【専門家執筆】外壁材にはどんな種類があるの?各種類の特徴と選び方を解説

2018年11月17日

種類が豊富にあるため、なかなかとらえどころのない外壁材。建材も工法も選択肢がさまざまで聞き慣れない言葉も多い外壁材について、種類ごとにご紹介していきます。

 代表的な外壁材の特徴

『窯業系サイディング』

最近の日本の戸建住宅のシェア7割を占めているため、新しい住宅地でよく目にします。セメント質と繊維質を主な材料として板状に成形したパネルを、専用の金具で固定し、パネルの繋ぎ目をコーキングするもので、タイル調、木目調、石目調などの表面加工があります。

『金属系サイディング』

主にガルバリウム鋼板を外壁用に加工したものです。縦ハゼ葺き、一文字葺きなど貼り方で意匠性を出すこともできます。波板や角波板に加工した商品もよく使われます。軽量で耐久性に富み、メンテナンスが楽です。金属の急激な温度変化を和らげるため、断熱材と一体になった商品もあります。

『木質系サイディング』

板状に加工した天然の木材を貼付けるもの。戦前の日本の建物ではほとんどがこのように木の板を貼った外壁でした。木材は時間とともに変化する独特の風合いがあります。地域により防火性を高める必用がある場合には不燃下地などと組み合わせると性能を満たすことができます。中には不燃材料として加工された商品もあります。木材保護塗料を塗ることで、色味を調整したり、紫外線や風雨からの劣化を防げたりします。

『樹脂系サイディング』

顔料の入ったプラスチックを板状に加工したもの。日本ではあまり見かけませんが、軽量でD.I.Yでも扱いやすいためアメリカでは5割のシェアを誇ります。プラスチックが紫外線に弱いため、定期的に保護塗料を塗り劣化を防ぎます。

『モルタル』

水とセメントと砂を混ぜて作ったモルタルを塗ります。さらに、そのままでは防水性がなく見た目にもさびしいので、リシンやスタッコ、漆喰などの仕上げ材を塗装します。仕上げ材にさまざまなバリエーションがあるため、好みの色や表情を選ぶことができます。モルタルとほぼ同じ防火性能を持ちながら100%自然素材の商品も開発されています。下地にラス網などを使うのが一般的ですが、専用サイディングを使い工期を短縮できる商品もあります。

『タイル』

水廻りでおなじみのタイル。外壁では吸水性のない磁器質やせっ器質が使われます。サイズや種類が豊富で、タイル自体にメンテナンスの必用がほとんどありません。工費が高くても、品のある仕上がりになります。貼付ける工法の種類も複数あり、モルタルを下地にして貼付ける、専用のサイディングやパネルに接着剤で固定する、溝のついた専用のパネルにタイルを引っ掛ける、専用金具で直接固定する、といった中から選ぶことができます。

『ALCパネル』

工場で軽量気泡コンクリートを板状に成形したもの。専用の金具で固定してパネルの継目をコーキングします。ALCパネル自体に防水性がないため、表面を塗装して仕上げます。ALCパネルは薄型でも一般的な窯業系サイディングの2倍の厚みがあるため、高価ですがそのぶん耐久性は高くなります。

選び方のポイント

『機能』
建築する場所や建物用途によって外壁に求められる性能が変わってきますが、最低限求められるのは風雨をしのぐ機能です。市街地では火事を延焼させないための機能も求められます。近年の外壁は1つの材料で性能を満たすのではなく、透湿防水シートや、防火用下地などのいくつかの材料を重ね合わせ、外壁層として性能を満たしているという点を理解しましょう。そもそも日本の木造建築では屋根の軒や庇を大きくとっていたため外壁に求められる機能はそれほど高くなく、汚れやすく傷つきやすい材料では、部分的に別の材料を貼って保護することもありました。屋根を含めた家の形から外壁材を考えることもひとつのポイントです。
また外壁材は、工事と密接な関係があるため、取り扱える商品かを工事会社に確認しておきましょう。

『デザイン ショールームやモデルハウスで確認すること』
色や質感を確かめるために、実物を見るのが一番分かりやすいため、気になる商品には足を運んでみるのが一番の方法です。風合いの良いテクスチュアには時間がたっても飽きがきません。気にいるものをとことん探すのも1つの手です。また、多くの場合、実物大の模型を使って下地材や固定法などを説明してくれるので、仕組みを理解して弱点になる部分をどうメンテナンスしていくか確認しましょう。建てて数年経った建物を見る機会があれば、時間の経過によってどう変化するか、汚れやすい、痛みやすい部分はどこか、なども見ておくと参考になります。

『価格 メンテナンス 修理費用』
価格は、材料費と工事費をあわせて考えるため一概には言えませんが、軽量で取付けが簡単な窯業系サイディングや金属系サイディングはリーズナブルと言えます。木質系サイディングは材料や手間がケースバイケースです。手仕事のために工事費が加わるモルタル+塗装仕上げやタイルはそれに比べると高くなります。タイルやALCパネルは素材の寿命に比例して高価になります。メンテナンスのサイクルは、雨がかかる部分か、日差しが強くあたるか、周囲の環境によっても変わりますが、金属サイディングとタイル以外は、定期的に塗装の塗り直しが必用です。また、コーキングを使用した繋ぎ目部分の劣化が早いことに注意しましょう。

まとめ

高価な印象がある商品でも、大事な家を数10年守るという役割を考えると長い目で見て決して贅沢というものではありません。お好みの素材に出会えれば、それが一番良い選択肢と言えるのではないでしょうか。

執筆者プロフィール

大石かおり様

大石かおり
大石かおり(一級建築士)
「子育て期をたのしむ暮らし」をモットーに住宅、店舗、オフィスを設計。つくること、デザインする事を大人も子どももみんなで楽しめるように、ワークショップを各所で開催している。妊娠、出産、子育てを経験して、体に取り込むもの、触れる身の回りのものを今まで以上に意識するようになり「自然体でできるエコライフ」を実践中。

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