【専門家執筆】子ども連れ家族の方は必見! 日頃から行えるマンションの騒音対策

2018年2月23日

子育て家族がマンションに住むときに気をつけなくてはならないのが、子どもが起こしてしまう騒音。元気に育って欲しいのですが、近所の方の迷惑になってしまってはトラブルになりかねません。特にマンションでは、左右、上下と、お隣に住んでいる方も多く、音も伝わりやすいために注意が必要です。ここでは日頃から行えるマンションの騒音対策を解説します。

そもそも騒音にはどんな種類がある?

マンションで隣家に伝わる音には、空気伝搬音・軽量衝撃音・重量衝撃音があります。空気伝播音とは、外で遊んでいる子どもの声や楽器やスピーカーの音など、文字通り空気中を伝わっていく音であり、距離が遠ければ遠いほど音は小さくなります。また壁などの遮蔽物によって遮られる特徴があり、音が上に上がっていく性質もあります。軽量衝撃音と重量衝撃音は、床や壁などと固体物が振動して伝わっていく音です。その中でもスプーンなど軽いものを落としたり、椅子を引いたりする時の比較的軽く、高い音域の音のことを軽量衝撃音といいます。重量衝撃音とは、子どもが飛び跳ねてドスンと着地した時に下の階に伝わるなどの重い音のことです。主にこの3種類の音が騒音となって近隣に伝わっていきます。
マンションの多くはコンクリートで作られています。コンクリートの特性として空気中を伝わる空気伝播音に対しては、音に対する遮蔽物として機能しますが、重量衝撃音のような大きな振動に対しては、コンクリートの壁やスラブが振動し音が伝わる性質があります。コンクリートが厚く、柱梁がたくさん入っているほど振動は少なくなる特徴もあります。

騒音、どうすれば対策できるのか

空気伝播音は、部屋の中から一旦外に出て、外から近隣の部屋の中に入っていきます。部屋から外に出ていく時に、サッシを閉めておけばサッシが遮蔽物となり音を妨げてくれます。マンションの外壁にはサッシ以外に吸気口などの開口部があるため、完全に音を遮ることが出来るわけではありませんが騒音はかなり軽減されます。子どもたちが集まるとき、歌の練習をしたいときには、サッシを閉めることで音を和らげる効果が期待できます。
軽量衝撃音は、床にモノを落としたときの仕上げ材に左右されます。硬いフローリングは軽量衝撃音を響かせてしまいますが、やわらかいクッションフロアやカーペット・絨毯は落としたときの衝撃を和らげて音を小さくします。これは、スリッパをはいて歩くときの、パタパタした音や椅子を引いた時の音も同様です。椅子やテーブルの下など、音が出やすい場所にカーペットや絨毯などを引いておくのも対策のひとつです。
重量衝撃音は床スラブの厚さにより変わるため、音が伝わりやすいマンション、伝わりにくいマンションがあります。また、カーペット等を敷くことで衝撃を減らそうとしても、子どもがソファーなどから飛び降りたズドンという重量衝撃は、コンクリートに伝わってしまい効果は小さなものです。そのため、子どもが走り回ったり、飛び跳ねたりしないことが一番の対策です。

子どもとのコミュニケーションと、周囲の理解

遊び盛りの子どもがいる家庭では、どんなに対策をしても騒音を出さずに済むということは難しいです。子どもたちも遊びたいし、大人も子どもと遊びたい。そこで、騒ぐと近所の迷惑になってしまうこと自体を子どもに教える必要があります。特に、夜は静かにしなくてはいけないなど、他人のことを思いやって遊ぶ時間、静かにする時間を認識させたいところです。さらに、子育て中ということを近隣の方に知ってもらうとトラブルを軽減できます。お隣だけでなく、上下の方も含め子どもが出す音について話し、理解をいただいておきたいです。近隣の方の生活習慣を聞いておき、騒がせてはいけない時間を把握しておくことも重要です。

まとめ

マンションで生活する上で、ご近所に迷惑になってしまう騒音には3種類ある事を解説しました。とにかく音を出さなければ良いというわけでは無く、それぞれの音の種類によって対策が異なります。解説して来た騒音に関しては、子どもだけではなく大人が出す音も同じように伝わりますので、私たち大人が出す騒音も同様に考えておきましょう。

【著者プロフィール】

小木野 貴光(一級建築士)様

小木野 貴光(一級建築士)
株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所 代表。
住まいから老人ホーム、環境デザインまで行う設計事務所として、2006年4月、一級建築士事務所を開設、2012年4月に法人化。
「あなたらしい、世界に一つだけの家」を実現するため、細やかな「収納計画」、「光と風」を取り入れ、「素材」と「間取り」の工夫で、心地よい住む方らしい家づくりを行っている。DSA日本空間デザイン賞2017入選、住まいの外観コーディネイトコンペティション優秀賞などデザイン関連の受賞歴多数あり。


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