【専門家執筆】本当に南向きの土地が住みやすいのか?

2018年12月25日

日本人はおひさまが大好きです。ですが、広い庭があったり、別荘のような素晴らしい環境の中にあったりしない限り、一日中陽のあたる土地を手に入れるのは、密集地ではなかなか難しいものです。日本は一年を通して太陽の軌跡に大きく変化があり、日影になる部分は夏至と冬至で驚くほどに違いがあります。道路の向こう側まで含めて周囲の建物の影を考慮しなければ、必ずしも南向きだから日当りがいいということにはなりません。
「住みやすい」というのはどんな条件がそろっている状態のことなのでしょうか。まずはそれぞれの方位の特徴を見ていきましょう。

南向きのメリットとデメリット

南側に眺望がひらけた土地のことではなく、南側が道路に面していることを一般的に南向きの土地と呼びます。道路幅は通常4m、そこに建物が建たないため、日当りが良い傾向にあります。また、道路に面する南側に駐車場やアプローチ、庭といった余白の部分を取り除くことで南窓から取り込んで北窓へぬける風の流れをつくりやすいというメリットがあります。
デメリットとしては道路に面する南側に庭や窓を大きくとるとプライバシーの確保が難しくなること、東西方向に間口が狭い土地の場合には、南側に玄関をとってしまうとリビングなどの居室スペースが南側に取りにくくなってしまうことです。
また近年、建物の断熱化が進み、冬の対策が万全になる一方、夏の温度上昇が問題になっています。夏を旨とした日本独自の住まいづくりの知恵をもう一度見つめ直し、遮光の工夫を生かす必用があります。

東向き、西向き、北向きのメリットとデメリット

東向きのメリットとしては、一日のスタートを気持ちよく切るための朝陽を取り込む窓がつくれること、向きのメリットは帰宅してからのんびり過ごしたい時間帯、夕日が沈んでもしばらくは西側の空が部屋を明るくしてくれることです。ただし、日照と眺望を両立するのが難しい方角であるのも事実です。夏至の頃には夜明けとともに差し込む強い陽射しは、遮光をしなければかなり眩しく、室温を上昇させます。西陽もまた然りです。東西方向では屋根ではなく、壁に当たる日射量が多くなります。日差しを防ぐために高い木を植えると、外壁の温度上昇を防ぐ効果も期待できそうです。

北向きの土地は南側建物が日差しを遮ってくれるため、夏涼しいというメリットがあります。また、北側の空からは一日中均一な光が届くため、窓の作り方によっては自然光だけで十分明るくなります。また、北側の庭の方が陽を浴びすぎず植物がゆっくりと成長し、部屋からは庭木の葉に陽のあたる側を見ることができるため、落ち着いた庭をつくることができます。
デメリットとしては、冬場に日影になる部分が多く太陽光の熱によって室温が上がらないため、暖房計画をしっかりする必用があること。また一年を通し南側からの風をどう取り込むか、通風についても工夫が必用です。

日当りが悪い場合の対策

庭の位置、アプローチ、カーポートを含めた建物の配置に工夫をすることでどんな土地でも南向きの部分をつくることはできます。隣家の庭やカーポートなどのオープンスペースにも着目し、視線が抜けそうな所やおもしろそうな所を探すと限られた土地でも日当たりを確保でき、広がりが生まれます。
建物内では北面の屋根や壁にとりつけたトップライトやハイサイドライトで高い位置から光を取り込めばおだやかな自然光で明るさを確保できます。階段や吹抜けを上手く活用すると下の階に自然光を届けることができ、窓から取り入れた風を上下に繋ぐことができます。

まとめ

実際、同じ面積の分譲地の販売価格は北側接道の土地に比べ南側接道の方が高い傾向があります。けれど、あまり固定観念にとらわれず、南向き以外の土地を購入して敷地の良さを生かした家を建てることでリーズナブルに快適な住まいを手に入れることも可能です。丁寧にその土地にあたる陽と影を見ること、吹く風を読むこと、それに対処する方法を考えれば、自然と住みやすい家になるのではないでしょうか。

執筆者プロフィール

大石かおり様

大石かおり
大石かおり(一級建築士)
「子育て期をたのしむ暮らし」をモットーに住宅、店舗、オフィスを設計。つくること、デザインする事を大人も子どももみんなで楽しめるように、ワークショップを各所で開催している。妊娠、出産、子育てを経験して、体に取り込むもの、触れる身の回りのものを今まで以上に意識するようになり「自然体でできるエコライフ」を実践中。

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