二世帯住宅のメリット・デメリット
二世帯住宅では、親世帯と子世帯が一緒に住むことで得られるメリットもあれば、デメリットもあります。二世帯住宅のメリット・デメリットを押さえて、これからの暮らしをイメージすることが、家づくりを成功させる第一歩です。
今「二世帯住宅」が注目される理由は?
共働き家庭の増加で、生活の支え合いが求められるように
二世帯住宅といえば、かつては「プライバシーがない」「生活に干渉される」といったデメリット面ばかり強調されがちでしたが、近年は「家事を分担できる」「生活費を折半できる」など、親世帯と子世帯が生活を支え合うメリットが見直され、二世帯住宅を積極的に選ぶケースが目立つようになりました。
子世帯は「負担軽減」、親世帯は「安心」を重視
二世帯住宅が選ばれるようになった理由として、共働きをしている家庭が増えていることが挙げられます。
内閣府の「男女共同参画白書 令和4年版」よると、妻が64歳以下の世帯のうち、共働き世帯の割合は7割以上。子世帯からすると、夫婦で働きながら育児や家事を行うために、親世帯と一緒に暮らしながら育児や家事を手伝ってもらい、負担を軽減したいというニーズがあります。
また、親世帯のほうも子世帯と同居することで、病気になったときや介護の不安が軽減されるなど、生活の安心につながります。
これから二世帯住宅を検討するなら、まずは二世帯住宅のメリット・デメリットの両方に目を向けることが大切。今の住まいとの違いや、暮らしがどのように変わるのかも考えてみましょう。
メリット①「建築コストや生活費を節約できる」
水まわりなどをまとめればコストダウンが可能
二世帯住宅で玄関や水まわりなどの設備を共有すると、設備費用や建築面積の削減につながり、別々に2軒の家を建てるよりもコストダウンをはかることができます。
また、親世帯が所有する土地に家を建てる場合は、土地取得費もかかりません。
入居後にかかる水光熱費も、電気やガス、水道のメーターを1つにすれば基本料金も1世帯分に。その他、スマホやインターネットなどの通信費も家族プランを利用するなど、大家族のメリットを活かして生活費を節約できます。
メリット②「育児や家事を親にサポートしてもらえる」
近くにいる親が育児や家事を手伝ってくれるから安心!
共働きが主流となった今も、夫婦で働きながら、毎日の育児や家事をこなすのは簡単なことではありません。そのような状況で、同居の親に育児や家事を手伝ってもらえるのは、子世帯にとって大きなメリットといえます。
特に、子どもが病気で保育園や学校を休んだときに、祖父母に面倒をみてもらえるのは心強いもの。また、子どもが小学校に上がると放課後の預け先が限られていたり、預かってもらえる時間も保育園より短くなったりしますが、二世帯住宅なら、子どもが学校から帰ったら祖父母のもとへ直行し、そのままママ・パパの帰宅時間まで過ごせるので、安心して仕事と子育てを両立できます。
メリット③「祖父母と孫の関わりが増える」
祖父母と孫との触れ合いが、楽しみや成長につながる!
二世帯住宅で暮らすようになると、祖父母と孫が触れ合う機会が自然と増えます。
祖父母は、孫から元気をもらったり、孫を介して夫婦の会話や子世帯との交流が増えたりして、イキイキと充実した毎日が過ごせるでしょう。
孫のほうも、自分のママ・パパ以外に成長を見守ってくれる祖父母が身近にいれば安心ですし、ママ・パパとは年齢や立場の異なる祖父母と接することで、さまざまな価値観や他者への思いやりに気づくキッカケになるはずです。
メリット④「親の様子がすぐに分かり、介護がしやすい」
会いたいときにすぐ会える距離の近さで不安を解消
親が高齢になると、病気やケガ、認知機能の衰えなどの心配事が増えるようになります。
親世帯と子世帯が離れて暮らしていると、子どものほうは「親の体調はどうか」「日常の運転や、火の始末は大丈夫か」と不安ばかり大きくなりますが、二世帯住宅なら親の様子を近くで見守れるため、体調や暮らしの変化に気づきやすくなります。
また、突然の病気やケガのときも、すぐに救急車を呼ぶなどスピーディな対応をとることができます。
将来、親が介護を必要とするようになった場合、遠方に住む子が介護のために月に何度も親の家へ出向くのは大変です。その点、二世帯住宅は行き来の負担もなく、介護がしやすいでしょう。
メリット⑤「防災・防犯で協力し合える」
近くで見守り、何かあったらすぐに駆け付けられる
近年は、毎年のように発生する地震や台風、コロナ禍を経て、家族同士の結びつきを大切にする人が増えるようになりました。
もしも災害が発生して、住んでいる地域が被災しても、家族が近くにいれば手を取り合って協力することができます。特に高齢者は体力的に自力での避難が難しい場合もあるため、避難をサポートしてくれる子世帯が近くにいると心強いでしょう。
また、近年は高齢者をターゲットにした詐欺(振り込め詐欺、還付金詐欺、リフォーム詐欺など)や悪質な訪問販売が社会問題となっています。こうした詐欺や訪問販売を防ぐためには、親子が日頃から顔を合わせてコミュニケーションをとり、ささいな変化も見逃さないようにすることが有効です。
メリット⑥「相続税対策になる」
要件を満たせば、相続にかかる税金を減らせる可能性が!
家族が亡くなると、故人が所有していた不動産や預貯金などの財産を、配偶者や子どもが相続します。 このとき、相続する財産が基礎控除を超えると相続税が発生しますが、親子で同居している二世帯住宅の相続では「小規模宅地等の特例」を利用できるケースがあり、土地の評価額を80%も減額することができるので、別々に住んでいるよりも高い節税効果が得られます。
「小規模宅地等の特例」にはいくつかの要件があるので、詳しくは「親子でチェック! お金と相続の話」を参照してください。
デメリット①「プライバシーが確保しにくい」
空間を共有していると、気をつかう場面も増えやすい
二世帯住宅は、困ったときに助け合える家族がたくさんいる一方で、プライバシーを確保しにくいという問題があります。
特に、リビングやダイニングを共有する間取りだと親世帯(または子世帯)だけでのんびりくつろぐことが難しくなります。間取りによっては、1人なりたくても落ち着ける時間がない…というケースもあるかも知れません。
もちろん個々の性格や、親世帯と同居するのが息子か娘かなどでストレスの感じ方も変わってきますが、基本的に親世帯と子世帯が共有するスペースが多いほど、プライバシーが気になりやすいでしょう。
デメリット②「共有スペースの使い方で不満がたまりがち」
生活スタイルの違いがイライラ、モヤモヤの原因に
キッチンや洗面台、リビングなどを共有する場合、そこに置いてある物などの扱い方や、使い終わった後の片付けや掃除といった普段の何気ない習慣が、同居する親や子にとってはストレスの種になることもあります。
また、家族の人数が多いと、共有の洗面台や浴室を自分の使いたいタイミングで使えないこともあるでしょう。「朝の身支度で洗面台が混雑する」「長風呂を楽しめない」といった不満も起こりやすくなります。
デメリット③「子育てや生活に干渉される可能性も」
別居なら気にならないことも、同居だと気になってしまうかも
親子とはいえ、今まで別々に暮らしてきた2つの世帯ですから、価値観や考え方、生活スタイルも違っているのは当たり前。
けれども実際に住んでみると、お互いの生活などが気になって、ついつい口を出してしまうケースもあるようです。
中でも子育てについては、親世帯は自身の子育て経験をもとに助言をしがちですが、子育ての常識は時代とともに変化するため、踏み込み過ぎるとトラブルの火種になります。
まとめると…
メリットとデメリットの両面に目を向けよう。適度な距離感があればお互いに暮らしやすい
親世帯と子世帯が同じ家に住む二世帯住宅は、お互いにすぐ顔を合わせられる距離の近さが魅力とされる一方で、近づき過ぎると干渉やプライバシーの問題に発展するおそれもあります。
そこで次のページからは、二世帯住宅のメリットを享受しながら、適度な距離感でお互いに気持ちよく暮らせる間取りについて考えていきましょう。
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最終更新日 2024年10月2日
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