【専門家監修】新築住宅をつくるときは間取りのどんなところに注意?

2020年4月1日

新築住宅に住もうとしている人の中には、大人になってからマイホームを持ちたいと考え始めた人もいるでしょう。しかし、小さい頃から新築の住居に住みたいという夢を持っている人も少なくありません。住みやすい家をつくるために重要なのは、間取りを意識することです。この記事では間取りを検討する際に気を付けるべきポイントについて解説していきます。

1.間取りの基本知識

住みやすい家を見極めるためにも、まずは間取りに関する基本的な知識を身に付けておきましょう。建売や分譲住宅に限らず、賃貸住宅でもよく目にするのが「LDK」という表示です。Lはリビング、Dはダイニング、Kはキッチンを意味します。「3LDK」のようにLDKの前につく数字は、個室の数を表しています。3LDKならリビング・ダイニング・キッチンに3つの部屋がある間取りを指します。さらに、間取りを調べるときには、建ぺい率や容積率、北側斜線、道路斜線といった単語にも注目しなければなりません。
建ぺい率や容積率とは、簡単にいえば建築物の面積に対する制限です。建ぺい率は土地の面積に対し、どの程度の割合を建築面積にあてられるかを示します。容積率は土地の面積のうち、延べ床面積として使える割合を指す言葉です。たとえば、建ぺい率50%かつ容積率80%なら、建築面積が土地面積の半分以下で、同時に延べ床面積が土地面積の8割以内に収まる建物なら建てられるということになります。北側斜線と道路斜線は、建築物の高さに対する制限です。これらの制限は建築基準法や市区町村の条例で定められており、土地や物件の所有者が自由に決められるわけではありません。

2.暮らしやすい家をつくるためにおさえておくべきポイント

理想的な家を見つけるにあたり、何を基準に判断するべきかわからないという人もいるでしょう。ここからは暮らしやすい家をつくるためのポイントについて紹介します。

2-1.生活動線を考える

まずは間取り図を見ながらさまざまな生活動線を想像し、自分たちのライフスタイルに無理なくフィットするかを考えてみましょう。生活動線とは、家の中で生活していくうえで、リビングや水周りなどを行き来する際の道筋のことです。生活動線には家事動線や来客動線、通勤時や通学時など忙しいときの動線など、さまざまな種類があります。家事動線は、その名の通り炊事や洗濯などを行う際の動線です。スムーズに家事をこなせるよう動線を確保することで、余分な手間や時間がかからず、ストレスフリーの生活を送れるでしょう。
来客動線は、お客様が訪れた場合の動線です。寝室などのプライベートな空間や、見られたくない部屋を奥に配置すれば、来客が頻繁に訪れる家庭でも快適に生活できるようになります。通勤や通学の時間帯は、それぞれの部屋や玄関の出入りがしやすいよう、廊下の幅を大きくするなどの工夫を施すのがポイントです。

2-2.太陽の光を考慮する

間取り図を見れば、窓の配置から日当たりや採光、通風などもある程度予想することが可能です。日当たりが悪いと昼間から照明を使う必要があるため、電気代が高くなる傾向があるうえ、気分も沈みやすくなってしまうため注意しなければなりません。太陽は東から昇り、南の空を通って西へ沈みます。そのため、家の東側や南側には、リビングや子ども部屋などの日中によく使われる部屋を配置しましょう。西側にはトイレや洗面所など、日当たりを意識する必要がない部屋を配置します。
ただし、このような部屋の配置はあくまでも一般的な例です。住宅の立地や地形、ライフスタイルによっては、よく使う部屋を北側や西側に配置したほうが住みやすい場合もあります。たとえば、西日があたる部屋は夕方から夜にかけて室温が上がりやすいため、夜型の生活をしている人の居室や、冷え性の人の寝室にしたりするのも一つの方法です。

2-3.風通りの良い窓の配置を考える

日当たりを考慮したうえで部屋を配置したら、次は通風や採光のために窓の配置を検討しましょう。風通しの良い家をつくるための基本は、2つの窓を向かい合うように配置することです。まず、陽光が差し込む南側に大きな窓を設置し、日当たりを良くします。北側にもドアや窓を設ければ、風の通り道を確保できるのです。向かい合う形で窓を設置できない場合は、天窓をつけるのも良いでしょう。
ただし、風の吹き方は地域によって差があります。日本では一般的に夏季は南寄り、冬は北寄りの風が吹く傾向があるといわれていますが、実際は土地の高低差や実際の住環境に左右されるのです。地域ごとの風の流れは気象庁のホームページなどで調べることもできますが、専門家に土地の状況を分析してもらったうえで、窓の配置を考えるのも良いでしょう。

2-4.家電・家具の位置を考える

どれだけ日当たりや風通しがよく、動線が確保しやすい家でも、家具や家電を使わずに生活するのは難しいでしょう。そのため、間取りを考えるときは、どの位置にどのような家具や家電を設置するかも併せて検討する必要があるのです。万が一、家具の位置や寸法を考慮せずに間取りを決めてしまった場合、家が完成した後にベッドを置けなかったり、使おうと思っていた机が部屋に対して大きすぎて使えなくなってしまったりといった事態を引き起こしかねません。さらに、家具だけではなく家電を置く位置も決めておかないと、コンセントに届かないなどの問題が発生する可能性があります。結果としてタコ足配線を多用せざるを得なくなるといったトラブルが起きてしまうため、注意が必要です。

3.間取り図を自分で書いてイメージを伝える際のポイント

どうしても気に入った間取りが見つからない場合は、不動産屋に相談してみるのも良いでしょう。建築前で間取りを変更できるのであれば、注文住宅を建てるという選択肢もあります。できれば理想に近い間取りを自分で書いてみるなど、確実にイメージを伝えられるよう準備をしておくとよいでしょう。間取り図は方眼紙に書き込んだり、パソコンやスマホアプリを利用したりすれば作成できます。方眼紙を使う場合は、1畳を2マスと決めておくとサイズがイメージしやすいです。自分でつくった間取りを設計のプロに見せるのは抵抗を感じるという人もいるでしょう。しかし、住みやすい家をつくるためにも、恥ずかしがらずにイメージを共有することが大切です。

住みやすい間取りを意識しよう

住みやすい環境をつくるには、間取りが非常に重要です。部屋の数や方角などはもちろん、日当たりや風通しについても考慮しなければなりません。窓の配置や動線にこだわることで、光熱費の節約やストレスの軽減につながることもあります。ここで紹介したポイントをおさえたうえで、どのような家をつくりたいか家族と話し合い、住みやすい間取りについて考えてみましょう。

執筆者プロフィール

小林 弘司
小林 弘司

小林 弘司
不動産コンサルタント
東京生まれ、東京育ち。海外取引メインの商社マン、外資系マーケティング、ライセンス会社などを経て、現在は東京都内にビル、マンション、アパート、コインパーキングなど複数保有する不動産ビジネスのオーナー経営者(創業者)です。ネイティヴによる英語スクールの共同経営者、地元の区の「ビジネス相談員」、企業顧問なども行っています。


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