【専門家監修】中古マンションのリフォーム費用!安くするポイント

2020年9月15日

中古マンションで気になる点の一つに老朽化があげられます。快適に住むことを考えると購入時にリフォームは必要なのか、またその際はどれくらいの費用を予定しておけばいいのか気になる人も多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではリフォームにかかるケースごとの相場や安く抑えるポイント、さらに注意点などについて解説していきます。

1.「リフォーム」とは?何をするの?

はじめにきちんと把握しておきたいのは、リフォームとはどのような状態を指すのかということです。中古マンションの場合はリノベーションという言葉が使われることも増えており、この2つが混同している人もいるでしょう。リフォームとは、基本的に傷んだ部分を補修してもとの状態に戻すことをいいます。まったく同じ状態に戻すというより、新築時と同等レベルにするのが一般的です。リフォームの例として、クロスの張替えやフローリングの張替え、水回りの修繕工事などがあげられます。

これに対してリノベーションとは、もとの状態とは違うものに作り変えることを指します。リフォームのように老朽化した部分を新しいものに変えるだけでなく、機能性を見直すなど新たな価値を加えることがリノベーションです。例えば、間取りの変更や最新設備の追加などがあげられます。特に間取りやデザインは時代の変化とともに見直しが求められやすく、リノベーションして売り出すマンションは増えています。中古マンションの場合、修繕がどの程度必要かは入居前に見極めておかないと後悔するかもしれません。プロに相談するなど、あらかじめしっかりチェックしておくといいでしょう。

2.リフォーム費用相場:築年数別

マンションは、築年数が古くなっていくほどリフォームが必要な箇所は増えていきます。もちろん、以前住んでいた人がどのような使い方をしていたかでも傷み具合は変わってきますが、築年数別におおよその目安を出すことは可能です。築年数が5年程度のマンションであれば、通常は見た目も機能面も特に気になる部分はありません。クリーニングやせいぜい畳替え程度で済むことが多く、費用相場は7〜10万円程度です。築年数が10年程度になるとクロスの傷みや汚れが目立ってきます。他にも、温水洗浄便座などの不具合が出てくる時期で、リフォーム費用は10〜57万円程度で見ておいた方がいいでしょう。

15年経過してくると給湯器やユニットバス、ディスポ―ザ、インターホン(住宅情報盤)、ジャバラ給水栓のホース、便器のフランジ・ガスケット、24時間換気扇などの老朽化が加わるため、費用相場は57〜147万円前後です。さらに20年を超えてくると、洗面所やユニットバス、トイレ、キッチンなど水回りの全面的な修繕が必要になるほか、廊下や居室の床の傷み、建具まわりのがたつき、ホーム分電盤や床暖房の故障などを修理する必要性も出てきます。築20年のマンションなら、リフォームの費用は147〜262万円程度が相場です。築年数が20年以上のマンションになると、管の材質や使い方にもよりますが、給水管や給湯管、追炊き管、エアコンドレン管、排水管、ガス管などの老朽化が起こりやすくなります。そのため費用は高めになりますが、素材や機能面などをどこまで重視するかで予算を決めるといいでしょう。

3.リフォーム費用相場:箇所別

次に、リフォームする箇所によって費用はどれくらい違うのか説明していきます。もちろん、同じ箇所であっても素材や設備の種類、グレードに応じて費用には差が出ます。そのため、実際にリフォームを考えるときは予算がどこまで出せるかで判断しましょう。例えばキッチンなら、天端材の材質(自然大理石か人工大理石か)やビルトインコンロの性能などで費用に差が生じ、相場は50〜100万円程度と幅があります。グレードが高いものになれば500万円以上かかるケースも見られます。

トイレは便器本体の交換や周辺の壁や収納、床などが基本で、平均的な相場は20〜40万円程度です。洗面台もトイレ同様、周辺の床や壁もリフォームを行います。隠れた給水管・給湯管・排水管も一緒に更新するとかなりの費用になるでしょう。既成のユニット洗面台であれば10〜25万円ほどに抑えることも可能です。浴室は70〜120万円程度が相場ですが、浴槽の素材や壁材、床材などによってはそれ以上かかることもあります。壁は、クロスと呼ばれる壁材を張り替えるのが一般的なリフォーム方法で、およそ8〜12万円が相場です。床は全室リフォームするかどうかで変わりますが、1平米あたりで8000〜1万5000円程度はかかります。

4.リフォーム費用の工面はどうする?

リフォームをするかどうか検討する際、もっとも気になるのは費用の捻出方法ではないでしょうか。預貯金から用意できないときには、リフォームローンを利用することも可能です。リフォームローンには「有担保型」と「無担保型」の2種類があります。この2つは担保があるかないかの違いで、リフォームにかかる費用に応じて使い分けるのが一般的です。「無担保型」は担保を設定せずに利用できるリフォームローンで、30〜500万円程度の低額なものか、15年以内の短い返済期間が対象になります。「有担保型」はさらに高額の借入に向けたリフォームローンです。返済期間も最大35年間と長期を想定したもので、リフォームなどを実際に行う建物が担保の対象です。また、中古マンションの購入と同時にリフォームを行う際に利用するなら、購入資金も併せて借入できる一体型の住宅ローンもあります。

5.リフォーム費用を安く抑えるポイント

中古マンションを購入するとき、気になる箇所をすべてリフォームできるのは理想的です。しかし、予算を考えるとなかなかそうはいかないという人も多いでしょう。できるだけ費用を抑えてリフォームを行うには、優先順位をつけることがポイントです。リフォームは、水回りのような使い勝手や機能性に問題が出やすい箇所を優先させます。そして、壁や床の張り替えのように見栄えを良くする箇所のリフォームは余裕があるときに考えればいいのです。

リフォームの内容によっては、補助金や減税制度を活用するのもいいでしょう。補助金は国や各自治体が用意しているものに分かれており、居住地域によってもさまざまなものがあります。補助金や減税制度が利用できる例をあげると、バリアフリーや省エネ対策などです。特に省エネ対策となるものとしては窓サッシの更新などがありますが、個別に工事ができるか、保持しなければならない機能があるかを管理組合に確認することが必要です。なお、自分だけではなく他の住戸にも声をかけて、できるだけ工事費を安くあげるよう試みることもできます。また、リフォームに使用する素材やメーカーにこだわらないことも費用を抑えるポイントといえます。使用箇所によって劣化する時期にばらつきはありますが、まとめられる箇所はできるだけ同じ業者に発注することでリフォーム費用を値引きしてもらうことも可能です。その際、いきなり発注するのではなく複数の業者から見積もりを取って比較してみましょう。

6.中古マンションのリフォームの注意点

マンションには専有部分と共用部分があります。共用部分は入居者全員の共有財産であり、たとえ購入者しか使わないような玄関前スペース、バルコニーであっても、個人の自由で工事をすることができません。また、専有部分のリフォームでも管理組合へ申請し、承認を受けなければなりません。ただし、申請の詳しい内容や条件についてはマンションごとで異なります。リフォームを検討する際は、管理会社もしくは管理組合に相談しておくといいでしょう。マンションによっては独自の規定を設けているケースもあり、確認しておくことも注意点の一つです。例えばフローリングの場合、一定以上の遮音等級が求められることも珍しくありません。

規定によっては、自分の希望通りにいかないことも想定しておきましょう。確認せずにリフォームを行ったために本来の効果や機能が損なわれることにならないよう、リフォーム会社にしっかり見てもらうことが重要です。また、特に問題なくリフォームを進められる場合であっても、近隣への配慮は必要です。リフォームを行う前には上下左右など迷惑をかけそうな部屋への挨拶を忘れないことも大切です。

また、リフォーム実施の30日前までに申請をしなければならないといった規定はよくあります。そのため、リフォームしたい場合は3カ月前くらいから管理会社と相談することをおすすめします。

コツを押さえてコスパよくリフォーム!

中古マンションは、建物自体は安く購入できる反面、築年数や使い方によってはリフォームが必要になってきます。ただし、コツを押さえておけば低予算でリフォームを行うことも可能です。どこまで費用を出せるのか検討したうえで本当に必要な箇所を絞るなど、コストを抑える方法はいくつかあります。できるだけローコストを目指し、その中で希望のリフォームを実現しましょう。

執筆者プロフィール

戸部 素尚
戸部 素尚様

マンション管理士
マンション管理士業を専業で営んでおります。
中でも、マンション管理士は平均年齢が高い中で、30歳代ですでに13年の経験を積んでいる希少なタイプです。
平成17年にマンション管理士資格を取得し、東京都墨田区を中心に活動を続けてまいりました。
以前は、不動産仲介で物件査定・調査等を行っておりましたので、現在も大規模修繕工事等のときには、足場に上り、施工業者さんと、お客様の建物や設備について、どうしたらもっとよくなるか?再発防止ができないか?などさまざまな知識・知恵をもって、お客様のために日々、汗をかいています。


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