親子でチェック! お金と相続の話
二世帯住宅を計画するにあたって、資金計画をどうしようかと悩んでいる人も多いのでは。気になるローンの組み方や、親の生前から考えておきたい相続対策まで、二世帯住宅のお金と相続のポイントを押さえて、安心を手に入れましょう。
二世帯住宅の資金計画をどうする?
お金のことは先送りせず、負担割合を決めておく
家づくりにかかるお金は、本体工事費、外構工事費などの「建築費」に加えて、税金や手数料などの「諸経費」、「土地取得費」(親世帯が所有する土地に家を建てる場合は不要)があります。
これらの費用について、どちらがどれくらい負担するのか、用意する頭金やローンの組み方なども含めて、あらかじめ負担割合を決めておきましょう。
なお、家づくりのお金というと、建築費や土地取得ばかり気になって諸経費のことを忘れがちですが、注文住宅の諸経費は総費用の10%程度が目安といわれているので、3000万円の家なら約300万円の諸経費がかかります。諸経費は現金での支払いが必要になる場合も多いので、どちらが資金を用意するのか、きちんと話し合っておきましょう。
二世帯住宅のローンの組み方は3種類
それぞれのローンのメリット・デメリットを把握しよう
家づくりの際、多くの人が利用する住宅ローン。親子で資金を出し合って二世帯住宅を建てる場合は、主に3つのローンの組み方があります。
親子でペアローンを組む
「ペアローン」とは、親子が別々に住宅ローンを契約し、同時に返済していく方法です。
ペアローンのメリットは、2人で借入れできるため借入可能額が増やせて、予算の幅が広がること。また、親子それぞれが住宅ローン控除を受けられて節税効果が高いことや、団信(団体信用生命保険)も親と子の両方が加入できるので、万が一のときに遺された家族に経済的な負担がかからないことが挙げられます。
一方、デメリットとしては2本分のローンを組むので手数料などが倍になることや、借入可能額が増えるため、ついつい借り過ぎてしまうリスクなどがあります。
親子でリレーローンを組む
「リレーローン」とは、1本の住宅ローンをリレー方式で返済する方法です。最初は親がローンを返済し、途中で子が引き継いで返済していきます。
リレーローンは親が高齢であっても返済期間を長く設定でき、その分毎月の返済額を抑えられるのがメリット。また、親子の収入を合算できるので、借入金額を増やすことも可能です。 ペアローンだとローンが2本になるので手数料なども倍になりますが、リレーローンの場合は手数料などが1本分で済むのも魅力でしょう。
デメリットとしては、団信に加入できるのは1人だけで、子が加入していると親が亡くなってもローンの返済が続くことが挙げられます。親のローン返済中であっても子は連帯債務者となり、他のローン(マイカーローンなど)を組みにくい点にも注意しましょう。
子が単独でローンを組む
親が頭金を出し、子が単独でローンを組んで返済していく方法もあります。
子が単独でローンを組むメリットは、親が高齢で収入が少なくてもローンの審査に関係なく、ペアローンやリレーローンよりも契約手続きなどが簡単に済むことです。
単独なので借入可能額が少なくなるというデメリットもありますが、その場合は親の収入を合わせる「収入合算」を行い、借入可能額を増やすことができます。
入居後の生活費の分担も決めておく
曖昧になりやすい水光熱費や食費の負担割合を明確に
独立タイプの二世帯住宅なら電気・ガス・水道のメーターが別々なので気になりませんが、共有タイプや部分共有タイプの場合は、水光熱費や食費などの生活費について、負担割合や支払いの方法について、あらかじめルールを決めておきましょう。
家づくりの費用と同様、お金の問題をうやむやにしていると納得のいかない部分が出てきて、トラブルの種になるおそれがあります。
当初に目安となるルールを決めた上で、各種プランを変更したり、親の退職、孫の進学・独立といったライフステージの変化に合わせて、その都度、負担割合のルールを見直せるようにすると、お金のストレスが少なくなります。お互いに無理をせず、日頃からざっくばらんに話し合える関係づくりがポイントです。
ちょこっとメモ!
メンテナンス費用は意外な盲点? 将来、慌てないように親子で話し合っておこう
どんな家でも、経年による部材の劣化や設備の故障は避けられません。新築から15~20年も経つと、外壁や屋根の塗り替え、ベランダの防水、水まわり設備の従前・交換などのメンテナンスが必要になり、数十万~100万円以上もの費用がかかることも。特に二世帯住宅は1世帯分の家よりも建物が大きく、水まわりなどの設備が別々の間取りタイプならその分のメンテナンスの費用もかかりがちです。
いざというときになって慌てることがないよう、日頃から建物のメンテナンス計画について親子で考え、費用として積み立てておくとよいでしょう。
相続税対策になる「小規模宅地等の特例」とは
土地の評価額を80%減額して、相続税を減額する制度
近年、親の遺産を相続する際の税対策として、二世帯住宅を選ぶ人が増えています。
亡くなった親の財産を相続するときに、相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると相続税がかかりますが、二世帯住宅で親と同居していた子が土地と建物を相続すれば、土地の評価額を80%減額できる「小規模宅地等の特例」を利用できる可能性があります。
「小規模宅地等の特例」とは
- 【適用の要件】
- ・親の生前から同居していた
- ・土地は親の名義になっている
- ・家賃が発生していない
- ・区分所有登記をしていない
- ・相続発生から10カ月間、引き続き居住している
- …など
上記の要件をクリアしている場合、土地面積330㎡までなら評価額を80%減額できます。 相続税は土地の評価額に応じて課税されるため、土地の評価額の大幅な減額が、相続税の減額につながります。
兄弟姉妹と相続について話し合っておく
事前の取り決めがないと、相続トラブルが発生するかも…
二世帯住宅では、親が亡くなったら同居する子が自宅を相続し、引き続き住んでいくのが一般的。 その際、親が自宅のほかに預貯金・現金などの財産を遺しており、相続人の子たち(兄弟姉妹)で円満に分割できるのであればトラブルになる可能性は低いでしょう。
けれども、もしも子に兄弟姉妹がいて、親の遺した財産が自宅だけという場合は、同居の子が自宅を受け継ぐと、兄弟姉妹は相続する財産がなくなってしまいます。そうなると、受け継ぐ財産のない兄弟姉妹に不満がたまり、身内同士の争いに発展するおそれがあります。
相続トラブルを防ぐには…?
将来の相続トラブルを防ぐには、二世帯住宅の計画が持ち上がった段階で、兄弟姉妹間で親の財産と相続について話し合うことが大切です。
もしも親の財産が自宅だけという場合は、「同居する子が自宅を相続する代わりに親の介護を引き受ける」か「相続した自宅の評価額と同程度のお金を兄弟姉妹に支払う」、もしくは「親の死後に自宅を売却して、そのお金を兄弟姉妹で分ける」といった方法などで、円満な相続を行いましょう。
まとめると…
親世帯と子世帯が幸せになる家づくり。程よい距離感で快適な暮らしを満喫!
社会の少子化・高齢化が進み、人とのつながりが薄れつつある現在、二世帯住宅で親世帯と子世帯が暮らすことは、家族のつながりや支え合いの心を深めるチャンスといえます。
同居にまつわる不安があれば、プランニングの段階でしっかりと話し合い、不安をクリアにした上で計画を進めていきましょう。親世帯と子世帯の程よい距離感を保つ間取りと暮らしのルールづくりで、快適な新生活をスタートさせてください。
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最終更新日 2024年10月2日
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