【専門家監修】積算価格とは?収益価格との違いや利用シーンとは?

2021年4月30日

不動産購入を検討していく中で、積算価格という言葉を耳にする人もいるかもしれません。積算価格とは、土地と建物のそれぞれの価値を合算した価格のことであり、主に銀行が融資額の判断を行う際に用いられます。不動産投資では収益価格という言葉も出てくるため、具体的にはよくわからないという人も多いでしょう。そこで、この記事では積算価格と収益価格の違いや、積算価格が利用される場面などを説明します。

積算価格とは

積算価格とは、土地と建物を個別に評価を行い、それぞれの評価額を合算した価格のことをいいます。積算価格が必要になるのは、不動産購入の際に銀行から融資を受けるときです。銀行から融資を受けて不動産を購入するとなると、通常は抵当権(担保権)を設定しなければなりません。そのことも踏まえ、実際にどれくらいの価値がある不動産なのか、融資する側としても判断する必要があります。積算価格は、銀行が融資を行うときに、その対象となる不動産の担保価格を算出する際に用いられるものです。

積算価格を求めるときは、原価法を用います。原価法というのは、不動産の価格を判定する基準日に実際どれくらいの価値があるのか、再調達原価から減価修正して算出する手法のことです。再調達原価とは、対象の不動産と同じものを、ある時点でもう一度建設する際に必要となる費用のことをいいます。例えば、30年前の不動産とまったく同じものを現在建て直した場合にかかる費用のことです。

積算価格の算出方法:土地の価格

積算価格に用いる土地の価格は、公示価格または路線価と土地面積の積です。公示価格とは国土交通省が公開している土地価格のことで、隣接する道路や土地形状などさまざまな条件を考慮して算出されています。例えば、奥まった場所にあるいわゆる旗竿地の場合は評価額の7割にするなど、単なる面積だけでなく使い勝手などで細かく評価を行うのです。そして、2名以上の不動産鑑定士によって価格が決定します。

路線価も土地の評価額のことですが、こちらは国税庁の管轄になります。路線価には、相続税路線価と固定資産税路線価の2つがあり、主に納税の際に用いられる評価額です。土地面積は、土地を真上から見た際の投影面をもとにしたときには敷地面積という呼び方もされています。また、実際の土地の形状や地域の特性などから修正が行われることもあります。

積算価格の算出方法:建物の価格

建物の価格は、再調達価格と延べ床面積と「残耐用年数÷耐用年数」の積で求めます。再調達価格は、前述したように、同じ建物をある時点で再び新しく建てたときにいくらになるかを算出した費用のことです。古い建物の場合、現在も同じ価格で考えることはできません。同じ建材を使って新築した場合、現在価格でいくらかかるかを割り出した価格が再調達価格です。そして「残耐用年数÷耐用年数」では建物の残価率を計算することができます。法定耐用年数は建物の構造に応じて変わり、木造なら22年、重量鉄骨なら34年、鉄筋コンクリートなら47年です。ただし、築年数が耐用年数を超えた場合、価値はないものとみなされます。

収益価格とは

収益価格は、「年間運用純利益÷実質利回り」から算出した価格のことです。年間運用純利益とは、家賃収入から年間経費を差し引いた利益のことで、これによって実際に手元に残る利益がいくらになるかを割り出すことができます。ここで重要なのは、どこまでが年間経費になるかということです。例えば、固定資産税や建物の管理費、損害保険料などが年間経費にあたります。

管理費の中には建物の修繕費用なども含まれるため、外壁塗装や屋根の修繕費用などがかかった場合も年間経費として扱います。家賃収入を得るためには建物を維持しなければなりません。年間経費とは建物を維持するためにかかる費用全般が対象になります。そして、実質利回りとは、実際の年間家賃収入から年間経費を差し引き、その数字からさらに物件価格と購入時の諸経費を合算した数字を割ったものです。

収益価格と積算価格の違い

積算価格とは不動産の費用面、そして収益価格とは不動産から得られる収益面に着目しているという違いがあります。積算価格にしても収益価格にしても、厳密にいえばどちらも不動産の持つ価値を表していることに変わりはありません。しかし、その価値の考え方が大きな違いです。積算価格は、自分で不動産を使う場合にどう価値があるかを表すものです。自分で土地を購入し、そこに建物を建てて使うことに着目されています。

一方、収益価格は他人に賃借してどれくらい利益が得られるかということで、自分が直接使うことは想定しません。つまり、収益価格は不動産投資を行う際にその不動産にどれくらいの価値があるか算出するために利用されるものです。このように、同じ不動産でも使い方によって価値に違いが出ますし、価格も変わってきます。そのため、例えば不動産投資を目的に考える場合は、収益価格を参考にしなければならないということです。

積算価格が高い物件の特徴

結論からいえば、積算価格が高いからといって必ずしも良い物件であるとはいえません。ただし、住宅ローンで不動産を購入するときは実際の購入費に対して高い融資額が受けられることが多く、自己資金を大幅に抑えることができます。銀行で融資を受ける際の上限は、積算価格の7割程度が相場です。そのため、場合によっては自己資金がまったくなくても物件を購入できるでしょう。

ところが、積算価格が高い物件は実際の利用価値が低い可能性もあります。例えば、公共交通機関が充実していなかったり買い物が不便だったりするかもしれません。または、幹線道路に出るまでの道幅が極端に狭いということもあり得ます。このようなケースは、立地に対して建物に費用がかかっているような場合に見られやすいものです。積算価格は土地と建物を分けて価値を求めることから、このようなことも起こることを念頭に置いておきましょう。積算価格が物件価格を上回っている不動産は、利用価値が低い場合があります。

積算価格を理解して投資に役立てよう

積算価格と収益価格について説明してきましたが、積算価格が高いから良い物件であるとは一概に言えません。では、なぜ積算価格が高いのかその理由を考えてみるといいでしょう。積算価格は融資の際に用いられることが多いため、積算価格がいくらになるかで融資額は左右されます。不動産購入で融資を検討する際は、今回の記事を参考にしてみてください。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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