【専門家執筆】今後、住宅価値が高くなるエリアと低くなるエリアの違いとは?

2019年2月5日

住宅価値は、どのように決まるのか?

いよいよオリンピックが1年後に迫り、平成が終わりを迎える2019年となりました。ただし2018年の年末には株価が2万円台を割り込み、国際情勢で不穏な空気が漂う場面を見るにつれ、今後の景気の見通しに関しても厳しい見方が多くなりつつあります。
住宅の価値はこのような社会情勢の影響を受け、変動するものでありますが、それでも一定の人気を保ち、価値が落ちない住宅地もあれば、景気や社会の変化についていけず、今後は需要の落ち込みが懸念される地域もあります。
今回はそんなエリアの違いは何から生じ、今後どうなるかを考えたいと思います。

高くなりそうなエリアと低くなりそうなエリア

将来的な人気や需要の強さは、現在の住宅地の地価よりも「住みたい街ランキング」などにそのヒントがありそうです。そのランキングをみると、首都圏では「横浜」や「恵比寿」や「吉祥寺」など、住んでいるところを自慢できるようおしゃれで洗練された街に人気があります。また「池袋」や「新宿」や「品川」など、住んで快適な環境なのかはやや疑問ではありますが、交通や買い物の利便性が極めて高いところも人気があるようです。
その一方で、「赤坂」や「麻布」などのいわゆる既存の高級住宅地はやや敷居が高いのかランキング上位には入らず、東京の東部に位置する「神田」や「上野」などは若者のイメージがないのか、やはり人気がなさそうです。

高くなりそうなエリアの特徴とは

街の人気もいわゆるトレンドに影響を受けるので、このランキングも毎年変わります。それでも、「恵比寿」や「吉祥寺」が常にトップランクに位置するのは、お店の新陳代謝があり、常に街の表情が変わることで若者を引き付けている一方、ほっと落ち着くような公園や昔ながらの商店街なども頑張って残っている安心感みたいなものがあるような気がします。毎日の通勤や通学に交通アクセスの良さは絶対必須条件ですが、やはり住むという観点で考えた場合に、休日はノンビリもできるし、都心へ買い物に行くにもすぐに行けるような、個人の行動の多様性を受け止めてくれるような街は人気が高いように思えます。
今後、ますます個人の行動は多様化し、個性化するものと考えられます。そう考えると、今まではあまりおしゃれなイメージがなかった街が、その立地条件と街の多様性が再評価され、人気が高まる可能性だってあります。具体的には、東京だと「田端」や「巣鴨」、「御茶ノ水」などがそれらに該当するのかも知れません。

低くなりそうなエリアの特徴とは

前述のとおり「赤坂」や「麻布」は確かに住みたい街のランキングには入ってきませんが、青山を含めた都心の最高グレードの住宅地は、なかなか庶民にとっては高嶺の花なので、住んでみたいという欲望さえわかないというのが本音であると考えられます。
ただし、このような“都心”の高級住宅地は、今後もその価値を維持すると思われますが、問題は“郊外”の高級住宅地であります。
昭和時代に住宅地が造成され、鉄道や周辺の商業施設が計画的に配置され、比較的大きな戸建住宅が多い地域などは、住民の高齢化により空き家の増加が懸念されています。その背景として、環境を守るための法規制がマンションなどの建築を制限しているので、若く新しい世代の住民を受け入れることができないことや、ほかのエリアで電車網や道路網が整備されたことにより、相対的な交通利便性が低下したことなどが考えられます。
それでも、子どもを通わせるのにほかでは代えがたいような優れた就学環境があれば別ですが、それもない場合には、利便性を重視するこのご時世に勝てず、かなり早いスピードで街が衰退化することが予想されます。

まとめ

かつては「定住」する場所から「定職」に通い、「定年」まで働くのが普通だったのですが、定職や定年の概念が崩れつつあるなかで、定住そのものに価値を見出せず、「ディアラー」や「アドレスホッパー」として、住むところを自分の都合にあせてコロコロ変える人も出てきています。すべての人がこのようなライフスタイルをとるとは思えませんが、過去に計画的に作られた街ほど、現代人のニーズに合わず、その価値を失っていく懸念があります。
そして今後、価値が高まる住宅地とは、商業施設もオフィス施設も住宅施設も近接し一体として街を作っているような、住宅地という現在のカテゴリーでは定義づけられないエリアこそ価値が高まるのではないでしょうか?

執筆者プロフィール

田井 能久様

田井 能久
田井 能久(不動産コンサルタント)
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

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