【専門家執筆】高断熱窓にリフォームして省エネ&節約しよう!

2017年11月27日

近年「作っては壊す」住宅から、きちんと手入れをして「長く健やかに暮らせる」良質な住宅へと、住宅建設が変わっています。これまでの新築主体から、住宅ストックの有効活用が求められる時代の到来です。
省エネリフォームは、地球温暖化防止に貢献するとともに、住宅の資産価値を向上させる働きがあります。
省エネリフォームとは、省エネ性能の高い建材を用いた住宅の断熱性改修のことで、断熱性や気密性を高めることにより快適性を向上させ、省コストを実現し、耐久性を向上させることです。
『断熱リノベ』は、一定の要件を満たす場合に国の補助金が交付される制度の中の一つで、『平成29年度 高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業』として開始されました。

高断熱窓にするメリットとは

昭和から平成の初期に設置されたサッシを、現代の『高断熱窓』に変えることで、冷暖房の効率が上がることは間違いありません。光熱費も抑えられ、真冬に室内で上着を着て過ごす必要も、暑さを我慢して暮らす必要もなくなります。高断熱窓にするメリットは、まず『快適な暮らしが手に入る』ことです。
窓に利用されているガラスには日射取得タイプと呼ばれる太陽の熱を積極的に取り入れものと、日射遮蔽タイプという熱をさえぎる性能を保持したものがあり、温かさを取り入れることに積極的なエリアならば「日射取得タイプ」を、夏の冷房効率を上げたい、日差しからの熱を抑えたいという場合は「日射遮蔽タイプ」を選ぶなど、地域や設置する窓の方位などに合わせてガラス選びを行う時代です。
既存の窓を「高断熱窓」に変えることで、健康的でエコな暮らしが手に入ると言われますが、性能が高くなるほど窓の価格も高くなるのは世の常。ただ、施工後の空間は「今までとは比較しようもない新しい空間」になるようです。

断熱性能の高い窓の選び方

窓のガラスは大きく分けると4つに分類することができます。断熱性能の高いものから順にトリプルガラス→Low-E複層ガラス(※1)→複層ガラス→単板ガラスとなります。
断熱窓として選ばれているものはLow-E複層ガラスが多いのですが、高断熱窓は熱貫流率(W/m2・K)(※2)が1.0以下のものであることが望ましいと言われていますから、トリプルガラスを選択するのが良いようです。
ガラスの周りの建具部分となる「サッシ」はアルミや樹脂でできています。樹脂製は熱伝導率が低いため結露しにくく、性能の高いトリプルガラスにはほとんどの場合、樹脂サッシとの組み合わせですので、断熱対策のほかに結露防止が期待できます。
トリプルガラスのなかでも非常に高い断熱性能を持つのが真空ガラスとLow-Eガラスで構成した「ハイブリット複層ガラス」で、中空層に二重にアルゴンガスが封入されており、高断熱、遮熱、防露、日射取得およびUVカットなどの機能を備えています。
※1 Low-E 複層ガラスとは、Low-E( Low Emissivity=ロー・エミシビティーの略で日本語に訳すと『低放射』という意味)と呼ばれる“金属膜を断熱性向上のためにガラスにコーティングしたもの”です。特殊金属膜をコーティングした低放射(Low-E)ガラスを使った複層ガラスを、Low-E複層ガラスと呼んでいる。
※2 熱貫流率とは断熱性能を表す指標のことで、窓の場合は0から6.51の数値で表されます。6.51に近づくほど低性能、0に近づくほど高性能となります。温度が1度違う際に面積1m2あたりどれくらい熱が流れるかを示す

東京都なら最大50万円の補助金がもらえる!?

平成29年度、東京都でも、高断熱窓に改修する場合に補助金を出す助成事業が開始されました。
https://www.tokyo-co2down.jp/CMSUP/PDF/MADO_LEFLET170919R.PDF

助成総額は平成29年から31年度までで24.75億円。
助成対象者は2通りです。
(1)都内に住宅を所有する個人・法人及び管理組合
(2)(1)と共同で申請するリース事業者

申請期間は平成29年8月28日(月)から平成32年3月31日(火)まで

助成対象製品は「断熱リノベ事業補助対象製品と認定された高断熱窓(窓・ガラス)」です。 https://sii.or.jp/material29/search

助成要件は、
(1)1つ以上の居室において、設置される全ての窓について、内窓の取付け又は外窓若しくはガラスの交換を実施すること
※最低、1居室の全ての窓を改修してください。1居室の全ての窓改修と同時に他の居室又は廊下、玄関その他の非居室(以下「その他の部屋等」という。)の改修を行う場合、その他の部屋等の窓は1枚以上の改修で構いません。

(2)都内の既存住宅において、平成29年4月1日以降に新たに高断熱窓を設置すること

東京都以外でも同様の制度を設けている地方自治体があります。
各自治体による住宅リフォームに係る支援制度を検索できるのがhttp://www.j-reform.com/reform-support/こちらのサイトです。
支援分類や支援方法を選んで、居住エリアを選択すると自治体ごとの支援制度が表示されます。

まとめ

分譲マンションや賃貸住宅暮らしで、サッシを自由に変更できない場合には「内側に新たな窓を設置する」ことで高断熱化が図れます。内窓を設けるといわゆる二重サッシ状態になるため、ハイブリッドガラスなどではなく、シンプルな単板ガラスでも性能は高まります。
断熱性能向上のために自己負担で窓の交換を行うとなると慎重になりがちですが、補助金が利用できるのであれば、商品が選びやすくなりそうです。
ただ、窓の部分的な工事だけではすべてが解消されるわけではありません。住まいのインスペクションを実施し、原因を追究すると「天井の断熱」「床の断熱」、「壁の断熱」なども必要になるかもしれませんから、一概に窓だけの工事を推奨するわけにはいきませんが、プロに見積もり依頼をしたうえで、『「窓の交換工事」や「内窓の設置工事」をすることによって、これまでより居室空間の断熱効果が向上する』との判断を得られたら、『断熱リノベ』と銘打って国からの補助金が施行されているこの時期に、窓リフォームを施してみてはいかがでしょう。騒音緩和、結露防止なども加わり、快適生活が訪れること間違いなしです。

[監修専門家]

早乙女明子様

早乙女 明子(建築プロデューサー)
さおとめあきこ総合研究所 代表取締役
■保有資格
宅地建物取引士、二級建築士・施工管理士、住環境測定士、ハウスインスペクター
All About・インテリアガイド
LIFULL HOME’S PRESS 記者
日本不動産ジャーナリスト会議 所属

 


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