EV・PHVを検討するなら知っておきたい“自宅での充電”について

自宅充電にかかる費用と時間は?

2022年7月13日 更新
自宅充電にかかる費用と時間は?

EV・PHVを導入するにあたり、自宅充電の費用や時間が気がかりという方も多いのではないでしょうか。一般的に、EV・PHVはガソリン車よりも燃料費が安いと言われていますが、両者を比較しながら充電の費用と時間をイメージしてみましょう。

EV・PHVの「電費」を知る

燃費ならぬ電費で走行コストを見極めよう

燃費ならぬ電費で走行コストを見極めよう

ガソリン車とEV・PHVの燃料費を比較する前に、まずは両者の走行コストを表す指標である「燃費」と「電費」について説明します。

・ガソリン車の「燃費」について

ガソリン車の「燃費」について

ガソリン車に乗っている方にとって、なじみ深い「燃費」。燃費とは「1Lのガソリンで走ることができる距離」のことで、[走行距離÷ガソリン消費量]で算出します。

【ガソリン車の燃費の算出方法】
燃費[km/L]=走行距離[km]÷ガソリン消費量[L]

現在、市販されているガソリン車の燃費は10~20㎞/Lくらいが目安。燃費の数値が大きいほど、少ないガソリンで長く走れる(=燃費がよい)車ということになります。

・EV・PHVの「電費」について

EV・PHVの「電費」について

「電費」は、ガソリン車における「燃費」を、EVや、EVモードで走行するPHVに当てはめたものです。
電気のエネルギーはkWh(キロワットアワー)という単位で表されますが、電費は「1kWhの電気で走ることができる距離」となり、[走行距離÷電気消費量]で算出します

【EV・PHVの電費の算出方法】
電費[km/kWh]=走行距離[km]÷電気消費量[kWh]

ガソリン車の燃費と同様、電費の数値が大きいほど、少ない電気エネルギーで長く走れる(=電費がよい)車ということになります。現在の市販のEVの電費は6~7㎞/kWhくらいが目安です。

ガソリン車とEVの燃料費を比較

ガソリン車よりも安い電気代がメリットに

ガソリン車よりも安い電気代がメリットに

燃費と電費の定義が分かったところで、ガソリン車とEVの燃料費を比較してみましょう。ここでは、ガソリン車が燃費20㎞/L、ガソリン単価は145円/L、EVが電費7km/kWh、自宅充電のみで電気単価は25円/1kWhの条件で、【通勤などで年間10,000㎞走行する場合】と【近所の買い物などが中心で年間3,000km走行する場合】の2パターンを試算します。

【通勤などで年間10,000㎞走行する場合】
・ガソリン車の燃料費(ガソリン代)
…7万2,500円/年
・EVの燃料費(電気代)
…3万5,725円/年
【近所の買い物などが中心で年間3,000km走行する場合】
・ガソリン車の燃料費(ガソリン代)
…2万1,750円/年
・EVの燃料費(電気代)
…1万725円/年

いかがでしょうか。上記の比較条件では、EVの燃料費はガソリンの約半分に抑えられていることが分かります。
なお、この試算では電気単価を25円としていますが、自宅充電では夜間の電気代が安いプランで夜間充電を行うケースが多いため、さらにコストダウンできる可能性もあります。インターネット上では、車の充電容量や電気単価などを入力すれば電気代を試算できるシミュレーションサイトもあるので、ぜひ活用してみてください。

EV・PHVの自宅充電に必要な時間

こまめに充電すれば、日常使いには困らない

こまめに充電すれば、日常使いには困らない

次に、EV・PHVの自宅充電にかかる時間についてです。
ガソリン車の給油は数分程度で済みますが、EV・PHVの充電には時間がかかり、バッテリーの容量が大きいほど長くなります。
例として、日産リーフの充電時間の目安を見てみましょう。リーフの搭載バッテリーは【40kWh】【60kWh】があり、バッテリー残量警告灯が点灯した時点(バッテリー残量16~17%程度)から、普通充電はフル充電まで、急速充電は残量80%までのおおよその時間となります。

【日産リーフ(40kWhバッテリー)の充電時間の目安】
・普通充電(出力3kW)…約16時間
・普通充電(出力6kW)…約8時間
・急速充電…約40分
※一充電走行距離…322㎞(WLTCモード)
【日産リーフ(60kWhバッテリー)の充電時間の目安】
・普通充電(出力3kW)…約23.5時間
・普通充電(出力6kW)…約12.5時間
・急速充電…約60分
※一充電走行距離…450㎞(WLTCモード)
(日産WEBサイトより)

自宅での充電は出力3kWまたは6kWの普通充電なので、どうしても長時間かかってしまうことが分かります。
ただ、近隣のお出かけやお出かけ程度なら、バッテリーがフル充電ではなくても走行に問題ない場合がほとんど。20kWhの電力量があれば電費7km/kWhで約140㎞走行できるので、ふだんからこまめな自宅充電を心がけましょう。
遠距離ドライブに出かける前はフル充電して、必要に応じて移動中や目的地の充電スポットも利用するとスマートです。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

電費をよくする運転のコツは?電気の消費を抑えて電欠を防ぐ!

電費をよくする運転のコツは?電気の消費を抑えて電欠を防ぐ!

電気で走行するEVは、バッテリーの電力がなくなるとガス欠ならぬ「電欠」状態となり、走行できなくなってしまいます。電欠を防ぐために、こまめな充電はもちろんですが、なるべく電気の消費を抑える(=電費のよい)運転を心がけたいものです。
EVの電費をよくするなら、ガソリン車の運転と同様、急加速や急ブレーキ、スピードの出しすぎは控えましょう。車の重量を軽くするために、余分な荷物を積みっぱなしにしないことも大切です。
また、カーエアコンの使用は電気を消費しやすく、特に暖房は電気の大量消費につながります。冬場にEVを運転するときは、必要以上に暖房を使用しないよう注意してください。

外での充電の費用や時間は?

充電スポットを上手に利用してドライブを楽しむ

充電スポットを上手に利用してドライブを楽しむ

自宅充電は、最も手軽で安価にEV・PHVを充電できる方法ですが、長距離ドライブ中や、そもそも自宅に充電設備がない場合は、高速道路のSA・PAや道の駅などに設置されている充電スポットを利用することになります。
充電スポットにおける充電では、クレジットカードと連携した「充電認証カード」を使うのが一般的です。現在、充電サービス事業者や自動車メーカーなどがさまざまな充電認証カードを発行しているので、お出かけ前に加入しておくと便利です。

・外での充電の費用は?

外での充電の費用は?

加入している充電認証カードの登録料や月会費に加えて、充電スポットを利用した時間ごとに利用料がかかります。充電認証カードによって月会費や利用料はさまざまですので、外部充電の利用頻度や走行距離など、ライフスタイルに合ったカードやプランを選ぶようにしましょう。
たとえばe-Mobility Power社の「急速・普通併用プラン」なら、初回登録手数料1,540円、月会費4,620円で、充電スポット利用時に急速充電16.50円/分、普通充電2.75円/分の利用料を支払います(2022年5月時点)。
充電認証カードがなくても利用できる充電スポットもありますが、充電認証カード利用時よりも利用料が割高になる場合がほとんどです。また、充電スポットによっては無料の場合もあります。

・外での充電の時間は?

外での充電の時間は?

普通充電は1回60~180分まで、急速充電は1回30分までとする充電スポットが多いようです。ちなみに急速充電の場合、約30分で40kWhバッテリーが7~8割近くまで充電できるとされています。
休日の充電スポットでは、急速充電待ちの車で充電渋滞が生じることもあります。お互いが気持ちよく充電できるよう、充電完了したら車を放置せずにすみやかに移動させ、連続して充電スポットを利用する「おかわり充電」は止めましょう。

まとめると…まとめると…

EV・PHVがますます身近で便利に。充電スタイルの選択肢も広がる!

EV・PHVがますます身近で便利に。充電スタイルの選択肢も広がる!

ガソリン車の給油はガソリンスタンド一択でしたが、EVやPHVでは「自宅で充電する」という選択肢が加わり、外部充電をする場所やタイミングも含め、ドライバー1人ひとりのライフスタイルに合わせた充電が可能になりつつあります。
日本政府は「2035年までに新車販売でEVやPHVなどの電動車100%実現を目指す」という目標を掲げており、今後はEV・PHVの技術と充電インフラの発展により、ますますEV・PHVが身近で便利な乗り物になっていくと考えられます。これからEV・PHVを購入する方はもちろん、今はガソリン車に乗っている方も、EV・PHVの今後の動向をチェックしてはいかがでしょうか。