【専門家執筆】住宅の瑕疵事故の9割を占める雨漏りの原因と予防策

2018年5月17日

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注文住宅や建売を新築で購入したのち、何年もしないうちに雨漏りするという残念なケースがあります。購入者にとっては苦痛な思いがありますが、なぜ、新築の住まいに雨漏りなどの漏水事故が起きるのでしょうか。ここでは、その原因や対処法をみていきたいと思います。

漏水事故の原因の大半は雨漏り

国土交通省が平成27年3月に発表した「住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討委員会報告書」(http://www.mlit.go.jp/common/001082620.pdf)の中に保険事故の発生状況表があります。
それを構造・防水別でみると防水部分が80%を占めています。つまり、外部からの水の浸入が原因で漏水事故が起きており、それにより瑕疵保険が適応されていることがわかります。また、住宅瑕疵保険会社の「住宅あんしん保証」の新築向けの瑕疵保険で保険事故の約90%が雨漏り事故としています。こうしたデータから見ると、漏水事故の大半は雨漏りであることが把握できます。

雨漏りの原因はどこにあるのか?

では、こうした雨漏りが起きるのにはどういった実態があるのでしょうか。住宅瑕疵保険会社の「日本住宅保証検査機構(JIO)」が2017年3月にまとめた実態調査によると、2008年12月から2017年3月の約10年間における新築住宅瑕疵保険の雨漏り事故物件を対象に、雨水浸入箇所を発生割合で検証しています。
その内容によれば、外壁開口部が33%、陸屋根及びバルコニーが22%、軒と外壁の取り合い部が10%という結果になっています。つまり、雨漏りの約70%がこうした家の箇所に集中していることがわかります。やはり、家の外部が雨、風にさらされる箇所から水が浸入しているということです。では、雨漏りの原因の7割を占めるものをみてみましょう。

・外壁開口部
外壁回りには窓や換気口など、いわゆる開口部があります。生活をする上では必要不可欠なものですが、外壁と開口部回りの接合部分からの水の浸入があります。接合する箇所におけるシーリングの充填が不十分であったり、施工マニュアル通りに施工できていなかったりなど、その原因は千差万別です。
・陸屋根及びバルコニー
ここ数年前からフラットな屋根形状や広いバルコニーが木造でも多くみられるようになりました。都内の狭小住宅では3階建てに屋上付きというタイプも多くなっていますが、そういった住宅での雨漏りは多くなっています。軒がなく、外見はスマートでモダンな住まいでも、軒代わりの笠木やパラペットの納め方が悪いためにその箇所から水が浸入してしまいます。
また、バルコニーが広い家は手摺り壁とバルコニー床の取付の施工が悪く、その直下階の部屋の天井から雨漏りしてしまうことなどありますが、まさかそんなことは起こるまいと思いがちです。例えば、深夜に豪雨があって翌朝、起きてみたらリビングが水浸しで天井の壁も落ちていたっていうこともあります。
・軒と外壁の取り合い部
先ほどの陸屋根やバルコニー箇所と同様に外壁と軒のつなぎ目の施工不良で漏水するというものです。中には、1億円の豪邸でも新築後3か月であちらこちらでの雨漏りが起きたという事例があります。外観のデザインを重視して設計したにもかかわらず、施工不良が原因で雨漏りが起きてしまったようで、その漏水箇所は上記のような箇所が大半です。

雨漏りの対策

大手ハウスメーカーでは独自の施工マニュアルがあるため、雨漏りに関してはかなり敏感ですが、一般の木造建築では標準施工という基準が存在しないです。例えば、パラペットやバルコニーは雨漏りの多発箇所ですが、住宅業界にはその標準納まりが存在しないため、各建築業者任せというのが実態です。したがって、先ほどのデータからもうかがえるように、漏水事故がいっこうに減少しないことがわかります。
こうした背景から建築を業者任せにするだけではなく、住まい手になる側からその予防をしておく必要があります。建築施工前であれば、頻繁に現場に行って工事状況を確認することがポイントです。頻繁に施主が来れば工事自体をしっかりしないといけないという施工業者への牽制にもなります。
また、第三者の人を間に立てて設計や施工の監視をしてもらうという方法もあります。これは、仕事が忙しくて頻繁に現場に行けない、建築地が遠方という場合には有効な方法です。
また住み始めてからであれば、数か月に1度は家の周りや部屋の中をよく点検することが重要です。住宅の瑕疵担保履行法に基づき、住宅事業者は建物の構造躯体・防水に係わる箇所に10年間の瑕疵担保責任を負っています。
これは万が一、購入した住宅の構造や躯体に施工不良を起因とする不具合があったり、屋根やバルコニーなどの防水が施工不良で雨漏りしたりした場合に、その住宅事業者が新築から10年間の瑕疵担保責任を元に住宅事業者の費用負担と責任をもって、施工不良を解消しなくてはいけないという法律があります。
そのため住んでからも住まいの外部や内部を日ごろから点検して少しでもおかしい箇所があれば、建築業者や売主に連絡して点検してもらうことをおすすめします。

まとめ

住まいは自分でメンテナスできる箇所に限度があります。目視で手の届く箇所での雨どいの清掃や雨水、汚水の桝(ます)の点検などはできますが、その他の箇所は自分ではなかなか点検すらできないものです。したがって、少なくとも1年に1回は建築業者の手を借りてでも住まいの点検をしておくことが重要です。
人間の病気と同様、早期発見ができればその被害は最小限で済みますが、漏水という結果が出てからでは心情的にも痛手が大きくなります。梅雨時や台風シーズンが来る前に、住まいの点検をしておきましょう。

【著者プロフィール】

大間 武様

寺岡 孝(不動産コンサルタント)
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。
住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。
生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、
「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。

 


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