【専門家執筆】2017年の夏に告示予定の「安心R住宅」制度とは?

2017年5月20日

2017年夏に告示予定の「安心R住宅」制度。本記事では、導入を検討している背景、制度の内容や目的などについて解説します。

導入を検討している背景

みなさんご存知のように空き家問題や少子高齢化の問題は、年を追うごとに顕在化しています。
そんな中で中古住宅の流通は未だに浸透しにくい状況です。
確かに、昔に比べると中古住宅の購入者は増加していますが、飛躍的に伸びているわけではありません。
そうした現状を鑑み、国としては住宅ストックの活用や空き家問題への1つの解決策として
中古住宅、いわゆる既存住宅の流通市場を活性化して、その解決をしていきたい意向があります。
平成27年の7月に国土交通省は中古住宅市場活性化・空き家活用促進・住み替え円滑化に向けた取組を発表しています。
その中で中古住宅流通の取組に次のようなものを挙げています。
・中古住宅の建物評価手法の改善
・的確なリフォームの推進
・望ましい中古住宅取引モデルへの転換
・不動産総合データベースの整備
以上のような施策を挙げて、今後の中古住宅の流通を活性化して行こうというものです。
この施策には中古住宅の流通の阻害要因を排除していくという意向が見えてきます。
宅建業法の改正やレインズの利用法のルール化など、法律や制度を変えてまで中古住宅の流通を推進していくという国の方針が盛り込まれています。

加えて、国土交通省は閣議決定されている住生活基本計画(全国計画)の中で「既存住宅流通の市場規模の拡大」を成果指標として設定しています。
その中でも、流通促進に寄与する既存住宅の情報提供制度案について、今まで検討をしていましたが、高品質の中古住宅を対象にした認定制度案をこの2月末に取りまとめました。
その通称を「安心R住宅」とし、いずれは商標化などを検討しながら今年夏以降に運用を始める予定です。

国としては、今までの中古住宅のマイナスイメージである古い、汚いといったものを払拭し、消費者が住みたい、買いたいと思い、安心して中古住宅を購入できる制度を作って、中古住宅の取引拡大と流通促進につなげたいところです。

既存住宅流通の現状と今後の予測

少子高齢化・人口減少という急速な社会変化の中で、住宅のストック数は約6,060万戸に対して総世帯数は約5,250万世帯で量的には十分な状況です。
しかしながら、既存住宅流通量は欧米諸国と比べると5、6分の1程度とされ、非常に低い水準であり、現状の取引数は平成25年で約16.9万戸、市場規模としては約4兆円程度です。
今後は現状の2倍の市場規模を目標値としおり、国土交通省としては平成37年には倍の8兆円規模の目標値を掲げています。

「安心R住宅」制度とは

この制度自体の条件としては、消費者の中古住宅購入の不安を払拭するため、

新耐震基準同等の耐震性を有すること
建物状況調査の実施、構造上の不具合および雨漏りがないこと
(広告段階で補修が完了していること)、
購入者の求めに応じ既存住宅売買瑕疵保険を付保できる用意がなされていること、

を条件とし、国土交通省に登録された各事業者団体が定める設備機器の交換や内外装の基準への適合(適合しない場合でも、リフォームプランを提示することで「リフォームプラン付き住宅」としての登録も検討)と、その状況については写真等で開示を求めるようにものにしていく方向のようです。

また、ブランドイメージを創り上げるためにマークも作成して各認定の事業団体へ渡す予定で、「安心R住宅」のRは「リフォーム」「リノベ」の頭文字を表しているので、その頭文字の入ったマークとなりそうです。

瑕疵保証やインスペクションはどうなるの?

「安心R住宅」の名称を付与する場合には、広告時点で耐震性を確保しており建物状況調査(インスペクション)を実施済みであること、構造上の不具合と雨漏りがなく、購入者が求めた場合は瑕疵担保保険に加入できる品質であることが必須要件となるため、インスペクションは重要なポイントになります。

また、瑕疵保証はインスペクションがなされてないと加入できないということになり、安心して中古住宅を購入し住み続けるにはこの2つは必須条件にはなるでしょう。

まとめ

この施策には中古住宅の流通、つまり既存住宅流通の阻害要因を排除していくという意向が見えてきます。
「新しいイメージの既存(中古)住宅」の名称として「安心R住宅」という商標を創り、その中には、既存の中古住宅でインスペクションを行い、構造上に不具合がなく、雨漏りもせず、また新築時の情報や過去の維持管理歴などの詳細情報を開示しているものを条件に、ブランド住宅として制度化を図ろうとしています。
こうした内容が制度化することで、消費者にとっても安心して中古住宅を買えるというメリットがありますので、最終的な制度決定には期待したいところです。

より質の高い中古住宅を安心して購入できるような時代はもう間もなく来ます。

 
【著者プロフィール】

寺岡 孝様

寺岡 孝(不動産コンサルタント)
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。
住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。
生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。

 


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