2013年1月30日 更新
工務店やリフォーム会社に希望のリフォーム内容を伝えると、その工事にかかる金額を算出した「見積書」が提出されます。見積書は、費用の目安になるだけではなく、設備や材料のグレード、会社の考え方などまでチェックすることができるため、この書類が大満足のリフォームになるかどうかのカギになるといっても過言ではありません。
そこで見積もりの流れや見積書の読み方、注意点などを押さえながら、費用と内容のバランスがとれたリフォームを目指すコツを伝授します。
見積書が提出されたからといって、その見積書の金額どおりにリフォームが進められる訳ではありません。なぜなら、最初に提出される見積書は「概算見積もり」といって、金額の目安を記したものだからです。この概算見積もりをチェックして大まかな金額と工事内容などに納得すれば仮契約へと進み、詳細な打ち合わせと実施設計を元に、より正確な「工事見積もり」が算出されます。
実際に見積もりから契約までの流れを見て見ましょう。工事の種類や、依頼先が工務店になるかリフォーム会社になるかなどによって見積もりに至る段取りや回数について多少の違いはありますが、大体の流れは下の図のようになります。「概算見積もり」の段階では、複数社から見積もりをとって、工事にかかる金額やリフォーム内容を比較・検討する「相見積もり」をするのも良いでしょう。
●リフォームの問い合わせから工事着工までの流れ
- 工務店やリフォーム会社など、気になる会社をピックアップして問い合わせをしましょう。
- リフォームの目的や範囲などを聞き取った上で、住まいの状態を確認します。
- (2)のヒアリングと現地調査を元に、リフォームプランと概算見積もり(大まかな見積もり)が提案されます。プランは2~3種類提案される場合が多いようです。
- 各社が提案したリフォームプランや予算などを見比べた上で、会社を決定します。ここで仮契約となり、手付金を支払います。
- リフォームプランをベースに、設計担当者と打ち合わせを行います。(2)のヒアリングよりも、より具体的に工事の範囲や設備、材料の詳細を詰めていきます。
- (5)の打ち合わせ内容に沿って、実際に工事で使う図面が作成されます(これを実施設計と言います)。この図面をもとに、詳細な工事見積もりが提出されます。
- (6)で提出された工事見積もりに納得がいけば、正式契約(工事請負契約)の締結です。工事完了が待ち遠しいですね!
- 「概算見積もり」では大まかな費用が、「工事見積もり」ではより詳細な金額が分かる。
実際に見積もりを依頼する時には、設計者やプランナーなどの専門家に住まいを見てもらって、リフォームプランを立ててもらうことになります。
この時に大切なのは、予算を伝えるのはもちろんですが「なぜリフォームをするのか」「どこをリフォームしたいのか」を明確にするために、あなたや家族の要望を的確に伝えることです。あらかじめ要望をまとめて紙に書き出しておけば、考えを整理できますし、また専門家に漏れなく要望を伝えられます。複数の専門家に相見積もりを依頼する場合も、同じ要望を伝えることができますから、各社の見積もりを比較・検討しやすくなるというメリットもあります。
下の表は、要望の記入例です。リフォームをしたい箇所、今抱えている悩みや要望などがひと目で分かるようにフォーマットを作成してみましょう。悩みや要望は具体的なものでも、感覚的なことでも構いません。要望ごとに優先順位を記入しておくと、万が一、予算オーバーになってしまった時でも次のプランを立てやすくなります。
●リフォームの要望まとめ(例)
優先順位 | リフォームしたい箇所 | 今抱えている悩み | 要望 |
---|---|---|---|
1 | 浴室 | タイルのヒビ割れ、浴室がカビやすい。 | タイルを張り替えたい。水まわりに問題がないか調べて欲しい。 |
2 | トイレ | 暗い。和式なので使いづらい。 | クロスを張り替えたい。ウォシュレットの洋式に取り替えたい。 |
3 | 耐震 | 地震が来たら心配。 | 耐震性に問題がないかどうか調べて欲しい。 |
4 | リビング | 収納が少なく、片付かない。 | 収納を増やしたい。 |
5 | ダイニングキッチン | 煙がこもる。足元が冷える。 | 換気に問題がないか調べて欲しい。床暖房を入れたい。 |
6 | 階段 | 段差が急で、すべりそうになる時がある。 | すべりにくい材質にしたい。将来に備えて、手すりを取り付けたい。 |
備考 | 水まわりの修理を優先したい。耐震性に問題があれば耐震工事を検討。 |
- あらかじめ考えを整理して、要望を紙に書き出しておくと便利。
同じ工事でも、材料や設備のグレードなどによって工務店やリフォーム会社ごとに金額に差が出る場合もあります。会社ごとの金額や工事の内容を比較・検討するためには、複数社に見積もりを依頼する「相見積もり」を行うと良いでしょう。
リフォームに関する書籍などで「相見積もりは絶対に行うべき」と書いてあることも多いのですが、あくまでもケースバイケースで構いません。確かに相見積もりは、なにかと分かりにくいリフォームの金額の相場を知ることができ、何よりも各社の考えや担当者の対応を見比べる絶好の機会でもあります。
ただ、新築でお世話になった工務店がリフォームを行っていて、日頃のメンテナンスなどで信頼がおけるような場合、リフォームもその会社にお願いした方がスムーズに話が運ぶと考えられます。なぜならその会社は、アフターケアで住まいの状態を熟知しているからです。
実際にリフォームを行った人は、2~3社で相見積もりをとるケースが多いようです。極端に多くの会社から見積もりをとると収集がつかなくなりますから相見積もりは多くても3社程度にとどめましょう。
- 多くても3社程度と心得る。それ以上多くなるとかえって大変!
相見積もりをする時に気を付ける点としては、金額の安さだけに気をとられないこと。金額に大きな違いがあったとしても、材料や設備のグレード、工事以外のサービス(仮住まいや引っ越しのサービスなど)、工事範囲といった面で金額がプラスになっている可能性があるからです。もちろん不必要なグレードやサービスは省くべきですが、必要なものが欠けているのでは意味がありません。大切なのは、あなたが「工事の内容と金額に納得がいくかどうか」という点です。
相見積もりをして、他社と金額に差があるところは、そのような金額になった理由を聞くようにしましょう。もしかしたら、「金額は高いけれど、このグレードやサービスが良いんですよ!」という会社のこだわりを発見できるかもしれません。
相見積もりは工事価格の相場を知り、納得のいく工事内容と金額を見つけるためのステップです。相見積もりを元にした無茶な値引き交渉は、工事の質の低下につながりかねないのでやめましょう。また、見積もりを依頼する各社に相見積もりである旨を伝え、提出してもらった見積書は他社に公開しないことがマナーです。
- 金額にとらわれず、総合的にリフォームの質を見極める。
見積書を見比べる時に、金額の安さだけに気をとられてはNGということは先ほども説明しました。では、具体的に見積書のどの部分を重点的にチェックすれば良いのでしょうか?
結論から言うと、見積書の表記方法は会社によって異なるため、「ここを見比べれば分かる」というポイントは存在しません。ただし、見積書の先頭にある「内訳書」には、工事の種類が細かく記載されているので、見積書を比較・検討する時にはこの内訳書を中心にチェックしていくことになります。
担当者から、内訳書にある項目を一つずつ丁寧に説明してもらい、工事の内容や付随するサービスについてしっかり確認します。このやりとりを通して、それぞれの会社が提案するリフォームのグレードやサービスの範囲が見えてくるはずです。また、担当者があなたの疑問にきちんと答えてくれるか、プロの目線から適切なアドバイスをしてくれるかなどによって、会社の姿勢なども分かることでしょう。ここから、安心してリフォームをおまかせできる会社かどうかを判断します。
見積書を読む上で、知っておきたい主な項目やポイントについて以下にまとめてみました。見積書に出てくる用語をあらかじめ知っておけば安心ですが、何よりも大切なのは、納得がいくまで見積書の内容を担当者と確認することであると覚えておきましょう。
- 担当者と見積書の内容を確認し、安心して工事をまかせられるかどうかを判断する。
- 【仮設工事】
- 足場組み、仮説電気、仮設トイレ、養生など、安全で作業しやすい環境をつくる工事
- 【基礎工事】
- リフォームの場合、主に増改築や耐震補強工事に必要な基礎をつくる工事
- 【解体工事】
- 不要になった部分の撤去作業。廃材処分費もここに含まれる
- 【木工事】
- 主に木材を扱う工事。建物の骨組みや断熱材の施工など
- 【防水工事】
- 屋外や浴室の防水処理を行う工事
- 【左官工事】
- 外壁や内壁を塗る工事
- 【内外装工事】
- 外壁、天井、壁、床などの仕上げの工事
- 【別途工事】
- 建築に直接関係しない工事。水道、電気、ガスの引き込み工事など
※見積書に消費税が含まれているか、有効期限や工事範囲なども忘れずにチェックする
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