長く快適に住み続けるために知っておきたい!住宅のセルフチェックのポイント

建物の【内側】セルフチェック

2022年4月20日 更新
建物の【内側】セルフチェック

床や内壁、天井といった建物の内側は、主に経年や使用時の摩擦汚れ、水まわりの家事にともなう水気や湿気などで傷みが生じます。普段は目につかない床下などで漏水やシロアリ被害が拡大していることもあるので、できれば年1回を目安に点検をしましょう。

【床】のセルフチェック

フローリングに割れ、欠け、きしみがある
ビニル系床材に剥離が見られる
歩くとフワフワと沈む部分がある
床の柱のまわりに木くずが落ちている
床のセルフチェック

建物の床は、日常的に掃除をしたり、歩いたりすることで劣化に気付きやすい部分です。
使用時の摩擦や衝撃で生じた細かなキズであれば、市販の補修材を使って手軽に補修できます。ただし、次のようなポイントに当てはまる場合は、DIYでの対処は難しいため、専門家に相談したほうがよいでしょう。

フローリングに割れ、欠け、きしみがある
……深刻度★★☆

木材は湿度によって膨張や収縮を繰り返す性質があるため、湿気の多い場所や、逆にエアコンで乾燥しやすい場所ではフローリングが変形し、割れたり、欠けたり、ギシギシときしむ場合があります。
放っておくと範囲が拡大したり、割れ目から水分が入って下地を腐食させてしまうこともあります。

ビニル系床材に剥離が見られる
……深刻度★☆☆

クッションフロアやクッションタイルなどのビニル系床材の一部が剥がれてしまったときは、市販の床用接着剤で対処します。ただし、ビニル系床材の耐久年数は10年程度ですので、寿命と思われる場合、または広範囲に剥がれてしまった場合は張り替えも検討しましょう。

歩くとフワフワと沈む部分がある
……深刻度★★★

床が沈むとビックリしますが、経年により木材が乾燥収縮して、部分的に少し沈む程度なら心配ないケースがほとんど。けれども沈む範囲が広いときは、湿気などによる下地材の腐食や、シロアリの食害、地盤沈下の可能性があるため、専門家に点検を依頼してください。

床の柱のまわりに木くずが落ちている
……深刻度★★★

床下に侵入したシロアリが増えて、柱や壁まで食害が広がると、柱のまわりなどの床に木くずや、木くずのようなフンが集まることがあります。湿気の多い水まわりや結露の多い窓まわりの床は要注意です。

【内壁・天井】のセルフチェック

クロスの黄ばみ、剥がれ、汚れが目立つ
内壁や天井の表面にシミやカビがある
屋根裏にシミやカビがある
断熱材に剥がれや隙間が見られる
内壁・天井のセルフチェック

内壁や天井のクロス(壁紙)が劣化しやすいのは、油などが飛び散りやすいキッチンや湿気の多い水まわり、直射日光が差し込む場所などです。また、内壁や天井の表面にシミ跡が見られたら、雨漏りや配管からの漏水などを疑ってみましょう。

クロスの黄ばみ、剥がれ、破れが目立つ
……深刻度★☆☆

内壁や天井のクロスは、生活するうちに日焼けによる黄ばみ、収縮による剥がれなどが目立ちやすくなります。剥がれや破れは市販の補修材で対処できますが、一般的にクロスの耐久年数は10年くらいと言われています。使用年数や汚れ具合によっては貼り替えを検討してもよいかも知れません。

内壁や天井の表面にシミやカビがある
……深刻度★★★

屋根や外壁からの雨漏り、湿気や結露、配管からの漏水などが原因で、内壁や天井の表面にシミやカビが発生することがあります。このまま放置すると、建物内部の腐食のリスクが高まるため、専門家に相談して、詳しい原因を突き止めてもらいましょう。

屋根裏にシミやカビがある
……深刻度★★★

天井の点検口から屋根裏(小屋裏)を覗けるようであれば、雨漏りや湿気によるシミがないか、カビくさい臭いがないかどうかを確認してみましょう。戸建て住宅では天井の点検口が狭い場合が多いので、確認が難しいときは無理せずに専門家に相談してください。

断熱材の剥がれや隙間が見られる
……深刻度★★☆

屋根裏に敷き詰められた断熱材の一部が剥がれている、または隙間がある状態だと、住まいの断熱性が低下します。また、古い住宅では断熱材が入っていない場合もあります。DIYで断熱材の隙間を埋めることも可能ですが、高所で危険をともなうため、専門家に依頼したほうが無難です。

【水まわり】のセルフチェック

蛇口からポタポタと水滴がしたたる
蛇口から赤水が出る
配管から水が漏れる
タイルにヒビ割れ、欠けがある
水まわりのセルフチェック

キッチン、浴室、サニタリーなどの水まわりは、日常的に水を使うため湿気によるシミやカビが発生しやすい場所。日頃から拭き掃除や換気を心がけるとともに、水漏れや赤水に気付いたら、すぐに対処して大きなトラブルに発展するのを防ぎましょう。

蛇口からポタポタと水滴がしたたる
……深刻度★★☆

蛇口のハンドルやレバーを閉めても、ポタポタと水が漏れてくる原因のほとんどはパッキンの摩耗ですので、新しいパッキンと交換すれば水は止まります。パッキンの交換は、DIYでも対処可能です。

蛇口から赤水が出る
……深刻度★★☆

排水管工事により赤水が出ているかも知れないので、お住まいの自治体の水道局のWEBサイトなどで工事情報を確認しましょう。また、近所でも赤水が出ていないか確かめてください。どちらにも当てはまらない場合は、給水管が劣化してサビついている可能性があります。

配管から水が漏れる
……深刻度★★★

排水管や給水管の接続部分が緩み、そこから水が漏れているなら専用工具で締め直せばOK。ただし、給排水管の破損やヒビ割れが原因と思われる水漏れは、専門家に点検と修繕を依頼しましょう。水漏れを放置すると、床や壁内部の腐食につながるため注意が必要です。

タイルにヒビ割れ、欠けがある
……深刻度★★☆

浴室など水まわりのタイルが破損すると、そこから水が入り込んで下地を腐らせることがあります。表面の細かいヒビなら市販の補修材で対処できますが、広範囲に及ぶヒビ割れや、破損して下地まで届いている場合は専門家に相談することをおすすめします。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

水まわりの指定工事店って?自治体サイトなどでリストを確認!

水まわりの指定工事店って?自治体サイトなどでリストを確認!

水まわり設備の工事は、蛇口のパッキンやコマ交換など軽微な修繕ならDIYでも対処できますが、給排水管にかかわる修繕や工事の場合、自治体が指定する工事店(指定給水装置工事事業者)でしか施工することができません。指定工事店を探すときは自治体の水道局に問い合わせるか、水道局のWEBサイトなどで指定工事店のリストをチェックしてください。

【床下】のセルフチェック

湿気が多い、カビくさい
配管から水が漏れる
基礎にヒビ割れがある
シロアリの痕跡が見られる
床下のセルフチェック

普段は目にすることのない床下ですが、建物の耐久性にかかわる重要な部分です。できれば年1回は点検して、状態を確認しておきましょう。点検時は汚れてもいい服装で、マスクや軍手を着用し、懐中電灯やカメラも持参します。床下にもぐることが難しい場合は、無理せずに専門家に依頼してください。

湿気が多い、カビくさい
……深刻度★★☆

床下に湿気が多いと、カビの発生や木材の腐食、シロアリ被害につながりやすく、住まいの劣化を進める原因となります。特に水まわりの床下は湿気がたまりやすく、カビくさい臭いが1階まで立ち上って、不快感やアレルギーなど健康に影響を及ぼす可能性も。

配管から水が漏れる
……深刻度★★★

普段は見えない床下の給水管や排水管から水漏れが発生すると、知らず知らずのうちに床下の腐食が進み、水道料金も高額になるなど大きなダメージを引き起こします。給排水管に破損がないか、接合部に緩みがないか、しっかりとチェックしましょう。

基礎にヒビ割れがある
……深刻度★★★

建物の【外側】セルフチェック」では基礎の外側(立ち上がり)からの状態をチェックしましたが、床下からも基礎を目視して、ヒビ割れがないか確認してください。細かなヒビ割れは問題ありませんが、ヒビの幅0.3ミリ以上、深さ5ミリ以上のヒビ割れがあれば点検・補修が必要です。

シロアリの痕跡が見られる
……深刻度★★★

シロアリは地面の下から「蟻道(ぎどう)」と呼ばれる土のトンネルを伸ばして床下へ侵入し、木材をエサにして建物全体に被害を及ぼします。木材や基礎のコンクリートに蟻道が見られたり、木材のまわりに大量の木くずが落ちていたりする場合、シロアリが発生していると考えられます。

まとめると…まとめると…

セルフチェックで快適な住まいに。入居後もきちんと維持・管理しよう

水まわりの指定工事店って?自治体サイトなどでリストを確認!

マンションでは管理組合が建物の修繕や補修を行いますが、戸建て住宅の場合、入居後の定期点検が義務づけられている訳ではありません。だからといって点検やお手入れを怠ると、住まいの寿命は短くなり、快適な暮らしを維持することができなくなります。
大切な我が家を長持ちさせるために、自分で確認できる部分は点検を行いましょう。現状を知ることで住まいへの愛着が増し、きちんと維持・管理するためのモチベーションも高まります。