【専門家監修】reitにリスクはある?メリット・選び方もご紹介

2021年5月28日

「reit」は、少ない資金でも気軽に始められることから人気が高まりつつある投資の一つです。しかし、投資をするからにはリスクを避けて通ることはできません。投資を考えるときはデメリットも考えておく必要があります。そこで、この記事ではreitの概要を説明し、そのうえで注意しておきたいリスクや投資を行うメリット、さらに選び方などについて解説していきます。

不動産投資信託「reit」とは?

reitとは、Real Estate Investment Trustを略したもので、リートと読みます。reitの発祥はアメリカで、日本の市場は2001年に入ってから開設されました。日本ではJapanの頭文字をつけて「J-reit」と呼ばれています。reitは、簡単にいえば不動産投資の一つです。投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、賃貸や売却によって得た収益を分配します。つまり、複数の投資家が共同でいくつかの不動産を購入するということです。

1人で不動産を購入するわけではないため少額でも投資が可能で、人気が高まりつつあります。しかも、運用についてはプロが行い、投資家が直接関与する必要はありません。これは、法律でも禁じられているためです。ただし、不動産に応じて収益や安定性には違いが出てきます。運用に関わることはないといっても、reitの特徴を十分理解してから投資を行うことが重要です。取り扱う不動産は、ビルやマンション、ホテル、商業施設や倉庫など多岐にわたります。

reitは利回りが安定している方で、一般的にミドルリスク・ミドルリターンといわれています。しかし、たとえ安定性があるといっても投資に絶対という言葉はありません。reitについても過去に大きな変動が起こったことがあります。気軽に始められる反面、投資を考える際は十分注意が必要です。

押さえておきたいreitのリスク

reitのリスクとしてあげられるのは、主に「価格変動リスク」と「金利変動リスク」、「上場廃止や倒産リスク」、そして「災害リスク」などです。「価格変動リスク」は、ニーズの変化や金融情勢によって賃料収入や物件価値が変動したときに起こるリスクを指します。どのような不動産のニーズがあるかは日々変動しますし、売却価格や賃料も連動するため、ときには元本割れすることもあります。

融資で購入した不動産の場合に起こりやすいのは、「金利変動リスク」です。reitは金融機関から融資も受けているため、金利が上がればおのずと返済額も上がることになり、結果として収益に影響が出ます。reitは上場している不動産投資信託です。上場には一定の基準があり、満たせなくなれば上場廃止になる可能性が高くなります。また、状況が悪化すれば、上場廃止どころか会社そのものが倒産するかもしれません。投資会社が倒産した場合は元本割れの可能性が高まります。

最後の「災害リスク」とは、自然災害や火災などによって不動産の価値が変動したときに生じるリスクです。被害の程度にもよりますが、状況によっては価値が大幅に下がることもあるでしょう。その場合、投資家への分配金も減ることになります。特に、日本は地震が多い国で、地盤や建物の構造によっては倒壊することもあるかもしれません。そのため、見極めには注意が必要です。

reitの選び方

次に、reitを始める際の銘柄の選び方について解説していきます。投資をするうえで利回りの良さは重要な指標の一つになります。そのため、利回りが良く安定性があることは欠かすことができない条件です。reitの銘柄を選ぶときは、まず利回りで見ていきましょう。ただし、利回りが高いとその分リスクも高くなりがちです。その辺りは慎重に見極める必要があります。

NAV倍率で選ぶのも効果的な選び方といえます。NAV倍率とは純資産価値を示すもので、1よりも小さい銘柄の場合はお得感があります。また、LTVにも注目してみるのも良い方法です。LTVとは、自己資金に対しての借入金の割合を指す数値のことで、これを見れば金利変動リスクの回避につなげることができます。もしもLTVが50%を超えているようなら、借入過多でリスクが高まるため要注意です。他にも、格付けや投資法人のスポンサー企業、投資対象を見るなど、さまざまな視点から選ぶようにしましょう。

reitのメリット

reitはリスクも少なからずありますが、一方でメリットも多くなっています。そもそも、どのような投資であってもリスクはつきものです。そのため、過剰にリスクを恐れることなく上手に活用してみましょう。reitでもっともメリットとなるのは投資額が少額でも可能な点です。通常、不動産投資を行うには物件を購入しなければならず、数千万円もの資金が必要になります。ところが、reitなら銘柄によっては数万円から始めることも可能です。

さらに、投資する不動産は専門の会社が管理を行うもので、自身で維持管理をする必要がありません。また、一つの銘柄で複数の不動産に投資が可能で、分散投資できるのもメリットです。一つの不動産に集中する投資とは違い、リスクを軽減できます。そして、換金性が高いという点もメリットの一つです。reitは、上場されているため自分の好きなタイミングで売買することが可能で、現物不動産よりも早めに換金できます。

reitの始め方

reitの始め方は、株式投資を始めるときと変わりません。株式投資をしている人や過去に経験のある人なら特に難しいことはないでしょう。reitは上場している投資信託です。取引を始めるには、まず証券会社で口座を開設します。はじめに、reitを扱う証券会社を選びましょう。次に、口座開設へと進みますが、Webから可能な場合と窓口での手続きが必要な場合があります。実際には証券会社によって異なるため、公式サイトで確認が必要です。

口座を開設する際は、必要書類を用意します。必要書類とは本人確認書類のことで、マイナンバーカードや運転免許証、パスポート、住民票の写し、健康保険証や印鑑証明書などです。いずれか1点だけ用意する場合もあれば何点か用意することもあるため、詳しくは証券会社で確認しましょう。口座を開設できたら必要な資金を入金し、取引を開始します。初心者の方は、リスクを抑えるためにも安い銘柄から始めると安心できます。扱っている不動産の種類や利回りといった基本的なことから、時価総額や銘柄チャートなどを参考に選ぶことがポイントです。

投資はリスクを正しく理解することが大切!

reitには、投資商品ならではのリスクもあります。しかし、リスクのない投資はありません。reitは、少額から不動産投資に挑戦できるという点では十分メリットがあるといえます。できるだけ損害を避けながら投資を行うためには、今回紹介したリスクを正しく理解することがポイントです。そのうえで、無理のない範囲内で上手に投資をしてみましょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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