不動産相続Q&A

不動産相続Q&A

2023年1月5日 更新
不動産相続Q&A

相続は人生の中で何度もあることではないため、手続きを進める中でどうすればよいのか、困ってしまうことも。ここでは不動産相続で起こりがちな問題や悩みについてQ&A方式でヒントを紹介していますので参考になさってください。

Q.不動産の価値を評価するには?

A.土地は2通りの評価方式がある。建物は固定資産税評価額を使用

Q.不動産の価値を評価するには?

不動産を分割したり、相続税の計算をしたりするときには、その不動産がどれくらいの価値があるかを評価しなくてはなりません。
土地を評価する場合は2つの方式があり、ほとんどは路線価方式を使用しますが、路線価の設定がない地域は倍率方式を使用します。建物を評価する場合は、固定資産税評価額を使用します。

土地の評価方法

>路線価方式

路線価方式

「路線価」とは、道路に面した土地1m2あたりの評価額のこと。国税庁のWEBサイトには各地域の路線価が公表されており、地図上に「300D」のように記載されています。
路線価「300D」の記載がある土地は、1m2の価格が30万円。専有面積100m2の土地の場合、[30万円×100m2=3000万円]で、評価額は3000万円となります。

参考:国税庁「路線価図・評価倍率表」
https://www.rosenka.nta.go.jp/
倍率方式

倍率方式

倍率方式では、固定資産税評価額を基準として、国税局長が定めた倍率をかけて算出します。倍率は国税庁のWEBサイトで公表されているので確認してみましょう。
固定資産税評価額が200万円で、倍率1.1の土地の場合、[200万円×1.1=220万円]で、評価額は220万円となります。

参考:国税庁「路線価図・評価倍率表」
https://www.rosenka.nta.go.jp/

建物の評価方法

建物の評価方法

固定資産税評価額が建物の評価額となります。固定資産税評価額を調べるには、毎年送られてくる納税通知書をチェックするか、市区町村の窓口に問い合わせましょう。

Q.不動産の相続を放棄したい!

A.3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申請をする

Q.不動産の相続を放棄したい!

相続人は、一部の財産の相続を放棄して、その他の財産を相続することは認められていないため、「要らない不動産だけ相続放棄する」ということはできません。すべての財産を相続しないと決めたら、相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出しましょう。 相続放棄申述書は、裁判所のWEBサイトからダウンロードできます。申述書に加えて、収入印紙と返信用の郵便切手、故人の戸籍謄本と住民票(除票)、相続放棄をする相続人の戸籍謄本といった書類も必要です。相続の状況によって必要書類が異なるため、事前に裁判所のWEBサイトで確認しましょう。 なお、相続放棄の申請期限である3カ月を過ぎると、単純承認(すべての財産を相続すること)となってしまいます。さらに放棄した財産に空き家があると、新たな管理者に空き家を引き渡すまでは相続放棄した人が空き家の管理義務を負う点にも注意が必要です。

参考:裁判所「相続放棄の申述関係書式」
https://www.courts.go.jp/koufu/saiban/tetuzukikatei/souzokuhouki/index.html

Q.遺産分割がまとまらない場合は?

A.調停で話し合い、それでも決着しないなら審判を受ける

Q.遺産分割がまとまらない場合は?

相続財産の分割は、基本的に遺言書に従って分けるか、相続人全員が遺産分割協議で話し合って分け方を決定します。けれども、不動産のように平等に分けにくい財産が多いと、各相続人の不満がたまりやすく、話し合いがまとまらない場合も。そのようなときは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。
遺産分割の調停では、調停委員が各相続人の事情を聞いたり、意見調整やアドバイスを行ったりして相続人同士の仲介を行います。これで話がまとまったら調停が成立となりますが、調停で決着がつかないときは家庭裁判所の審判へと移行します。審判では、裁判官の立ち合いのもとで各相続人が主張や反論を行い、最終的には裁判官が法律に従って遺産分割の審判を下します。

Q.相続した実家が空き家に。どうすれば?

A.固定資産税と維持費がかかるので、早めの売却or活用がベター

Q.相続した実家が空き家に。どうすれば?

売却する

この先ずっと実家に住む予定がなければ、売却を検討しましょう。不動産の売却は一般に、不動産会社と仲介契約を結んで買い手を探してもらいます。 不動産会社によっては、特定のエリアの仲介を得意とする会社や、戸建てを多く取り扱う会社、マンションを多く取り扱う会社など、得意分野があることも。ホームページの売却実績を見て得意分野をチェックしたり、実際に営業担当者と話し合って具体的な売却の提案を受けたりして、安心しておまかせできる会社を見つけましょう。

賃貸に出す

賃貸に出す

実家を手放したくないときは、賃貸に出すのも一考です。建物に傷みや不具合があれば修繕・リフォームが必要ですが、借り手が見つかれば毎月の家賃収入が入り、将来的には実家に住む可能性を残すこともできます。 不動産を賃貸に出すときは、不動産会社と仲介契約を結んで借り手を探してもらうのが一般的です。実家があるエリアの賃貸ニーズや、修繕・リフォームが必要な箇所などのアドバイスを受けることもできるので、不動産会社の営業担当者に相談してみてください。

解体して新たに活用する

解体して新たに活用する

建物を壊して更地に戻し、新たに活用する方法も。賃貸アパートを建築して賃貸経営をする場合、初期費用が高額になるものの、借り手が見つかれば毎月の家賃収入につながります。また、賃貸アパートより初期費用がかからない活用法として、駐車場経営やトランクルーム経営、コインランドリー経営などが挙げられます。いずれもエリアや立地で売上が大きく左右されるため、実家のあるエリアのニーズを見極めた上で経営を行いましょう。

ちょこっとメモ!ちょこっとメモ!

相続した不要な土地を国に返せる?「相続土地国庫帰属制度」が2023年に開始

相続した不要な土地を国に返せる?「相続土地国庫帰属制度」が2023年に開始

相続した不動産によっては売却や活用が難しく、相続人が手放したいと考えるケースもあります。そこで2021年に新法が成立し、相続した不要な土地を国に返すことができる「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月27日から始まることになりました。
この制度を利用して土地を手放すには法務大臣による承認が必要ですが、建物が建っていない土地であること、担保権や使用収益権が設定されていないことなど、いくつかの要件をクリアしなければなりません。また、申請手数料や10年分の土地の管理費用、建物がある場合はその解体費用などもかかるため、相続した土地の状況や費用面を踏まえながら検討しましょう。

Q.相続税の控除とは?

A.基礎控除、配偶者控除などさまざまな控除がある

Q.相続税の控除とは?

相続税がかかるのは、相続財産が[3000万円+600万円×法定相続人の数]の基礎控除額を上回った場合のみ。たとえば、法定相続人が配偶者と子2人の計3人なら、控除額4800万円を超えなければ相続税はかかりません。
また、配偶者は1億6000円までは非課税、未成年の相続人は[10万円×(18歳−相続開始時の年齢)]分を相続税額から差し引くことができるなど、さまざまな税額控除の制度が用意されているので、適用できる制度がないか税務署に確認しましょう。

相続税の基礎控除額

法定相続人基礎控除額
1人3600万円
2人4200万円
3人4800万円
4人5400万円
5人6000万円

まとめると…まとめると…

円満な不動産相続のために。全体の流れやポイントを確認しておこう

円満な不動産相続のために。全体の流れやポイントを確認しておこう

不動産相続は、平等に分けにくい家・土地を分割する苦労や、空き家となる実家をどうするかといった問題もあり、残された家族にとって悩みの種となることも少なくありません。限られた期間内に手続きを行うのは大変ですが、相続全体の流れやポイントを確認しておくことで落ち着きや安心につながり、スムーズに相続を進めやすくなります。ご家族の円満な不動産相続のために、このコラムが参考になれば幸いです。