涼しい家をつくる「空調」

高断熱・高気密住宅では、エアコンなどによる「空調」で室内の温湿度を適度に保つことが前提となっています。暑さと湿気で不快な夏も、空調に配慮した高断熱・高気密住宅で気持ちよく健康的に過ごしましょう。
このページの見どころ!!
住宅の「空調」とは
室内の温湿度を調整して快適にする

空調とは「空気調節」を略した言葉で、室内の空気環境(温度・湿度・清浄度・気流など)を整え、快適な状態にすることを指します。空気環境を整えるには、専用の空調設備やシステムを利用します。空調設備やシステムにはさまざまな種類がありますが、一般住宅で最も多く利用されているのはエアコンです。
なお、現代の高断熱・高気密住宅では単にエアコンをつければよいという訳ではなく、高断熱・高気密ならではの空調設備の選び方や、使い方のコツなどがあります。具体的には、次のようなポイントに注意して、夏を快適に過ごしましょう。
高断熱・高気密住宅に合った設備を選ぶ
快適な環境をつくるエアコン・全館空調・換気システム

今の住宅は、昔よりも格段に高断熱化・高気密化が進んでおり、エアコンの涼しい空気が家のすみずみまで行きわたりやすくなっています。ここでは、高断熱・高気密住宅を新築する際の空調設備の選び方について解説します。

エアコン選びは家の断熱性能を確かめて
エアコンを購入する際に、商品に記載されている「畳数の目安」を参考にする人も多いでしょう。ところが、この目安は断熱性の低い住宅を想定しているため、現代の高断熱・高気密住宅で使用するとオーバースペックになる可能性があります。
住まいの断熱性能に見合ったエアコンを選ぶなら、設計を手掛けた住宅メーカーや工務店に問い合わせるのが確実です。注文住宅を新築する場合は、プランニングの際に、設計にもとづく断熱性能や、断熱性能に見合ったエアコンの選定について建築士から説明してもらえます。

家全体を心地よくする全館空調
最近では、部屋ごとにエアコンを設置するのではなく、家全体を冷暖房する「全館空調」を選ぶケースも増えています。
全館空調とは、家中に冷暖房した空気を循環させて、一定の温度に保つシステムです。メインの空調機からダクトを通じて各部屋を冷暖房するタイプや、天井裏冷房と床下暖房を組み合わせたタイプなど、メーカーや機種により仕組みはいろいろですが、家の中のすみずみまでムラなく快適な温度になるメリットや、エアコン室内機を設置しないため部屋がスッキリするといったメリットがあります。その一方で、全館空調は導入コストが比較的高く、故障や停電時に全室の空調がストップするといったデメリットもあります。このようなメリット・デメリットを理解した上で、導入を検討しましょう。

24時間換気システムで空気を清浄に
2003年以降、すべての新築住宅には24時間換気システムの導入が義務付けられています。換気システムによって、せっかくの涼しい室温が屋外に流出してしまうのを不安視する人もいますが、室内の空気を清浄に保つために必要な仕組みですから、常時運転させるようにしましょう。
換気と快適な室温を両立させるなら、熱交換器タイプの換気システムを選ぶのがおすすめです。熱交換器タイプの換気システムは室内の熱を極力逃さないようにするため、快適な室温をキープしやすいでしょう。
エアコンを正しく効率的に活用する
適切な温湿度設定や運転方法で涼しく過ごしたい

暑い夏に大活躍するエアコン。毎日使うからこそ、正しく活用すれば快適性も効率もアップします。

室内で快適に過ごせる温度・湿度は?
環境省が推奨するエアコン使用時の室温は、夏は28℃、冬は20℃となっています。これはエアコンの設定温度ではなく、快適性と省エネ性を両立するための室温の目安です。
実際にエアコンの温度を設定する際は、外気温、住む人の体質(暑がり・寒がり)や体感温度、室内での過ごし方なども考慮して、無理のない温度を設定しましょう。ちなみに高断熱・高気密住宅では外気温の影響を受けにくいため、エアコンの温度設定をやや高めにしても快適に過ごしやすいです。
室内の温度はもちろん、湿度にも気を配るようにします。夏場にエアコンの除湿機能や除湿器を用いて湿度を50~60%程度に保つようにすると、室温をあまり下げなくても涼しさを感じやすいでしょう。

風量「自動」で「連続」運転が基本
エアコンを使用する際に、「自動」「冷房」「除湿」のモードの選び方や、つけっぱなしか、それともこまめにオンオフをするかで迷ってしまうことも。(一社)環境共生住宅推進協議会の「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅を住みこなす住まい方ガイド」によると、エアコンは設定した温度に達するまでに最もエネルギーを使用するため、一旦強めの風量で設定温度まで到達させて、その後「自動」運転に切り替えると、効率よく快適な室温が得られるとしています。
また、在宅時は基本的に「連続」運転を行い、30分程度の外出であればつけっぱなしのまま出かけるとよいでしょう。夜になって外気温が下がった場合は、室温などに応じてオンオフをします。

室温は下げずに除湿だけしたいときは?
室内の温度はそれほど気にならないものの、湿気だけとりたい場合は、エアコンの「除湿」モードを選択します。ただし、除湿モードでは湿気と同時に室内の熱も排出されるため、必要以上に室温が下がりすぎてしまうことがあります。室温をなるべく下げずに除湿したい場合は、冷やした空気を再加熱して室内に戻す「再熱除湿機能」を搭載したエアコンを選ぶとよいでしょう。

扇風機・サーキュレーターを併用する
エアコン運転時に、扇風機やサーキュレーターを併用するのもおすすめです。サーキュレーターを冷房時のエアコンと同じ風向きにすると、床付近にたまった冷気が攪拌されて室内中に行きわたり、快適な環境にすることができます。扇風機も、室内の冷気を攪拌・循環させたり、冷風を直接体に当てることで体感温度を下げたりして、より涼しさを感じやすくなります。
まとめると…
空調設備で暑い夏を快適に。適切なエアコン選定と使用が夏を乗り切るカギ!

高断熱・高気密住宅では、エアコンを適切に使用することで、暑い夏でも快適に過ごすことができます。
むやみに暑さを我慢したり、エアコンの設定温度を下げすぎて体調を崩したりすることがないよう、適切な温度設定で、効率よくエアコンを運転させるようにしましょう。
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最終更新日 2025年7月11日
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