【専門家監修】賃貸契約の審査ポイントって? 保証会社って何?

2021年2月25日

物件の賃貸契約を申し込む際には必ず審査が行われます。部屋を借りるために連帯保証人を探さないといけないと考えるかもしれませんが、必ずしも連帯保証人が必要とされるわけではなく、保証会社の審査に通ることで、連帯保証人なしで物件の賃貸契約を結ぶことも可能です。ここでは賃貸契約の審査ポイントや保証会社について順を追って説明していきます。

賃貸契約の審査とは?

賃貸物件は審査を通った人でなければ借りることはできません。それは、不動産賃貸業というビジネスモデルは、借主から契約した家賃分が確実に回収できなければ成り立っていかないからです。よって、問題なく家賃を支払ってもらえるかどうかを正確に判断するため、いくつかの観点から入居希望者に対する審査が行われます。

端的にまとめると、「本人の支払い能力」「連帯保証人の支払い能力と支払意思」そして「本人の人柄」という3つのポイントに基づき、入念な調査が行われます。まず、「本人の支払い能力」は、毎月の家賃を支払えるだけの収入があるかどうかという最も根本的な審査項目です。そしてもしもの時に、連帯保証人が代わりに支払えるだけの経済力があるか、またその支払意思を持つに足る関係性にあるかどうかという点を確認します。さらに、ルールを守って継続的に支払ってくれる真面目な人物かどうか、借金癖などの懸念すべき生活態度はないかといった人格的な部分も含めて審査対象となります。

審査に必要な書類

実際に審査に必要となる書類を借主、連帯保証人ともに列挙していきます。

まず審査側が入居者本人から知りたい情報は、住所、電話番号、性別、生年月日、勤務先名、勤務先の電話番号と住所、業種、年収、勤続年数などです。よって、必要とされる書類等は、身分証明書、住民票、収入証明書(源泉徴収票)などが一般的です。無職の場合や収入面が不安視される場合は、通帳のコピーや銀行残高証明書の提出を求められることもあります。住民票や印鑑登録証明書など役所が発行する書類については、取得後3カ月以内でないと認められないケースがほとんどなので注意してください。

次に、審査側が連帯保証人から知りたい情報は、名前、住所、電話番号、性別、生年月日、勤務先名、勤務先の電話番号と住所、業種、年収、勤続年数、借主との関係などです。提出が求められる書類は入居者本人の場合とほとんど同じですが、どこまで実際に提出を求められるかは貸主や管理会社の方針、入居者の支払い能力などに左右されます。多くの場合、連帯保証人の身分証、住民票、印鑑登録証明書、保証人の承諾書などを用意する必要がありますが、その他の書類については状況次第です。

審査のポイント1.家賃の支払い能力

入居者に家賃の支払い能力があるかどうかは、入居審査の中で最も基本的な情報であり、最も重要視される項目となっています。契約しようとしている物件の家賃と入居者の収入を比較した上で、その支払い能力の有無が評価されます。もちろん人並み以上に稼いでいても、支払予定の家賃が現状の収入に見合わないようであれば審査で落とされる可能性も否定できません。ちなみに、目安としては「家賃の36倍以上の年収」が必要とされています。例えば、東京のワンルーム物件で見かける機会の多い7万円という家賃の場合、少なくとも250万円以上の年収がないと入居者の支払い能力が疑問視されてしまいます。

その他には、勤続年数、雇用形態、業種などもチェックの対象となります。勤続年数が1~2年という場合、どうしても統計上は離職率が高い傾向にあり、審査上考慮されるケースが多くなっています。雇用形態が正社員、派遣社員、アルバイトなどいずれに該当するかによっても、雇用の安定に対する評価は異なってきます。入居者の職業までも審査のなかで見られる理由は、風俗業などに関しては、収入自体は高くても、離職率が非常に高い職種として知られているからです。また、個人事業主も状況によっては倒産リスクが高く、支払い能力の審査に影響する可能性があります。早々に退去されて、再度入居者募集の仕切り直しとなっては貸主にとって大きな痛手となるため、単なる収入のみならず、職業の安定度を含めた審査をするのです。ただし、収入以外の項目をどれだけ重視するかは貸主や管理会社によって違いがあります。正確な情報を知りたければ、不動産屋に相談することで、より順調に事が進んでいくきっかけとなるでしょう。

審査のポイント2.入居者の人間性

意外に盲点かもしれませんが、入居者の性格や人間性も賃貸契約の審査において重要なウェートを占めます。実際に入居希望者と面会した不動産店側が入居申込書を作成して貸主に渡すというのが一般的です。そもちろん就職面接のように「あなたはどんな人物ですか?」などと露骨に問うことはありませんが、物件や入居に関する対話を進める中で、入居予定者はどんな人間なのか入念なチェックが行われていると念頭に入れておきましょう。よって、物件の相談を店内で行う際も、好感度のある口調や態度でコミュニケーションを取っておけば損はありません。

審査のポイント3.連帯保証人の有無

賃貸物件の申込では連帯保証人を付ける、もしくはその代わりに保証会社に付いてもらうという形態をとるのが一般的です。中には、その両方を求めるという物件も散見されます。

連帯保証人に対しても審査が行われ、年齢、職業、収入などがチェックされます。誰でもいいわけではなく、借主にもしものことがあった際に代わりに家賃を支払ってもらう立場であり、必然的にその支払い能力が最も重要な審査対象となります。よって、連帯保証人の候補が高齢者や生活保護受給者である場合、保証能力が不安視されどうしても審査が通りにくくなってしまいます。万一、連帯保証人が見つからなければ、賃貸契約できる見込みは非常に低いと言わざるをえません。そんな時は、保証会社利用が認められる物件に絞ってアプローチするという道を選ぶことになります。

保証会社は、ほぼ連帯保証人の代わりとして機能するので、借主にとって親族など連帯保証人に相応しい者がいない場合でも非常に有用な存在です。保証会社のケースでは、家賃滞納時に代わりに支払うという点では相違ないのですが、立て替え払いがされるだけなので、最終的に借主は保証会社への支払い義務が発生します。保証会社独自の基準で入居者に対して審査が行われ、支払い能力や滞納歴などをメインに調査が進められます。審査難易度については、保証会社の加盟団体によって異なりますが、保証会社の選択権は大家や不動産店側にあるため、借主側が依頼したい保証会社を指定するということは現実的ではありません。

審査が不安だったら不動産屋に相談しよう

ここまで見てきたように、不動産の賃貸契約の審査がどのように行われるのかある程度実態がつかめたのではないでしょうか。そうは言っても、大家さんや物件の種類によってその審査基準にばらつきがあるというのもまた事実です。審査に関して不安や疑問を抱えているというのであれば、一人で結論付けるのではなく、賃貸の諸事情に詳しい不動産屋に相談してみるのがよいでしょう。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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