【専門家監修】noi利回りとは?不動産投資の重要指標を徹底解説

2021年5月25日

不動産投資で利益を得るために、重要な要素として「利回り」が挙げられます。なかでも、「noi利回り」は重要視されている指標です。不動産投資を行う場合は、noi利回りについての知識をしっかりと身に付けておく必要があります。そこで、この記事ではnoi利回りの基礎知識や表面利回りとの違い、また活用方法や注意すべきポイントについて網羅的に解説します。

不動産投資で重要な「noi利回り」とは?

noi利回りは「Net Operating Income」の略称で「営業純利益」「純利益」などの意味を持つ言葉です。収入から経費を差し引き、得られる純利益のことです。場合によっては実質利回り・純利回り・ネット利回りなどと呼ばれるケースもあります。不動産投資ではnoiを不動産の購入価格で割った数値を「noi利回り」と呼びます。noi利回りは収益性を判断する際に非常な重要な指標です。

なお、noi利回りは「(年間賃料収入-年間諸経費)÷(物件購入価格+諸費用)×100」という計算式で求められます。この計算式にある諸経費は「固定資産税」「火災保険料」、「管理費」「修繕費」などが該当します。諸経費に含まれるものは「不動産取得税」「登記費用」「不動産会社へ支払う手数料」などです。noi利回りは実際の支出を伴わない「減価償却費」「修繕積立費」などは控除して計算することが特徴です。毎月発生する純粋な経費のみを差し引くため、実質的な収益性をわかりやすく把握できます。

noi利回りと表面利回りの違い

不動産投資を検討する際に、疑問を持つ人も多いのが「noi利回りと表面利回りの違い」です。不動産投資では表面利回りも多く用いられるため、noi利回りと意味を混同してしまう人も少なくありません。ただ、これらが示す内容には違いがあるため、きちんとそれぞれの内容を把握しておく必要があります。表面利回りとは、物件価格に対してどれくらいの賃料収入が期待できるのかを示すものです。計算式は「年間賃料収入÷物件購入価格×100」となります。

表面利回りの計算で用いる年間賃料収入は、満室を前提としたものです。空室リスクが考慮されておらず、さらに経費も計算に含まれません。したがって、計算上の収益と実際の収益とでは、数値が大きくかけ離れてしまう可能性があります。表面利回りだけに着目すると、のちのちメンテナンス費用などがかさむこともあるため注意が必要です。noi利回りは空室リスクや経費などが考慮されており、より確実性の高い計算を行えます。物件選びの際は表面利回りにとらわれず、noi利回りの高さを基準に選ぶことが基本だと覚えておきましょう。

noi利回りを正確に計算するコツ

noi利回りはポイントを押さえて計算することで、正確性を高めることができます。精度の高い計算を行うためには、物件のある地域の「家賃相場」「経費」「空室率」という3つの要素を正確に把握する必要があります。家賃相場を調べるためには、物件の検索サイトを使うと良いでしょう。なお、物件は一般的に築年数の経過により賃料が下落する傾向があります。将来的に相場が下がることも加味し、適切な判断のもと計算を行いましょう。

経費については、管理費・火災保険料・固定資産税などの項目は調べれば確実な額を把握できます。ただし、修繕費や広告費までは調べることが難しいため、不動産会社に相談してみると良いでしょう。空室率については計算に用いる年間賃料収入に「1-空室率」をかけると、空室リスクを考慮したより正確なnoi利回りを算出できます。なお、レントロールを確認の上、管理会社に直近1年間の平均的な空室率を問い合わせてみるのも得策です。

noi利回りが低い場合の対処法

noi利回りが低い物件は基本的に収益を期待しないほうが無難でしょう。ただ、必ずしも収益を期待できないわけではありません。利回りの低さは以下の2つの対策によって高められる可能性があります。

まず、1つ目の対処法には「賃料収入のアップ」が挙げられます。たとえば、リフォームなどで物件の付加価値を高めることで、賃料をアップさせることも一案です。ほかには、入居者に長く住んでもらうために工夫を行う方法もあります。物件への不満を聞き出し、それを解消するための設備投資を行うと良いでしょう。

2つ目の対処法は「経費の削減」です。コストの無駄な部分はないか、見直してみましょう。なかでも、原状回復費用・管理費・広告費などは工夫次第で安く済ませることもできます。依頼している会社の料金体系やかかっている手数料などを確認し、ほかの会社と比較してみると良いでしょう。相見積もりをとると無駄な費用を把握しやすくなります。

noi利回りの注意点

noi利回りを利用する場合、いくつかの注意点があります。特に注意したいのが、「新築物件を検討している」場合です。中古物件の場合は調べればさまざまな過去の情報を得ることができるでしょう。しかし、新築物件の場合は過去の実績が何もない状態です。つまり、計算の際の賃料や空室率などの数字はあくまでも想定のものとなります。明確な情報がない以上、どうしても計算の精度が低くなってしまうおそれがあるでしょう。

加えて、「データ収集が難しい」可能性もあります。noi利回りを計算するためには詳細なデータが必要です。しかし、検討段階では自分だけでデータを集めることが難しい場合があります。細かいデータを調べようとすると、かなりの手間と時間がかかると考えておいたほうが無難です。また、必要な情報によっては見積もりをそろえる必要が生じ、業者に依頼しなくてはならない可能性もあるでしょう。

それ以外にも、noi利回りは「将来性が反映されにくい」という側面があります。noi利回りは過去や現在のデータをもとに計算を行うことが基本です。ただ、物件の周辺環境は将来的には変わる可能性があります。すると、賃料や空室率が大きく変わる場合があるため注意が必要です。今後の都市計画を調べるなど、立地に関する情報にアンテナを張っておくことが重要になるでしょう。

さらに、「想定外の費用」にも気を付ける必要があります。noi利回りは想定外の費用までは計算に含まれていません。たとえば、自然災害などで物件が被害を受けた場合、想定外の費用がかかってしまうリスクがあります。すると、期待していたnoi利回りにならないケースもあるため要注意です。このような予期せぬトラブルも視野に入れ、過去の災害やハザードマップをよく確認しておきましょう。

noi利回りを活用して投資物件を選ぼう!

noi利回りを用いることで経費や物件の空室リスクを加味した、より正確な収益性を把握することができます。noi利回りは不動産投資において非常に重要な指標となるため、しっかりと概要と計算方法のコツを頭に入れておきましょう。また、noi利回りが低い場合は賃料収入のアップや経費の削減などの対処法を試してみることも一案です。noi利回りへの理解を深め、慎重に投資物件選びを行いましょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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