世界の料理と食文化

米から見る世界の料理

2020年6月9日 更新
米から見る世界の料理

日本人の主食といえば「米」。日本では昔からアツアツの白ご飯は食卓にのぼっていますが、米はアジアをはじめとする世界の各地で、さまざまな料理に使われています。

米の種類は主に3つ!

世界で栽培されている米を大きく分けると「インディカ米」「ジャポニカ米」「ジャバニカ米」の3つがあり、それぞれ次のような特徴があります。

インディカ米

インディカ米

日本では「タイ米」と呼ばれることもある米で、米粒が細長く、調理すると粘りが少なくパラパラするのが特徴。南アジアから東南アジア、中国の東北部、北アメリカ、南アメリカなどで栽培されており、世界全体の米の生産量の約8割を占めています。

ジャポニカ米

ジャポニカ米

日本で一般的に食べられている米です。米粒は丸く短めで、炊くと弾力と粘りが出るのが特徴。日本、朝鮮半島、中国北部で主に栽培されており、生産量は世界全体の米の約2割です。

ジャバニカ米

米粒が大きく、あっさりとした味。インドネシアのジャワ島、イタリア、スペインなどで栽培されていますが、生産量は多くありません。

炊くと水分を多く含むジャポニカはやわらかく、そのまま白ご飯として食べられますが、インディカ米はかためでパサパサしているためほかの食材と混ぜ合わせて炒めたり、カレーのような汁気のあるものと一緒に食べたりするのが一般的。ジャバニカ米はスペインのパエリアやイタリアのリゾットなどに使われます。

世界の米の調理法は…

日本のように米を「炊く」地域もあれば、チャーハンのように「炒める」、加工して「麺にする」など、調理法も多彩です。
米を主食としない地域では、肉料理の付け合わせとして米を食べることもあります。

炊く(水で煮る)

炊く(水で煮る)

ジャポニカ米を使う日本や朝鮮半島、中国では、水を加えて煮る炊き方が一般的です。

炊く(湯とりをする)

マレーシアやインドネシアなどの東南アジア、インドなどの南アジアでは、インディカ米に多めの水を加えて茹でてから、残った湯を捨てる「湯とり」という調理法でご飯を炊きます。

粥にする

カオ・トム(タイ)

米を多めの水で煮た粥料理はアジアの多くの国々でみられます。その中の一つ、タイのカオ・トムは、軽くくだいた米を肉のだし汁で炊き上げ、トウガラシやナンプラーなどで味付けして食べます。

炒める

ナシ・ゴレン(マレーシア、インドネシア)

味付けをしたご飯を鶏肉やエビなどの具材と炒め、目玉焼きを上にのせて食べる東南アジアの定番料理。

茹でる

リゾット(イタリア)

リゾット(イタリア)

玉ねぎをオリーブオイルで炒め、米とだし汁を加えて茹でてから野菜やきのこを入れて火を通す料理。米に完全に火を通さず、芯を残すように調理します。

麺にする

ラクサ(ミャンマー)

米の粉からつくる麺は中国や東南アジア、南アジアの各地でみられます。ミャンマーなどで食べられる米の麺、ラクサは、辛めのだし汁をかけて野菜などと一緒に食べます。

薄くのばして包む

ゴイクンなど(ベトナム)

ゴイクンなど(ベトナム)

ゴイクンと呼ばれるベトナムの生春巻きの皮は、米を原料にしたバインチャンというライスペーパーを使います。また、ベトナム風餃子、バンクンの皮も米粉で作られています。

菓子にする

ライス・プディング(欧米、アジアなど)

米に牛乳を加えて煮込んだスイーツは世界各地にあり、英語圏ではライス・プディング、ドイツではミルヒ・ライス、スペインや中南米ではアロス・コン・レーチェ、インドではキールと呼ばれています。

丼にする

ロコモコ(アメリカ)

ロコモコ(アメリカ)

ご飯の上にハンバーグと目玉焼きをのせて、肉汁のソースをかけた丼ご飯。ハワイの郷土料理で、元々はハワイ在住の日系人がつくったといわれています。