【専門家監修】新築で家を買う人必見!頭金は払った方が良いの?

2020年8月15日

住宅の購入に際して、住宅ローンを組む人が少なくありません。新築住宅は中古住宅よりも高く付くことが多く、ローンの返済額にも反映されてきます。しかし、お金の払い方は単純なものではないのです。頭金という言葉を見聞きする機会がありますが、払ったほうが良いのかどうかも気になるところです。本記事では、住宅ローンの頭金に悩む人のために、頭金の払い方と判断方法について紹介していきましょう。

1.頭金とは

住宅ローンを借りるとき、「頭金」をどうするか問われることはよくある話です。頭金とは「住宅価格から住宅ローン借入額を差し引いた金額」のことを意味します。たとえば、4,000万円の住宅の購入に3,500万円を借りる場合、残り500万円が頭金に該当するのです。そのため、住宅ローン申し込みに際しては、頭金をいくらにするのかが大きな課題になるかもしれません。住宅価格が決まっているため、頭金が多いほど住宅ローンの借入が少なくて済むからです。ちなみに、頭金の平均額に関しては、住宅購入価格の20~40%とのデータがあるので、頭金を決めるときの参考にすると良いでしょう。

住宅購入に際しては、頭金以外にもいろいろな費用が掛かってきます。住宅ローン手数料や登記費用、不動産取得税、さらに、仲介手数料などが必要になってくることも知っておきましょう。それらの諸費用は、原則現金で支払うことになります。このような理由もあり、先述した頭金を20%にしたうえで、諸費用分として約5~8%分、つまり、住宅価格の約30%程度を現金で準備しておくことが望ましいでしょう。ちなみに、頭金は住宅の売買契約から引き渡しまでの間に払う必要があります。なお、頭金の類似用語として「手付金」が存在します。こちらは契約時に支払うもので、頭金の一部を充当することが一般的です。また、手付金は契約を締結した証拠としての性質があることから、買主側が契約を取り消した場合は手付金を放棄する形になります。

2.頭金なしでも家は買えるの?

住宅を購入する場合、頭金を用意することで借入金額を抑えることにも役立ちます。頭金の平均額は住宅購入価格の20~40%だと先述しましたが、より多く用意することで返済の負担軽減が期待されます。一方、頭金なしでも家が買えるのかどうかも気になるところです。結論から言うと、頭金なしでの住宅購入は可能です。実際、ほとんどの住宅ローンでは、住宅価格の100%を借りられるようになっています。ただし、頭金なしで住宅を購入する場合は住宅購入のすべてを住宅ローンに頼らなければなりません。その結果、ローン返済が重荷になる可能性が少なくないのです。
また、誰もが住宅ローンだけで住宅を購入できるとは限りません。金融機関が融資をする際には、借入申込者の返済能力などを審査したうえで判断を行うからです。そのとき、「返済負担率」が年収の何割を占めるのかが大きな鍵を握ります。審査対象には、自動車ローンやクレジットカードのキャッシング枠なども含まれます。つまり、借入申込者に金融機関が十分と認めるだけの返済能力がなければ、購入代金全額を住宅ローンでまかなうことができないのです。
借入に際しては、手持ち資金が障壁になる場合も少なくありません。家族が病気になったときなど、不測の事態に対応するためにも、最低でも6カ月~1年分の生活費を蓄えておくことが一般的です。また、頭金なしで住宅を購入する場合でも、諸費用は原則として現金で用意しなければなりません。たとえば、4,000万円の住宅購入に5%の諸費用を必要とする場合、200万円掛かる計算です。このような理由もあり、頭金なしで住宅ローンを組むことができても、貯蓄がないと住宅の購入はできないと考えておきましょう。

3.頭金を払うメリット

住宅購入は、その後の人生を大きく左右するくらいの高い買い物です。しかし、住宅ローンの利用によって、マイホーム購入の夢を形にできる人も多いでしょう。一方、住宅ローンは借入金額が大きいだけでなく、返済が長期にわたるケースも少なくありません。それらの負担を軽減するためにも、頭金を払うメリットが大きいと言えるでしょう。また、頭金をより多く準備することで、月々の返済額を少なくできるほか、返済期間を短く設定したり返済総額を抑えたりすることにもつながります。
用意できる頭金の金額や、住宅ローン商品によっては借入金利が低くなる可能性がでてきます。また、頭金を用意したほうが住宅ローンの審査に通りやすいことも知っておきましょう。金融機関は、年収や職業、自己資金金額などを審査したうえで、融資の判断材料にしています。借入申込者の安定した収入や資金面での余裕、返済能力の有無が大きな鍵になるのです。そのため、住宅購入資金すべてを借入に頼る人よりは、頭金の準備ができる人のほうが有利になります。また、お金を貸す側の金融機関も安心できると考えておきましょう。

4.頭金を払わないメリット

一方、頭金を払わないメリットも見逃せません。その一つとして「住宅ローン減税」が挙げられます。こちらは、年末の住宅ローン残高の1%が所得税や住民税から控除されるものです。まったく同じ金額の住宅を購入する場合、頭金なしの住宅ローンは残債が多いことや、所得税などの控除額に反映することも考えられます。ちなみに、消費税10%への増税(2019年10月)にともない、これまでの控除期間10年間から13年間に延長されたことも知っておきましょう(居住の用に供した年が、令和2年12月31日まで)。

また、頭金を少なく設定することで、手元にお金を残しておくことができます。もし、頭金なしで済むのなら、より多くの蓄えがあるため、いざというときにも安心です。子どもの進学費用など大きな出費が控えている家庭では、頭金のためにお金を使い過ぎないほうが良い場合もでてきます。
頭金なしで住宅購入するメリットはほかにもあります。住宅を購入するためには、計画的に資金準備をすることが理想的です。しかし、欲しい物件との出会いはいつ起きるとも限りません。頭金を貯めている間に、希望の物件が売れてしまう可能性もでてきます。そうならないためにも、頭金なしで住宅ローンを組むメリットが大きいと言えるでしょう。

5.頭金を払った方が良い家庭とは?

住宅ローンを組むときに頭金を払った場合と払わない場合、それぞれにメリットがあることがわかりました。頭金をどうするのか、どれくらいの金額を準備するのかは各家庭によって異なります。そのうえで、頭金を払った方が良い家庭にみられる特徴を知っておきましょう。
まず、考えられるのは月収の大半を出費してしまう家庭です。月々の生活に余裕がなくなるため、住宅ローンの返済が困難になることが考えられます。そうならないためには、頭金を用意することが大事なポイントです。しかも、少しでも多く頭金を貯めておくことにより、月々の返済額を減らすことにもつながります。
まとまったお金が必要になることが分かっている家庭も、頭金を準備しておいた方が良いでしょう。頭金の用意によって、住宅ローン返済の負担軽減にも役立つからです。子どもの進学が迫っている場合は典型的な事例です。また、自動車の購入や買い換え、出産や親の介護が控えている家庭なども、頭金を貯めてから住宅購入を検討した方が良いかもしれません。ただし、教育資金が思っていた以上に必要になる場合もありますので、これらの事例はあくまでも参考にしましょう。
一方、毎月の収入額が安定している家庭では、頭金なしで住宅ローンを組んでも良いと言えます。収入が安定することで、長期的な生活設計が立てやすくなるからです。しかも、無理のない返済計画のための大きな強みになるでしょう。住宅ローンの返済を計画する場合も例外ではありません。このような家庭では、頭金が貯まるまで待たなくても住宅ローンを組み、安定した返済することが可能になります。

6,マネープランを立てることが大事!

住宅ローンを組むときは、頭金の仕組みを理解する必要があります。また、頭金を払う場合と払わない場合のメリットを知ることも大切です。それらについて理解できたでしょうか。頭金をどの程度払うかどうか判断するためには、将来の資金計画を立てることが大事なポイントになります。住宅ローン返済には長年を費やすことが少なくありません。無理のないマネープランを立てたうえで、念願のマイホームを購入しましょう。

執筆者プロフィール

三上 隆太郎
三上 隆太郎様

宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士・管理業務主任者
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設業では職人として従事。
個人向け不動産コンサルティングのコンサルタント・インスペクターを経験し
中古+リノベのボランタリーチェーン展開、資格の予備校にて宅建業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。各種講演、執筆実績多数。


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