不動産に関する補助金制度を解説!制度を理解し有効活用しよう
不動産に関する補助金や減税制度について解説します。
補助金は国や各自治体から金銭的な補助を受けられる制度ですが、自ら調べて申請しなければ利用できません。知っているかどうかで金銭的な大きな差が出るため、本記事の内容をもとに利用できる制度がないかを確認しましょう。
不動産の補助金とは
補助金とは、国や地方自治体から支給されるお金のことです。資金面で個人や中小企業などを援助することで、国や自治体が推し進めたい政策の実現を目指しています。
不動産における補助金は幅広く、不動産購入時に利用できるものやリフォーム時に利用できるものなどさまざま。
また、補助金と似た言葉に「助成金」があり、この助成金も同じく国や自治体からの金銭的な援助です。助成金は要件を満たすことで受給できますが、補助金は件数や予算が決まっており、要件を満たしたからといって必ず受給できるとは限りません。
補助金を受けるためにはいち早く制度を認知し、早めの行動を心がけましょう。
不動産購入時に利用できる補助金
不動産購入時に利用できる補助金は以下のとおりです。
・現金がもらえるすまい給付金
・ZEH支援事業(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
・木造住宅のための地域型住宅グリーン化事業
・エネファーム設置補助金
・長期優良住宅化リフォーム
・グリーン住宅ポイント
各補助金によって要件や期間が定められているため、自分が利用できる補助金であるかどうかをチェックしましょう。
現金がもらえるすまい給付金
すまい給付金とは、消費税率の引き上げによる住宅取得への負担を軽減するための制度です。
居住用の住宅を購入する場合に利用できる制度で、収入などの一定の要件を満たさなければ利用できません。給付金額は最大50万円で、収入に応じて金額が異なります。自分がいくらの給付金額を貰えるのかは、すまい給付金の公式サイトで計算してみましょう。
すまい給付金を受給するための主な要件は、以下のとおりです。
・消費税課税物件
・年収775万円以下
・床面積が50平方メートル以上
・第三者機関の検査を受けた住宅
なお、すまい給付金の実施期間は2021年12月31日(引き渡し・入居)までです。ただし、以下の期間に契約した場合は、2022年12月31日(引き渡し・入居)までに延長されます。
・新築注文住宅:2020年10月1日〜2021年9月30日
・分譲住宅・既存住宅:2020年12月1日〜2021年11月30日
参考:すまい給付金
ZEH支援事業(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
ZEH支援事業とは、環境問題への配慮を目的に省エネ住宅の増加を目指す経済産業省の政策です。
住宅の断熱性能や省エネ性能を向上させるだけではなく、太陽光などの再生可能エネルギーを導入することで、年間の一次エネルギー消費量の収支をプラスマイナスゼロにすることを目指しています。
ZEH支援事業による補助金は建物の断熱性や導入する設備によって異なり、1戸あたり60〜105万円です。申込みは公募期間内の先着方式で決められるため、全ての方が受けられる訳ではありません。
詳しくは経済産業省のサイトをご確認ください。
木造住宅のための地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業とは、事業のグループに採択された地域の中小工務店で木造住宅を建てる際に受けられる補助金です。
しかしながら補助金を受けるためには、以下に示す一定の要件を満たした建物を建てなければなりません。
・高度省エネ型:上限70万円
・長寿命型:上限110万円
・ゼロ・エネルギー住宅型:上限140万円
補助金を有効活用するためにも、依頼する工務店と相談しながら進めていきましょう。この補助金の手続きについては工務店側が行うため、自分で申請する必要はありません。
事業に採択された地域の工務店は以下のサイトから確認できます。
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化リフォームは、リフォーム物件の購入や中古住宅を購入した後のリフォームだけではなく、現在の住まいのリフォームにも利用できる制度です。中古住宅の流通促進やリフォーム促進といった1つの不動産を長く使うことを目的にしています。
既存住宅の劣化対策、耐震性能や省エネ性能の向上といったリフォームで適用されますが、リフォーム内容によって補助金額が変わるため注意しましょう。
・評価基準型:100万円(150万円)
・認定長期優良住宅型:200万円(250万円)
・高度省エネルギー型:250万円(300万円)
三世代の同居に対応した改修工事を実施する場合、若者または子育て世帯が工事を実施する場合、中古住宅を購入して売買契約後1年以内に工事を実施する場合には、括弧内の金額が適用されます。
なお、長期優良住宅化リフォームは指定の施工業者に依頼しなければ補助金が適用されません。指定の施工業者は以下のサイトから確認できます。
参考:事業者情報の公表
グリーン住宅ポイント
グリーン住宅ポイントは、一定の省エネ性能を持つ住宅の取得やリフォームの際に受け取れるポイントです。
新築住宅の場合は、以下の要件を満たさなければなりません。
・契約時に建築1年以内、第三者が未入居の住宅
・一定の省エネ性能を満たす住宅
・購入者等が自ら居住する住宅(1人1回まで)
取得したポイントは、商品との交換や追加工事に充当可能です。交換できる商品やグリーン住宅ポイントの詳細は、以下の公式サイトで確認しましょう。
参考:グリーン住宅ポイント
不動産リフォーム時に利用できる補助金
ここまでは主に住宅取得時に利用できる補助金について解説しました。不動産に関する補助金は、リフォーム時に利用できるものも豊富にあります。
不動産リフォーム時に利用できる補助金は、以下のとおりです。
・介護保険
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業
・次世代省エネ建材の実証支援事業
各補助金を活用することでお得にリフォームができます。
介護保険
高齢者や介護が必要な方と生活する場合は、自宅の改装が必要になるケースが多いです。要介護や要支援の認定を受けた方が生活する住宅では、以下のようなバリアフリーリフォームに対して介護保険から補助金を受けられます。
・手すりの設置
・洋式トイレへの変更
・引き戸への取り替え
・段差の解消
知っているかどうかで費用に差が出る代表例でもあるため、自宅のバリアフリーリフォームの際には補助金の活用を検討しましょう。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、省エネや低炭素化を目的とした断熱改修の際に利用できる補助金です。
戸建てであれば120万円、集合住宅であれば15万円を上限として対象費用の1/3が補助され、戸建ての場合には以下に示す設備導入の際にも適用されます。
・家庭用蓄電システム
・家庭用蓄熱設備
・熱交換型換気設備
次世代省エネ建材の実証支援事業
次世代省エネ建材の実証支援事業とは、高性能な断熱材や蓄熱・調湿機能のある建材を利用してリフォームする際に利用できる補助金です。
補助金の金額は、以下のように分けられています。
・戸建て:内張り断熱(上限200万円)、外張り断熱(上限300万円)
・集合住宅:内張り断熱(上限125万円)
申請できる方は、自己居住用物件の所有者もしくは賃貸住宅の所有者であり、投資用物件のリフォームであっても利用できるのが特徴の1つです。
各自治体にも補助金制度がある
ここまで日本全国で活用できる補助金制度について解説しました。そのほかにも各地方自治体でさまざな補助金制度が用意されています。
お住まいの自治体の補助金制度を調べることで、お得に住宅購入やリフォームができるため一度調べてみましょう。
ここからは、各自治体で用意している補助金の例を紹介します。
・子育て世帯への補助
・省エネ住宅への補助
・同居・近居世帯への補助金
それぞれ解説していきましょう。
子育て世帯への補助
茨城県水戸市では、要件を満たす方に対して最大50万円を支給しています。主な要件は以下のとおりです。
・2020年4月1日以降の工事請負契約により、対象区域に住宅を所得して居住すること
・住宅の工事請負契約日において、同一世帯に中学生以下の子どもがいること
また千葉県勝浦市では、新たに転入した夫婦(どちらか一方が満40歳以下の世帯)が新たに住宅を取得した際に60万円を支給することに加え、中学生以下の子供1人につき5万円が加算されます。
省エネ住宅への補助
東京都では「東京ゼロエミ住宅の認証に関する要綱」に基づき、「東京ゼロエミ住宅」の認証を受けた新築住宅を建築する方に対して、戸建てには50万円、集合住宅には20万円の支給を行っています。さらに太陽光発電システムを設置する場合には、追加で上限100万円の支給も行っているのです。
また、国としての補助金は終了した「エネファーム設置補助金」ですが、各自治体における補助金は続いています。補助金の額などは自治体によって異なるため、以下のサイトをご確認ください。
同居・近居世帯への補助金
千葉県松戸市では子育てのしやすいまちづくりを目指し、同居・近居世帯へ最大100万円を支給しています。主な要件は以下のとおりです。
・中学生以下の子どもがいること(出産予定含む)
・親世帯が市内に1年以上継続して居住していること
また、神奈川県厚木市では近居の場合に40万円、同居の場合は60万円を支給しています。主な要件は以下のとおりです。
・親世帯が1年以上厚木市に居住している方で、親世帯と近居・同居のため市外から転入する子世帯の方
住宅購入時に利用できる減税制度
住宅をお得に購入する方法は、補助金や助成金の利用だけではありません。住宅購入のために用意されている減税制度の内容を理解し、有効に活用しましょう。
住宅購入時に利用できる減税制度は、以下のとおりです。
・住宅ローン控除
・固定資産税の減額措置
・買い換え特例
・譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
それぞれについて解説します。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、年末における住宅ローン残高の1%(最大40万円)を最長13年間にわたって所得税から控除する仕組みです。控除額よりも所得税額が少ない場合は、残りの部分を翌年の住民税から控除します。
住宅ローン控除を利用する際には、年収や建物の面積、住宅ローン期間などの要件があるため、事前に確認しておきましょう。
固定資産税の減額措置
床面積などの一定の要件を満たした新築住宅は、固定資産税の減額措置を受けられます。固定資産税の減額措置は要件が厳しくないため、多くの新築住宅で適用可能ですが、手続きは自分で行わなければなりません。
新築戸建であれば3年間、新築マンションであれば5年間は固定資産税が1/2に減額されます。大きな金額を節約できる方法であるため、忘れずに申請しましょう。
買い換え特例
買い換え特例とは、自宅を売却した後に売却価格よりも高い不動産を購入した際に適用される特例です。本来であれば売却時に購入価格よりも高く売れて利益が出た場合には、譲渡所得税を納めなければなりません。
しかし、買い換え特例を利用した場合、売却価格よりも高い不動産を購入することで、本来納めるべき譲渡所得税を繰り延べできます。
この税金は免除されるのではなく、あくまでも買い換えた不動産を売却するまで繰り延べられる仕組みです。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
不動産を売却して損失が発生した際は、譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を利用できます。
この特例は、不動産売却で出た損失を給与所得や事業所得といったほかの所得と損益通算し、税金を抑えるものです。1年間で控除しきれなかった損失は、その後最長3年にわたって繰越して控除できます。
特例の利用にあたっては、対象不動産の所有期間が5年を超えているなどの要件があるため注意しましょう。
不動産の補助金を有効に活用しよう
不動産の補助金は、知っているかいないかで金銭的に大きな差が出てしまいます。国の補助金だけではなく、各自治体の制度もあるため、まずは自分が住んでいる自治体の制度を調べてみましょう。
各補助金には適用要件や期間が定められているため、後回しにしてはいけません。適切なタイミングで活用できるように早めの行動を心がけましょう。