【専門家執筆】マンション購入時に適正価格を見極めるコツ

2019年4月5日

マンションのご購入を検討される方にとって、場所や広さや設備や売主(ディベロッパー)なども気になりますが、何といってもその金額がはたしてお買い得価格なのか、はたまた割高なのかが気になると思います。
気に入って買った物件であるなら、市場価格や適正価格にこだわる必要もないという意見もあります。しかし、購入後は長い期間にわたってローンを支払い続けるわけですし、一生そのマンションに住むつもりでも、何かの理由で手放さなければいけないことも起こりえます。
したがって、購入を考えているなら、やはり適正価格は知っておくべきと言えます。
そこで今回は、マンションの適正価格について考え、それを見極めるコツについてもお伝えしたいと思います。

適正価格とは何か

土地の価格は4つあると言われるように、さまざまな公的評価額と市場価格の違いが指摘されています。
マンションも土地と建物からなるものなので、固定資産税上の評価額や相続税上の評価額が存在し、それらの価格は往々にして市場価格と異なっています。
それゆえ、マンションの購入希望者がこれらの税法上の評価額を根拠に、売ってほしい金額を提示しても、なかなか売り主が承諾することはありません。
売り主はあくまでも市場価格、そしてさらにできる限り高い価格で売ろうとします。
一方、買主としては、出来る限り安い価格で購入を考えるものですので、その両者が合意する点が市場価格となります。
そして、その上下幅の範囲で客観的に見ても妥当な価格が適正価格と言えます。
それでは、その上下幅はどのくらいなのかというのは難しい問題ですが、経験上、20%ぐらいはあり得るものの、50%はなさそうです。
したがって、自分がとても気に入って、市場価値よりも20%以上高い価格で買った場合には、売買した結果であるので1つの市場価格ではありますが、客観的に見た場合の妥当な水準を超えてしまっているので、適正価格とは言えないと思います。

マンションの価格はどう決まる?

マンションについては、土地価格に関係する要因として、駅への距離、住環境、利便性、安全性、快適性などがあり、建物価格に関係する要因として、外装、内装、設備、間取り、広さ、築年、階層などがあります。
ただし面白いことに、駅への接近性や築年など数字ではっきりとその優劣が分かるもの以外に、マンションのブランドとか住民の質など形に見えないものも、実は大いに価格に影響を与えます。
例えば、マンションの耐震性が基準値に満たないなど数字的に劣っているトラブルが起こったとしても、売主の対応が迅速で誠意あるものであるなら、むしろそのマンションのブランド価値があがることもあります。
不動産は「ロケーション、ロケーション、ロケーション」と言われるように、立地が最重要であることは間違いないですが、特に近年はちょっとしたうわさ話や消費者の好みの変化によって価格に思わぬ影響を与えることがあることに注意する必要があります。

見極めのコツ1:賃料を確認する

マンションの価格はさまざまなものに影響されて決まりますが、賃料も同様にさまざまなものに影響されて決まります。
必ずしも、一対一の関係性とは言えませんが、価格が高いマンションは賃料も高いはずなので、購入を考えているマンションの賃料相場を調べることは、価格を判断する1つの指標となります
いわゆる収益還元法という手法は、賃貸することを想定して、不動産の賃料収入に基づく収益性から価値判断するものです。そのため、この賃料を確認する作業は理にかなっていると言えます。また、売買経験がない人でも、賃料ならば判断しやすい指標であり、サイトはもちろんのこと、街の不動産屋やフリーペーパーなどでも情報を入手しやすいこともメリットと言えるでしょう。

見極めのコツ2:相場を確認する

相場の確認で重要な点は、競合するエリアはどこなのかと、競合する物件は何なのかを確認することです。
エリアに関しては、例えば○○駅から徒歩圏という定め方をした場合に、○○駅から1分から15分程度がその範囲内と考えがちです。
しかし、徒歩1分と15分ではまったくその利便性が異なり、代替性が高いとは言えません。この場合は、同じ路線上の同じような乗降客数の駅で、その駅への距離が1分程度の範囲を競合エリアとしなければなりません。
また、物件の競合に関しては、設備や品等以外に、1LDKなどの部屋タイプが同じで面積差が少ないことも重要であります。
これらに注意して確認した相場観から考えられる適正価格は、取引事例比較法という不動産の価格を市場性から求める手法に近い考え方であります。従って、マンションの価格を把握する場合に有効な方法と考えられます。

まとめ

今回は適正価格を見極めるコツについて2つのポイントについてご説明しました。
さらに大事なのはマンションの価格に変化をもたらす要因そのものが、時代の移り変わりや人のライフスタイルの変化によって変わることであります。
従って常に市場動向を観察し、その変化をとらえて、購入時のタイミングを逃さないことも、忘れてはならないコツと言えるのかもしれません。

執筆者プロフィール

田井 能久様

田井 能久
田井 能久(不動産コンサルタント)
不動産鑑定士として25年のキャリアを持つ。訴訟や調停、並びに相続等の税務申告のための鑑定評価書の作成が得意。 最近はマレーシアを中心としたビザの取得と海外移住のサポートを通して、トータルな資産コンサルティングも展開している。

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