家づくりを考えているなら要チェック!新築・増改築のときに気を付けたい法律のポイントは?

家づくりと「建築物省エネ法」

2024年2月1日 更新
家づくりと「建築物省エネ法」

省エネ対策の取り組みを進めるために、2016年より段階的に施行されている「建築物省エネ法」。法改正により2025年4月から省エネ基準の適合義務が住宅にも拡大され、すべての新築住宅で省エネ性能が必須になります。

建築物省エネ法ってどんな法律?

省エネ対策のために建物の省エネ性能を高める法律

建物の省エネ対策イメージ

建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)は、建物の省エネ性能の向上をはかるための法律です。
日本では2011年の東日本大震災以降、深刻なエネルギー不足が続いています。そこで国内全体のエネルギー消費量の約1/3を占める建築物部門の省エネ対策を強化するために、建築物省エネ法を2015年に制定し、一定規模以上の建築物を建てるときは、「省エネ基準」に適合しなければならないと定めました。

省エネ住宅をつくる「省エネ基準」について

外皮と一次エネルギー消費量で評価される

省エネ住宅のイメージ

建築物省エネ法で定められている省エネ基準は、「外皮基準」と、「一次エネルギー消費量基準」の2本立てとなっています。

・外皮基準

外皮基準のイメージ

建物の「外皮」と呼ばれる屋根、外壁、窓などの断熱性能に関する基準です。
外皮部分は熱の出入りが多いため、屋根や外壁に断熱材を施工したり、高断熱窓を設置したりして建物全体を魔法瓶のような構造にして、外気温の影響を受けにくくします。

・一次エネルギー消費量基準

一次エネルギー消費量基準のイメージ

室内で使用する給湯や冷暖房、照明といった設備のエネルギー消費量に関する基準です。
効率のよい給湯器、高効率空調、省エネ性が高いLED照明などを取り入れて、エネルギーの使用を抑えます。

2025年の法改正のポイントは?

新築住宅で省エネ基準適合が義務付けられる

省エネ基準イメージ

現行の建築物省エネ法では、省エネ基準「適合義務」があるのは延床面積300㎡以上の非住宅の新築、増改築の場合のみでした。
けれども、2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減を目指す政府は、省エネ対策の取り組みをさらに強化するため、法改正により省エネ基準適合義務の対象を拡大。2025年4月からは、すべての新築住宅・非住宅で省エネ基準適合が義務付けられるようになります。

・新築住宅は省エネ性能が必須に

新築の省エネ住宅イメージ

住宅を新築する際、これまでは延床面積300㎡以上の場合は省エネ計画の届け出を行う「届出義務」、延床面積300㎡未満の場合は建築士から建て主に省エネ性能について説明する「説明義務」となっていましたが、法改正により、2025年4月からは原則すべての新築住宅で省エネ基準適合が求められることになりました。

【新築住宅の省エネ基準適合義務について】

新築住宅の省エネ基準適合義務について

つまり2025年4月からは、省エネ基準を満たした「省エネ住宅が当たり前」になるという訳です。

・増改築では工事部分のみを省エネ基準適合へ

増改築イメージ

住宅を増改築する場合、これまでは増改築後の建物全体を省エネ基準適合の対象としていましたが、2025年4月の改正後は、増改築工事を行う部分にのみ省エネ基準の適合を求めることになります。

たとえば…
・増築部分の屋根、外壁、窓などに断熱材や高断熱窓を施工する
・増築部分に省エネ性の高い高効率空調やLED照明などの設備を設置する
など

増改築のタイミングで建物を省エネ化し、外気温の影響を受けにくい家づくりを行います。

改正による新築・増改築への影響は?

コスト面のデメリットは減税などでカバーできる可能性も

減税などでカバーのイメージ

これまで省エネ基準の適合義務の対象外であった住宅も、2025年4月からは省エネ基準の適合を求められるようになります。すると、新築・増改築を行う場合はどのような影響が考えられるでしょうか。

・メリット

室温が心地よい省エネ住宅イメージ

厳しい省エネ基準をクリアすることで、安心・快適な省エネ住宅が実現。断熱性能が高いと室温が一定に保たれ、冷房や暖房が効率的に使用できます。室内の温度差によって起こるヒートショックや高血圧症のリスクも軽減されるでしょう。
また、省エネ家電など最新の設備を導入することでエネルギーの使用を削減でき、光熱費の節約にもなります。

・デメリット

コストがかかるイメージ

省エネ基準に適合させるための性能に見合った建築資材や設備を選ぶ必要があり、建築コストがかかりがち。ただし、省エネ基準適合住宅は住宅ローン減税などの優遇策が用意されているうえ、月々の光熱費を抑えられるため、長い目で見ればコスト面のメリットがあるといえそうです。

今後の省エネ基準はさらに厳しく

2030年には現在のZEH水準が当たり前に

省エネ基準が引き上げられるイメージ

2025年4月から新築住宅で適合が義務付けられる省エネ基準は、2030年までに基準が厳格化され、現在のZEH水準まで引き上げられることが決まっています。つまり、2025年時点の省エネ基準は“守るべき最低ライン”。これから長く住むことを考えれば、省エネ基準よりさらに厳しいZEH水準の省エネ住宅を検討してもよいかも知れません。

まとめると…まとめると…

省エネ住宅で住み心地アップ。安心・快適な暮らしを手に入れよう

省エネ住宅で快適に暮らすイメージ

住まいの省エネ性能は、家づくりの際に重視されることが多いポイントです。省エネ性能の高い家は、室内の温度差が少なく、健康上のリスク軽減や光熱費の削減にもかかわるなど、住み心地に与える影響は大。あなたもぜひ、この機会に快適な省エネ住宅を実現しましょう。

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最終更新日 2024年10月2日