【専門家執筆】安全な宅地選びのポイント

2018年1月28日

自宅を地震から守るには建物技術に加えて土地選びが重要

耐震、制震、免震。住宅を大地震から守る技術には色々な手法がありますが、頑丈な家を建てたとしても、土地が軟弱であれば意味がありません。地震の揺れの強さは、「地震の規模(マグニチュード)」、「震源までの距離」、「宅地の地盤特性」によって定まります。規模が大きく震源が近い地震が生じても、地盤が強固であれば建物の揺れは小さくなりますが、軟弱地盤であれば地震の揺れが増幅され被害が大きくなってしまうのです。

軟弱地盤に住宅を建てた場合の問題点

「軟弱地盤」を特徴の面から解説すると、「泥や大量の水を含んだ柔らかい地盤」ということになりますが、実質的には「地盤補強をしなければ建物が沈下を起こす地盤」ということになります。宅地としては避けるべき地盤なのですが、東京や大阪など大都市の平野の大部分はそもそも軟弱地盤であるため、都市部の土地を選ぶ場合は避けられないという問題があります。そのため地盤調査と補強が欠かせないのですが、そもそも軟弱地盤に建物を建てると何が問題になるのでしょうか?
■地震の揺れが大きくなる
軟弱地盤は地震の揺れを増幅します。地盤が軟弱になるほど地震の振動を大きくしてしまうため、弱い地震でも被害が大きくなってしまいます。建物が無事であったとしても、家具の転倒やガラスの破壊などを招くことになるため、軟弱地盤の上に住宅を建てる場合は地盤を補強したり、家具の固定を強固に行ったりといった対策が必要になります。
■不同沈下が生じる
住宅の重みが地盤の強さを上回ると、建物は徐々に沈み込みます。この時、建物が均等に沈み込めば問題はそれほど生じないのですが、建物の荷重に偏りがあったり、地盤の堅さが場所により異なっていたりすると、建物のどこか1辺が大きく沈み込む「不同沈下」が生じ、住宅が傾いたり破壊される場合があります。これが生じやすいのが軟弱地盤です。
■液状化が生じる
軟弱地盤の中でも埋め立て地などに多い「砂地盤」で、かつ水分が多い地盤の場合、地域全体の最大震度が6弱を超える程度の地震に襲われると「液状化」が発生する恐れがあります。液状化の問題点は、通常は長い年月をかけて進む不同沈下が一気に生じ、住宅が傾いたり破壊されたりすることです。

軟弱地盤・危険宅地の種類と特徴

■日本の地盤の状況
日本の地盤には大きく分けると3つの種類があります。最も古い時代に作られ、かつ頑丈な地盤がいわゆる「岩盤」で、主に山地に露出をしています。岩盤の上に積み重なっているのが台地や丘陵地帯に多く見られる「洪積層(こうせきそう)」と呼ばれる地盤で、宅地に適した地盤です。
そして洪積層の上に積み重なっているのが、最も新しい時代に作られた地盤である「沖積層(ちゅうせきそう)」です。平野部の大部分はこの沖積層なのですが軟弱地盤であることが多く、宅地を建てる場合には注意が必要です。岩盤・洪積層・沖積層が地盤の基本となり、これらを削ったり埋めたりすることで、地盤の頑丈さがさらに変化します。
■埋め立て地
一般的には、海や湖沼に土砂などを大量に積み上げて人工的に造成された地盤のことを言います。都市部のウォーターフロント地域に広がっており、宅地としても多く分譲されています。埋め立て地で注意すべきは大地震の際に生じる液状化です。液状化の恐れがある地域はハザードマップとして公開されていることも多いので、宅地選びの際の参考になります。液状化が生じた場合、例え自宅が無事であったとしても、地域全体のインフラがダメージを受けて生活が困難になる場合がありますので、防災備蓄などの準備が欠かせません。
■盛り土・切り土
丘陵部や斜面に宅地を造成する際には、土地を平らにする必要があります。そのため盛り上がっている所は削り取り、へこんでいる所は埋め立てて土地を作ります。盛り上がりを削り取った場所は「切り土地盤」で、宅地が切り土地盤のみで構成されている場合は頑丈で理想的な土地となります。一方へこみを埋めた場所は「盛り土地盤」となり、こちらは軟弱地盤になるため地盤補強などが必要になります。また敷地内に切り土・盛り土の境界線が存在する場合は、盛り土側に建物が沈下する不同沈下が生じる恐れがあるため、やはり対策が必要になります。
■谷底低地
台地や丘陵地など、本来は頑丈な洪積層の地盤のなかでも、特にくぼんでいる箇所に堆積物が積み重なってできた軟弱地盤です。谷底低地の周辺は頑丈な地盤であることが多いですが、谷底低地の範囲だけは軟弱であるため、宅地としては避けるべき地盤です。古くは水田などに利用されることが多い土地でしたが、都市化により造成されて宅地になっている地域が増加しています。谷底低地を宅地にする場合は盛り土による埋め立てが行われますが、周囲は頑丈な地盤であるため一見良好な宅地にも見えます。しかし地盤としては軟弱であるため、地盤の調査や補強が必要な土地です。
■崖・急斜面
日本は崖や斜面が多い国ですが、崖や急斜面の上下の土地は宅地として避けるべきです。海がなければ津波は起こらず、川がなければ洪水は生じず、崖や斜面がなければ土砂災害は発生しません。大地震の揺れは日本中どこでも生じますが、土砂災害などの自然災害は発生する場所が決まっています。わざわざ災害が発生する可能性がある場所に自宅を建てることはリスクの高い行為です。
崖や斜面の勾配が30度以上で高さが5メートルを超える地域に、5個以上の住宅がある地域は、法律に基づいて都道府県が「急傾斜地崩壊危険区域」に指定することがあります。この区域は大雨や地震の際に土砂災害が発生する可能性が高い地域であり、こうした地域に住んでいる場合は非常持出袋の準備などを行い、非常時にすぐ避難を行える準備が欠かせません。
さらに、急傾斜地崩壊危険区域で崖崩れや地すべりが生じた際、土砂災害に巻き込まれる恐れがある地域が「土砂災害特別警戒区域・土砂災害警戒区域」に指定され、同じく土砂災害の危険が高い地域として指定されています。こうした区域は全国に40万箇所以上存在し、ハザードマップなどで確認することができますので、宅地選びの際には避けるべき場所です。

自然災害に強い土地の選び方

宅地を選ぶポイントは軟弱地盤を避けるだけではありません。水害・土砂災害・大地震による二次災害(津波・火災・液状化)など、様々な自然災害から住宅を守れる土地を選ぶことが重要です。自然災害に強い土地の選び方については、こちらのコラム(https://www.e-life.jp/column/trend/3269/)で詳しく紹介しておりますので、あわせてご覧ください。要点のみ下記に記載します。
・そもそも自然災害が生じない場所である
・海(津波)・河川(洪水)・山間部(土石流)・火山(噴火)から離れており、急傾斜地崩壊危険区域や土砂災害特別警戒区域・土砂災害警戒区域でもないこと。
・液状化現象や内水氾濫が生じづらい場所である
・液状化が生じやすい埋め立て地ではない。また周囲との相対的な標高が高く、内水氾濫(都市型洪水)が発生しづらい地域であること。
・大地震の際に大規模火災が発生しづらく救助活動も行いやすい
・古い木造住宅の密集地ではなく区画が整理されており建物が新しいこと。
※厳密には1981年6月1日以後の認可で建てられた建物が多いこと。
・幅の広い道路が整備されて細い路地が少なく、公園や緑地が多いこと。
・街の防災意識が高く取り組みが継続している
・ハザードマップが整備されておりWebで分かりやすく公開されていること。
・街全体や町内会単位で防災マニュアルが準備されており、訓練も実施されていること。

【著者プロフィール】

高荷 智也様

高荷 智也(防災アドバイザー)
「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに、個人に対しては”自分と家族が死なないための防災対策”のノウハウを、企業に対しては”経営改善にもつながる緊急時に役立つBCP”の作成手順を、自身が運営する防災Webサイト、各種メディアやセミナーを通じて解説するフリーのアドバイザー。徹底した現場視点で構築された分かりやすく実践的なアドバイスには定評があり、テレビ・新聞・雑誌などへの出演も多い。


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