲介手数料についてきちんと理解しておいたほうがよいでしょう。何のための手数料なのか、誰にいつ支払うのか、相場はいくらくらいなのかなど、知っておきたい仲介手数料の基本について解説します。

不動産売買にかかる仲介手数料とは

仲介手数料は、仲介業務を行った不動産会社に支払う手数料です。売主あるいは買主から依頼を受けた不動産会社は、成約に向けて次のような仲介業務を行います。
・物件の査定
・広告活動、物件案内
・売主と買主の間に立って条件の調整
・現地、法務局、役所などに出向いての調査
・契約書類の作成
・司法書士の手配、銀行調整などの引渡し準備
・決済など

仲介手数料には、これらの業務にかかる人件費、交通費、事務用品費などが含まれます。成功報酬とされているため、成約に至らなかった場合には支払う必要はありません。ただし、依頼者の希望によって通常の仲介業務では行われない業務が発生した場合は、実費精算が必要です。たとえば、通常では行われない特別な宣伝広告を希望した場合や、物件調査や交渉のために遠方への出張を依頼した際の交通費・宿泊費などがこれにあたります。次の条件をすべて満たす場合には、仲介手数料とは別に費用請求があることを覚えておいてください。
・依頼者の依頼によって発生した費用
・通常の仲介業務では発生しない費用
・実費であること

仲介手数料はいくらかかるの?相場や上限、計算方法について

宅地建物取引業法により、仲介手数料は取引価格の金額区分ごとに以下のように上限額が定められています。
・200万円以下の部分:取引価格(税抜)×5%
・200万円超400万円以下の部分:取引価格(税抜)×4%
・400万円を超える部分:取引価格(税抜)×3%

3,000万円の土地の売買を例にして計算してみましょう。
・200万円以下の部分:200万円×5%=10万円
・200万円超400万円以下の部分:200万円×4%=8万円
・400万円を超える部分:2,600万円×3%=78万円
合計で96万円、これに消費税を加えた金額が仲介手数料の上限額です。

ちなみに、取引価格に応じて次の速算式で求めることもできます。
・取引価格が200万円以下:取引価格(税抜)×5%
・取引価格が200万円超400万円以下:取引価格(税抜)×4%+2万円
・取引価格が400万円超:取引価格(税抜)×3%+6万円

取引価格は税抜価格で計算することに注意してください。消費税の課税対象は建物部分のみで、土地は非課税です。土地付き建物などの物件価格は税込で表示されているのが一般的ですが、建物部分の消費税をのぞいた金額で計算する必要があります。

また、あくまでも上限額であることに気をつけてください。仲介手数料の金額は不動産会社が自由に決めることができますが、上限額を超える請求は宅地建物取引業法に違反する行為です。また、上限額を法律で定められた一律料金として説明することや、「事務手数料」「広告手数料」など仲介手数料以外の名目で費用を請求することも不適切とされています。疑問に感じることがあれば、納得できるまで確認するようにしましょう。

仲介手数料を支払うタイミング

成功報酬という性質上、契約成立時に不動産会社には仲介手数料の請求権が発生します。しかしながら、不動産売買では成立から引き渡しまでにある程度の日数がかかるため、契約時と引き渡し時に半額ずつ支払うのが一般的です。なかには契約時に全額支払いを求める不動産会社もあるため、仲介手数料を支払うタイミングについては事前に確認しておきましょう。取り決め次第では、物件の引き渡し時に全額を一括で支払うことも可能です。トラブルを防ぐためにも、不動産会社と事前にしっかりと話し合うようにしてください。

仲介手数料の値引き交渉はできるの?

結論からいえば、仲介手数料の値引き交渉は可能です。前述のとおり、仲介手数料は上限額を超えない範囲内であればいくらでも構いません。近年は「仲介手数料無料」あるいは「半額」を提示する不動産会社もあり、気になっている人も多いのではないでしょうか。しかしながら、仲介手数料は不動産会社の主たる収入源です。無料や半額にできるのには理由があります。

不動産の業界用語に「両手」「片手(分かれ)」というものがあります。これは仲介の取引形態を表す言葉で、次のような意味をもちます。
・両手:ある物件につき、1つの不動産会社が売主と買主双方の仲介を行うこと
・片手(分かれ):売主と買主それぞれに別の不動産会社がついて仲介を行うこと

契約が成立すれば、不動産会社は売主と買主からそれぞれ仲介手数料を受け取ります。このとき、売主に対しても買主に対しても同じ不動産会社が仲介を行っていれば、その不動産会社は両者から仲介手数料を受け取ることができます。この場合、売主からの依頼に対して早く買い手を見つけて成約に結びつけるために、買主からの仲介手数料を無料や半額にして反響を集めるということがあるのです。この場合、買主には仲介手数料を節約できるというメリットがあり、売主には早く売却できるというメリットはありますが、売主に経済的なメリットはありません。

両手や片手といった取引形態にかかわらず、売り手の場合は仲介手数料の値引きを考えるよりも、物件を高く売ることを第一に考えたほうがよいでしょう。無理に値引きすると仲介業務に力を入れてもらえず、いつまでたっても物件を売却できないという事態にもなりかねません。それよりは親身になって仲介業務を行ってくれる、信頼できる不動産会社を探したほうがお得です。

それでもなお値引き交渉をするのであれば、媒介契約締結前に交渉することをおすすめします。媒介には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」という3つの形態があり、それぞれに内容が異なります。一般媒介は複数の不動産会社に仲介を依頼できますが、専任媒介や専属専任媒介では仲介を依頼できるのは1社のみです。売却の仲介を依頼するとき、専任媒介あるいは専属専任媒介を条件にすれば、仲介手数料の値引きに応じてもらえるかもしれません。

信用できる不動産会社を見極めるために

不動産売買にかかる諸費用のなかで、比較的大きな割合を占めるのが仲介手数料です。できれば安く抑えたいところですが、無理な値引きはサービスの低下につながりかねません。仲介手数料の金額のみで不動産会社を選ぶのも危険です。特に売却の場合には、少しでも高く売れるよう親身になって的確なアドバイスをしてくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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