住宅ローンの借り換えのポイント

金利上昇時の節約対策として注目される住宅ローンの借り換え。借り換えの仕組みや、メリット・デメリットなど、借り換えを検討する上で押さえておきたい基礎知識をまとめました。
このページの見どころ!!
住宅ローンの「借り換え」とは
今より低金利のローンへ乗り換える負担軽減策

借り換えとは、別の金融機関で新たに住宅ローンを組み、現在借り入れているローンを一括返済することです。 住宅ローンは長期間にわたって返済が続くため、返済期間中に金利が変化したり、もっと有利な条件のローンが出たりする場合もあります。今より金利の低いローンに借り換えることで、総返済額や利息の支払いが少なくなります。
借入額3000万円、返済期間35年、元利均等方式、全期間固定金利型の場合
金利 | 総返済額 | 支払利息額 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
0.5% | 約3271万円 | 約271万円 | 7万7875円 |
1.0% | 約3557万円 | 約557万円 | 8万4685円 |
1.5% | 約3858万円 | 約858万円 | 9万1855円 |
2.0% | 約4174万円 | 約1174万円 | 9万9378円 |
上の表のように、3000万円の住宅ローンを返済期間35年で借りた場合、金利0.5%なら支払う利息は約271万円。これが1.5%だと、利息は約858万円となります。金利が1%違うだけで支払利息や毎月の返済額が大きく変わってくるため、一度ローンを借り入れたからといって借りっぱなしにせず、定期的に見直すことが大切です。
金利上昇ムードが借り換えの後押しに
現在の金利情勢に目を向けると、2024年の日銀による政策金利の引き上げを受けて、多くの金融機関で住宅ローンの金利が上昇しています。
金利が上がっても、完済まで金利が変わらない全期間固定金利型で住宅ローンを組んでいれば影響を受けませんが、半年ごとに金利が見直される変動金利型で住宅ローンを借りている場合、金利の上昇によって総返済額が増えることが予想されます。
とはいえ、住宅ローンの金利は金融機関によって異なり、新規借り入れや借り換えの金利優遇策を打ち出しているケースも。この機会に、今より金利の低い金融機関や、固定金利への借り換えを検討してみるのもおすすめです。
【住宅ローンの金利タイプは大きく分けて2つ】
- 変動金利型
- 半年ごとに金利が見直され、それにともなって返済額が変動する。当初の金利は固定金利型より低いものの、返済途中で金利が上がると返済額も増えてしまう。
・ローン開始時の金利設定…固定金利より低め
・金利上昇リスク…あり
- 固定金利型
- 返済当初から完済までの金利が変わらない「全期間固定金利型」と、当初の一定期間(3年・5年・10年など)は金利が変わらない固定金利型となり、固定期間終了後に、固定金利か変動金利かを選択できる「固定金利選択型」がある。
「全期間固定金利型」だと、返済途中に金利や返済額が増える心配がないため、返済計画を立てやすい。
・ローン開始時の金利設定…変動金利より高め
・金利上昇リスク…なし(全期間固定金利型の場合)
借り換えのお得なメリットとは?
住宅ローンの返済負担を減らせるのは嬉しい限り

住宅ローンの借り換えを行う場合のメリットを紹介。具体的に、どのような点がお得になるのでしょうか?
総返済額や利息の支払いを減らせる
現在返済している住宅ローンよりも低金利のローンに借り換えれば、支払う利息が減り、それにともなって総返済額も減少します。借り換えにはローン保証料などの諸費用が発生しますが、一般的な目安として、
- (1)借り換え先のローン金利が0.5%以上低い
- (2)借入残高が1000万円以上
- (3)残りの返済期間が10年以上
以上の3つの条件にすべて当てはまる場合は、借り換えにともなう諸費用を差し引いても、メリットを受けやすいといわれています。
固定金利への借り換えで金利上昇リスクを避けられる
変動金利から固定金利へ借り換えた場合、金利が高くなる分、毎月の返済額も高くなってしまいますが、完済までの総返済額が確定するため、生活設計が立てやすくなります。将来の金利上昇リスクを避けて、計画的に返済したい人におすすめです。
団信の保障内容をアップグレードできる
団信とは、ローン契約者が死亡したり高度障害になったときに、以降のローンの支払いが免除される生命保険で、ほとんどの住宅ローンで加入が義務付けられています。
最近では、がん保障などさまざまな保障がついた団信が登場しているので、借り換えによって保障内容のアップグレードも可能に。借り換え先の住宅ローンを選ぶときは、金利のみならず、団信の保障内容にも目を向けてみましょう。
借り換えで注意したいデメリットとは?
借り換えにともなう諸費用の発生など、思わぬ注意点も

住宅ローンにはお得なメリットがある一方で、注意したいデメリットもあります。
諸費用がかかり、かえって損をすることがある
住宅ローンの借り換えには、ローン保証料、抵当権抹消費用や登録免許税、ローン事務手数料などの諸費用がかかります。諸費用の金額の目安は借入額の3~4%といわれているため、金利の安さだけで決めてしまうと、諸費用を引いたら損だった…なんてことがあるかも知れません。
ローン保証料 | 新しいローンの保証会社と保証契約を結ぶための費用。借入額・返済期間により金額は異なる。保証料不要の金融機関もあり |
---|---|
抵当権抹消費用 | 不動産1件につき1000円 |
登録免許税 | 抵当権設定のための費用。借入額の0.4%程度ということが多い |
司法書士への報酬 | 抵当権の抹消・設定手続きを依頼する司法書士へ5~10万円程度を支払う |
印紙代 | 契約書に貼る印紙代。金額は2~6万円程度 |
繰り上げ返済手数料 | 借り換え前の住宅ローンを一括返済するための手数料。金額は3~5万円程度と金融機関により異なるが、インターネット手続きならほとんどの金融機関で無料に |
ローン事務手数料 | 新しいローンを借り入れる金融機関に支払う手数料。金額は3万3000円程度か、借入額の2%程度ということが多い |
手続きや書類の準備などの手間がかかる
借り換えをするには、借り換え先の金融機関で改めてローン審査を受けなくてはなりませんし、審査に必要な書類を準備するなど、いろいろと手間がかかります。
また、ネット銀行ではない対面型の金融機関だと、窓口に直接出向く必要があるため、金融機関が開いている平日の日中に仕事を休まなければならないケースも生じます。
変動金利への借り換えだと金利上昇リスクがある
今より金利の低い住宅ローンを選んだとしても、変動金利への借り換えの場合は、金利上昇時に返済額が増える可能性があります。金利上昇リスクを避けるには、固定金利へ借り換えるか、金利上昇時の対策を考えておく必要があるでしょう。
まとめると…
条件が合えば恩恵は大

住宅ローンは、元金と利息を合計した総返済額を返済するため、より金利の低いローンに借り換えることで、総返済額を大幅に減らせる場合があります。ただし、諸費用がかかるといったデメリットもあるので、メリットとデメリットをよく比較して、借り換えのメリットを享受できるかどうかを確かめてみましょう。
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最終更新日 2025年9月1日
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