EV・PHVを検討するなら知っておきたい“自宅での充電”について

自宅充電に必要な設備と工事

2022年7月13日 更新
自宅充電に必要な設備と工事

自宅で手軽に充電可能なEV・PHVですが、家庭で一般的に使われている100Vのコンセントに充電ケーブルのプラグを差し込んでも充電することはできません。自宅で充電するには、EV・PHV充電用コンセントを取り付けるなど、充電環境を整える必要があります。

自宅に充電設備を取り付けよう

充電用コンセントなら設置コストが安い

充電用コンセントなら設置コストが安い

EV・PHVの充電には「普通充電」と「急速充電」という2つの充電方法があり、自宅に設置できるのは普通充電の設備です。 自宅用の普通充電設備にもいくつかのタイプがありますが、最もシンプルで安価に取り付けられるのは「充電用コンセント」です。最近では新築するときに、この充電用コンセントを設置しておく住宅も見られます。 自宅に充電設備がない場合は、新たに設置工事が必要となります。自宅の配電方式や駐車スペースにもよりますが、通常は数時間~半日程度で充電用コンセントを設置できるでしょう。

【普通充電設備】

出力…普通充電設備は3.2kW、高出力普通充電設備は6kW
設置場所…戸建て住宅、集合住宅、車の販売店、商業施設、コンビニなど

【急速充電設備】

出力…10kW~50kWくらい
設置場所…高速道路のSA・PA、道の駅、車の販売店、商業施設など

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

EV・PHV充電は200Vが基本。単層3線式の家なら200Vにすぐ対応できます

EV・PHV充電は200Vが基本。単層3線式の家なら200Vにすぐ対応できます

EV・PHV充電用コンセントには100Vと200Vの2種類があり、一般的に利用されているのは200Vのコンセントです。理由は、100Vよりも200Vのほうが2倍の電力を供給でき、充電時間が短くなるメリットがあるからです。
自宅で使用する多くの家電は100Vの電圧に対応しているため、200Vの充電用コンセントが使用できるかどうか不安に思われるかも知れませんが、最近建てられた住宅のほとんどは100Vと200Vを使用できる単相3線式を採用しています。また、100Vしか使用できない場合も、自宅まで単層3線式の電気が引き込まれていれば、屋内の配線工事だけで200Vが使用できるようになります。

充電設備工事の流れと費用

まずは現地調査から。費用は配線の長さなどで変わる

まずは現地調査から。費用は配線の長さなどで変わる

ここでは、EV・PHV充電用コンセントの標準的な設置工事の流れを紹介します。建物や駐車スペースの場所などによっては追加工事が発生することもあるため、詳細は現地調査時にお問い合わせください。

(1)工事業者を選ぶ

(1)工事業者を選ぶ

電気配線工事は、専門の資格や技術を持つ工事業者に依頼する必要があります。車を購入した販売店から提携の工事業者を紹介してもらうほか、自分で探して工事見積りを依頼することも可能です。

(2)現地調査

(2)現地調査

工事業者に工事見積りを依頼すると、まずは現地調査が行われます。調査では、駐車スペースや分電盤(ブレーカー)を確認した上で、コンセントの設置場所を決め、分電盤からコンセントまでの配線ルート、追加工事の有無などを決定します。このときに、要望や相談があれば遠慮せずに業者に伝えましょう。

(3)見積り~契約

(3)見積り~契約

現地調査の後、工事内容や費用を記した見積りが提示されるので、確認してOKなら契約を結んで本工事の日時を決定します。

(4)本工事

(4)本工事

本工事では、既存の分電盤からEV・PHV専用回路(20A以上)をとり、専用の漏電ブレーカーとコンセントを設置します。標準的な設置工事の場合、配線の長さなどにもよりますが、数時間~半日程度かかります。

・気になる工事費用は?

気になる工事費用は?

標準的な設置工事の場合、10万円~が目安です。ただし、利用環境により専用回路の増設や追加配線工事などが発生する場合は追加費用がかかるため、見積りの内容を確認しましょう。

契約アンペア&料金プランの見直しを

適切なアンペアと料金プランを選べばムダなく快適

適切なアンペアと料金プランを選べばムダなく快適

自宅充電を行うなら、電力会社との契約アンペア(A)も見直しましょう。
EV・PHVを200V充電すると、充電中は最大15Aの電流が流れます。このときに多くの家電を使用して契約アンペアを超えるとブレーカーが落ちてしまうため、EV・PHVの充電で消費する200V×15A=3kVA(30A)を見越して、現在の契約アンペア数+3kVA(30A)のアンペアへの変更がおすすめです。
また、契約アンペア数の変更とともに、夜間充電をするなら夜間の電気料金が安いプランに、日中の充電なら電気の使用量に応じて料金が変更されるプランに変更するなど、利用環境に応じた料金プランを検討しましょう。

我が家に合った充電設備は?

利用環境や車種などから設備を選ぶ

利用環境や車種などから設備を選ぶ

自宅に設置する充電設備は、利用環境や車種によって、選ぶポイントが変わってきます。どのタイプや製品がよいか、車を購入した販売店や、工事業者に相談してみてください。

シンプルな「コンセント」、接続がラクな「普通充電器」

シンプルな「コンセント」、接続がラクな「普通充電器」

家庭でよく使用されているのは「充電用コンセント」ですが、ほかにも「普通充電器」と呼ばれるタイプがあります。

【充電用コンセント】

その名のとおりコンセントからEV・PHVに充電するもので、使用時に車載充電ケーブルを使用します(車載充電ケーブルはEV・PHVを購入すると付属されています)。 充電するには、車載充電ケーブルの一端にある電源プラグを充電用コンセントに、もう一端にある充電用コネクタを車の充電口に差し込めばOK。車載充電ケーブルを毎回取り出す手間はかかりますが、見た目がコンパクトで、費用も設置工事込みで10万円~と比較的リーズナブルです。

【普通充電器タイプ(Mode3タイプ)】

普通充電器タイプは充電器本体に充電ケーブルが付いているため、コンセントタイプのように車載充電ケーブルを使用する必要はありません。使用するときは、充電用コネクタを車の充電口に差し込むだけで充電できます。
普通充電器タイプは充電用コンセントよりも本体や設置にかかる費用が高く、設置工事込みで25万円~かかります。

建物の近くなら「壁付け」、遠い場合は「スタンド」

建物の近くなら「壁付け」、遠い場合は「スタンド」

充電方式のほかに、充電設備の設置場所による区別もあります。

【壁付けタイプ】

建物の壁に充電用コンセントや充電器を設置するタイプで、一般的に、駐車スペースと建物の距離が近い家庭などで多く採用されています。

【スタンドタイプ】

駐車スペースと建物の距離が遠く、壁付けが難しい場合に採用されるのがスタンドタイプです。設置にあたり、スタンドの建柱工事が必要になるなど、壁付けタイプよりも本体・設置工事費用が高くなります。

充電スピードが変わる!「3kW」と「6kW」

充電スピードが変わる!「3kW」と「6kW」

一般的な普通充電設備の出力は約3kWですが、より高出力の6kWの充電器も登場しています。出力電力の数値が大きいほど充電時間も速く、6kWタイプは3kWタイプの約半分の時間で充電することができます。
ただし6kWで充電するには、車が6kW充電に対応していることが条件です。6kW充電に対応していない車でも6kWタイプの充電器を使用できますが、その充電容量に見合った出力で充電されます。

車と家をつなぐ「V2H」搭載タイプ

車と家をつなぐ「V2H」搭載タイプ

V2HはVehicle to Home(=車から家へ)の略で、EV・PHVのバッテリーに充電するだけではなく、バッテリーに貯めた電気を家庭で使用できるようにするシステムのことです。
V2Hがあれば、電気料金の安い夜間に充電して、その電気を家庭で日中に使用して電気料金を節約したり、停電時でもバッテリーを非常用電源として使用したりすることが可能になります。充電時間も速く、出力3kWの普通充電設備の約半分の時間で充電できます。また、太陽光発電システムで発電した電力をEV・PHVのバッテリーに貯めて走行できる機能を搭載した製品もあります。
節約や災害対策の面からも魅力的なV2Hですが、他の充電設備よりも高額となり、機器本体だけで50万~100万円以上(設置工事費は別途)かかります。

まとめると…まとめると…

充電設備の選択肢はいろいろ。利用環境や機能などで選ぼう

充電設備の選択肢はいろいろ。利用環境や機能などで選ぼう

一口に「充電設備」といっても、利用環境や機能によって選択肢は幅広く、工事内容も費用もまちまちです。マイホームに合った充電設備を整えるためにも、充電設備のタイプや製品を比較して、必要な機能を検討してみましょう。