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地震に強い家のポイントは?

2023年3月15日 更新
地震に強い家のポイントは?

本来は家族の安らぎの場であるはずの自宅も、ひとたび大地震が起こると、建物の倒壊や家具類の転倒によって、負傷したり命にかかわることも。家の耐震性能を高めるポイントを押さえて、地震に強い家づくり・家えらびに活かしましょう。

日本の家の地震対策はハイレベル

厳しい耐震基準で“地震に強い家”をつくる

住宅の耐震性のイメージ

日本では、大きな地震が発生するたびに建築基準法の改正を重ね、“地震に強い家”をつくる技術を進化させてきました。
現在の建築基準法は、震度6~7の地震の力に対して、建物が倒壊しないレベルの耐震性を確保することなど、非常に厳しい耐震基準(新耐震基準)が設けられています。

・旧耐震基準と新耐震基準

「耐震基準」とは、建物を新築するときに最低限クリアすべき耐震性能の基準です。
現在の耐震基準は、1978年に起こった宮城県沖地震を踏まえて1981年に改正されたもので、それまでの基準である「旧耐震基準」と区別して、「新耐震基準」と呼ばれます。

【旧耐震基準と新耐震基準の違い】
・旧耐震基準(~1981年5月)

震度5程度の地震倒壊しないレベルの耐震性
震度6以上の地震特に規定なし

・新耐震基準(1981年6月~)

震度5程度の地震損傷しないレベルの耐震性
震度6~7程度の地震倒壊しないレベルの耐震性

1995年に起きた阪神・淡路大震災では多くの建物が倒壊しましたが、それらの建物の多くは旧耐震基準であったことが分かっています。

・2000年の改正でさらに耐震性アップ

阪神・淡路大震災以降、新耐震基準はいっそう厳しいものとなり、2000年から木造戸建て住宅は新築時に地盤調査を行い、地盤に応じた基礎構造を用いることが義務づけられました。また、壁の量だけでなく配置バランスを強化し、地震の揺れに対する抵抗力を高めることなどが盛り込まれました。

・住宅性能表示制度の耐震等級もチェック

さらに2000年には「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」という法律が制定され、住宅の耐震性にかかわる構造の安定など、10の性能を開示する「住宅性能表示制度」がスタートしました。この制度では、地震に対する建物の強度について1~3の耐震等級であらわしています。

【住宅性能表示制度における耐震等級】

等級1
(建築基準法と同等レベル)
震度6~7程度の地震の力で損傷しないレベルの耐震性
等級2
(建築基準法の1.25倍レベル)
震度6~7程度の地震の1.25倍の力で損傷しないレベルの耐震性
等級3
(建築基準法の1.5倍レベル)
震度6~7程度の地震の1.5倍の力で損傷しないレベルの耐震性

住宅性能表示制度は義務ではありませんが、上記の耐震等級に応じて地震保険料が割引になるなど優遇制度が設けられているため、家づくりをする上でチェックしておきたい制度といえます。

中古住宅は建築確認の日付をチェック

旧耐震基準の家は地震への安全性が低いことも

中古住宅の耐震性を推測するイメージ

中古住宅の場合、その物件が新耐震基準で建築されたものか、それとも旧耐震基準なのかで建物の耐震性が変わってきます。

・新耐震基準の1981年がポイントに

新耐震基準にあたる1981年6月1日以降に建築確認を取得した家なら、一定以上の耐震性があると判断してOK。木造住宅の場合、2000年にも基準が改正されているため、2000年6月1日以降に建築確認を取得した物件を選ぶことで耐震性はさらに高くなります。
とはいえ、それ以前の家でも耐震改修を行っていれば心配要りません。不安があれば専門家による耐震診断(※)を受けましょう。
※耐震診断については「今すぐできる、我が家の防災対策」でも解説しています。

揺れから家を守る3つの構造

耐震・制震・免震のそれぞれの特徴は?

住宅構造のイメージ

ここからは、地震に強い家の特徴を見ていきましょう。
家の地震に対する対策は、その構造から「耐震」「制震」「免震」の3種類に分けられます。

耐震構造のイメージ

・耐震

家の地震対策としてよく聞く「耐震」は、耐力壁や筋交いを設けて強固な建物をつくり、地震の揺れに耐える構造です。
耐震は建物が倒壊しにくい一方で、建物に揺れが伝わりやすいため家の中の家具類が転倒・落下したり、余震が続くと建物の損傷が激しくなるおそれがあります。

制震構造のイメージ

・制震

建物内部にダンパーと呼ばれる制震装置や錘(おもり)を取り付けて、地震の揺れを吸収する構造です。
耐震より揺れが低減されるので建物が損傷しにくく、余震や繰り返しの揺れに強い特徴があります。施工費は耐震より高く、免震より安価です。

免震構造のイメージ

・免震

建物と基礎の間に免振装置(積層ゴムなど)を設置して、地震の揺れを建物に伝わりにくくする構造です。
耐震・制震と比較すると最も揺れにくく、建物の損傷リスクも少なくなりますが、施工費が割高で、地盤によっては導入できない場合もあります。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

木造と鉄骨造、どっちが地震に強い? 両者の特徴を見極めて構造を選ぼう

木造・鉄骨造を比較するイメージ

戸建て住宅を検討する際、家の構造を木造にするか鉄骨造にするかで悩む方も多いのではないでしょうか。木造住宅は断熱性や調湿性にすぐれ、鉄骨造住宅は耐久性にすぐれているなどそれぞれに特徴がありますが、地震に対する強度については、構造的に頑丈な鉄骨造に軍配が上がります。とはいえ、木造住宅も現在の厳しい新耐震基準によって高い耐震性を備えているので、どちらを選んでも心配要りません。

凹凸のないシンプルな形状が有利

長方形や正方形の建物なら耐震性の強度が高い

家の形状のイメージ

すっきりした長方形の建物もあれば、アルファベットの「L」字型、カタカナの「コ」字型など、建物の形状は色々。ただ、一般的に凹凸の多い形状ほど構造の強度が不足しやすく、耐震性に影響が出るおそれがあります。できれば複雑な形状は避けて、長方形や正方形などシンプルな形状の建物を目指しましょう。1階に大開口や広い空間のある建物や、1階よりも2階部分が出っ張っているような建物も耐震性に注意が必要です。

軽量の屋根材を選べば揺れにくい

ポイントは建物の重心。屋根を軽くして構造を安定させる

屋根材のイメージ

地震の揺れの強さは建物の重量に比例することから、屋根が重いと建物の重心が高くなり、揺れがいっそう激しくなってしまいます。地震の揺れを少しでも軽減するには、金属やスレートといった軽量な屋根材を選ぶのがおすすめ。粘土瓦など重量のある屋根材を採用する場合は、構造の安定化と地震対策のために、屋根を支える壁量を増やす必要があります。

造り付け家具で転倒を防止

住まいに合わせたオーダーメイド家具で地震対策を

造り付け家具のイメージ

造り付け家具(造作家具)とは、部屋の大きさやサイズに合わせてオーダーメイドで製作・据え付けた家具のこと。壁や床に固定してあるので、もしも地震が起こったときに家具が転倒して負傷したり、脱出経路をふさいだりするのを防ぐことができます。
ただ、既製品の置き家具のように家具の移動や撤去をするのは難しいため、ライフスタイルに合わせて家具の配置を変えたいならネジなどを使った対策を行いましょう。
※ネジなどの固定具を使う転倒防止対策は「今すぐできる、我が家の防災対策」でも解説しています。

強い地盤が建物を守る

地盤の良し悪しが地震のダメージを左右する

家の地盤のイメージ

“地震に強い家”というと建物ばかりに目がいきがちですが、建物を支える地盤をチェックすることも重要。地盤が弱いと、どんなに建物の耐震性を高めても地震のときのダメージは大きくなってしまいます。

・地形から地盤の手がかりを知る

地盤の良し悪しは地形との関わりが深く、一般的に、地盤が良好とされる台地や丘陵地は地震の揺れに強いと言われています。これに対して、低地は地盤が軟弱であることが多いため、地震の揺れが大きいとされています。 このような地形の種類は国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」でチェックできるので、住みたい地域の地形をチェックしてみましょう。

参考:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/

・さらに詳しく知るなら地盤調査を

2000年の建築基準法の改正により、木造戸建て住宅を新築するときは地盤調査が事実上必須となりました。最も一般的な調査方法である「SWS試験(スウェーデン式サウンディング試験)」なら半日程度の調査で済み、費用も10万円以下です。
調査の結果、地盤が軟弱であると判断された場合は地盤改良工事が必要となり、数十万~100万円程度の工事費用がかかります。

まとめると…まとめると…

地震発生時の被害を最小限に。家の耐震性を強化して大地震に備える

PCやスマホで住宅メーカーを検索するイメージなど

地震はいつ、どこで起こるか分かりませんが、あらかじめリスクや被害を想定して、家の耐震性を高めておくことで地震発生時の被害を最小限に抑えることができます。家の耐震性については各住宅メーカーが独自の技術を開発しているので、各社のWEBサイトなどで地震対策の技術や考え方を比較してみるのもおすすめです。