高齢者のための住宅改修のポイント

2017年2月20日

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高齢者の家庭内事故発生場所が多いのは

高齢者の家庭内における事故は、居間や寝室など普段長い時間過ごす居室で一番多く発生し、次に階段や台所で、玄関、洗面所、風呂場と続きます。何気ない移動がトラブルの原因となっており、また玄関、廊下、トイレなど、あまり想像しにくい場所でも事故が発生していることがわかります。
http://www.garbagenews.net/archives/2003595.html 2016年高齢者白書参照)
今回は事故率が高い居室と階段、事故が想像しにくい廊下、玄関、トイレを住みやすくするために改修ポイントを紹介します。体に負担のかからない空間にするためにも段差のない、動きやすい、気温差の少ない、を目指しましょう!

共通して抑えておきたいポイント

転倒を防ぐためには、床を滑りにくい材料に張り替える方法と既存の床一面に滑り止め加工を施したビニールフロアやクッション性のあるものを敷き詰めるという方法があります。ここでのポイントはカーペットやラグをフローリングの一部に敷くのではなく、敷き詰めることです。些細な数ミリの段差や端のめくれが転倒の原因をつくらないようにしましょう。

住みやすい居室にするポイント

ベッドの横には座位から立ち上がるときに縦方向に手摺をつけましょう。そして、この手摺から連続して壁際に水平移動用の手摺も必要です。出入り口からベッドやソファーまで連続して設置し、移動する際に寄りかかれるよう、体重負担が可能な本人の握りやすい位置や高さに取り付けることが大事です。靴下や衣類による滑りやつまずきでもすぐ掴まれば体勢を立て直せるので安心です。

安全な階段にするポイント

転倒を防ぐために、滑りにくい材料を張るだけなく、蓄光性を持たせる、フットライトを取り付けましょう。また、空いた部分での掴まり損ないを防ぐためにも、階段と踊り場にと可能な限り水平部分にも連続して手摺を取り付けることをお勧めします。階段は片側だけでなく両側に手摺を取り付けると更に安心です。

移動しやすい廊下・玄関にするポイント

バリアフリーに張り替えても残る敷居や設備の関係で少しの段差がある場合は手摺をつけ予防しましょう。また、玄関にスロープを取り付ける場合、内部1/6以下、外部1/20以下の勾配にすることが望ましいです。外部の場合は、雨などで濡れて滑らないよう庇を付けると良いです。
玄関土間から廊下の立ち上がりが45センチ程度段差のある場合には、手摺と共に、有効スペースにもよりますが、一段か二段の段差解消のための階段を設置し、高さも15~17センチ程にすると昇降も容易です。さらにベンチ椅子があると靴の着脱が楽です。

使いやすいトイレにするポイント

トイレは便座からの立ち上がり補助用の手摺、回転機能もあればさらに便利で狭い個室内での動きを助けてくれます。トイレは一般的に開き扉が多いですが、引き戸にすれば、開閉時の退くなどのアクションが減るだけでなく、開け放したままにできるので人や車イスでの出入りが楽になります。さらに洗面とトイレの間の仕切りを取り払い、大きな空間にすることで車イスや介助の人も動きやすくなります。

家の温度差を少なくするためには

壁に断熱材を入れ気密性をもたせるのは効果が高いですが、窓ガラスを真空ガラスに取り替えるだけでも効果はあります。ペアガラスと違い、ガラスの板厚が薄いので既存サッシュのガラスと交換が可能ですし、通常のガラスの4倍の断熱性能を有しています。二重サッシ・インナーサッシュも効果的です。また壁全体ではなく、限定した空間の内側だけを断熱材で囲うシェルター的なものを設置するという方法もコストがかからない上に、地震に対応した性能を満たしたものであれば耐震シェルターを兼ねることもできます。
身近な石油ファンヒーターやストーブも、灯油のつぎ足しなど負担も大きくやはり危険な部分もありますので、床暖房がおすすめです。エアコンと違い、輻射熱を利用するので足元から暖かく芯から体が温まるのと、空気も乾燥しにくいので、加湿器を使うことで起こるカビの心配も少なくなります。温水式などいろいろありますが、既存床にフィルム式のヒーターを置くタイプなど、厚みがないのでその上から新しい床材を施工できて簡単です。工事費はかかりますが、月々の電気代は6畳程度で一日8時間使用約2,000円程度です。

まとめ

改修費用は介護保険や市町村の高齢者住宅改修補助金を組み合わせて使うことで、介助予防として改修費用の一部を数十万補助金で補うことができます。(収入制限あり)介護保険で段差解消階段や手摺などレンタル出来るので、組み合わせて利用すれば更に費用が抑えられます。申請書類が必要ですので、改修時に建築士や工務店、担当のケアマネージャーに相談すると良いでしょう。
いつまでも快適に暮らすためにも、住宅改修だけでなく、廊下や階段の踊り場に荷物を置かない、床に滑りやすいもの特にビニール袋など放置しない、濡らさないなど、普段からつまずきや転倒の原因になることを取り除いておくことも重要な習慣です。

 
【著者プロフィール】

中村勝己様
中村勝己(建築家/中村勝己建築設計事務所)
1965年広島生まれ。近畿大学工学部建築学科卒業。設計事務所を経て、1997年中村勝己建築設計事務所開設。近畿大学非常勤講師・広島女学院大学大学院非常勤講師。グッドデザイン賞、ひろしま街づくりデザイン賞等受賞歴多数。

 


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