【専門家執筆】修繕積立金の相場と注意すべき点

2019年3月5日

最近、マンション購入後に、修繕積立金が不足し、大規模修繕ができないといった話も耳にするようになってきました。
マンションを購入するときには、駅からの距離や物件の外観、間取りなどは、しっかり確認しても、意外と修繕積立金については、調べていない人も多いようです。
マンション購入を考えている方は、「修繕積立金」について、しっかり理解しておきましょう。

修繕積立金とは

修繕積立金とは、一般的に、分譲マンション(区分所有マンション)の外壁、屋上、共用部分などを維持・修繕するために、毎月一定額を積み立てるお金のことです。建物は、時間の経過とともに、劣化していくため、それを防ぐために、10~15年のサイクルで、大規模な修繕工事が必要となります。工事の規模によっては、数千万円かかることもあるため、その資金を、その都度、区分所有者から徴収するのは、大変なことです。
そこで、計画的に、毎月一定額を積み立てているのです。

修繕積立金の相場

修繕積立金の相場については、平成23年に国土交通省が公表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」といったものがあります。
それによれば、修繕積立金の目安は、「専有床面積あたりの修繕積立金×専有床面積」で求められます。
また、マンションに機械式駐車場などがある場合は、さらに加算されることになります。
マンションの規模や階数などによっても、さまざまですが、「1㎡あたりの月額修繕積立金額」の相場は、150円から250円あたりが多くなっています。
占有面積40㎡のマンションに住んでいる場合、6,000円から10,000円といった金額になります。
ただ、これはあくまで目安であり、上述した通り、機械式駐車場の有無やその他付帯設備、世帯数などによって、補修・修繕計画に基づき、マンションごとに決めることになります。

修繕積立金で注意すべき点

ここでは、修繕積立金に関する注意点や購入前に確認しておくべきことをまとめてみました。

1.修繕積立金の額が少ない
マンションを購入するとき、新築は修繕費がかからないため、積立額が低くてすむと思われる方もいるかもしれませんが、それは違います。もともと、15年、30年と、長期修繕計画に基づいて、一定額を積み立てていくため、新築であっても、中古であっても、必要な金額を積み立てることが重要です。
適正な積立金を積み上げずに放置した場合は、最悪、修繕積立金が破たんすることもあります。
また、新築マンションで、相場よりかなり低い積立金だった場合、将来、徐々に修繕積立金が上昇し、当初の2倍、3倍になるようなケースも散見されます。
特に、マンション販売業者が、売りやすさを優先し、当初の負担額を小さく見せるケースもあるからです。このような場合、いざ工事が必要な時に、積立金が足りずに、一時金として、一戸当たり数十万から数百万円支払わななければならないケースもあります。
従って、新築、中古を問わず、修繕積立金が適正額かどうか、必ず確認するとともに、将来の修繕計画も調べておくことが必要です。
また、中古の場合は、過去の修繕履歴、自分の購入する部屋の滞納の有無、マンション全体の管理費・修繕積立金の滞納額の有無など、必ず確認しましょう。
万一、修繕積立金の残高が少ない、管理費や修繕積立金の滞納が多いといった場合、管理体制がずさんになっていることも考えられるため、そのようなマンションの購入は控えたほうが無難と言えます。

2.管理費と修繕積立金
マンションの維持管理を、外部の管理会社に任せた場合、毎月、管理費と修繕積立金の名目で請求が来ます。管理費とは、契約している管理会社に支払う毎月の経費のことです。管理費自体が適正かどうかももちろん大切ですが、その内訳にも是非注目しておきましょう。仮に、毎月2万円払っている場合、「管理費13000円、修繕積立金7000円」と、「管理費8000円、修繕積立金12000円」では、積み立てているお金が5000円も違ってきます。従って、修繕積立金だけでなく、管理の内容やコストもよくチェックする必要があるのです。

3.管理組合と管理会社
通常、分譲マンションの場合、区分所有者の中から役員を選び、マンション管理組合によって運営を行います。本来、マンションは共有物の為、自分たちでしっかりと管理する必要があります。ただ実際には、会社などの組織と違い、たまたまマンションを購入した人たちで運営しなければならず、それぞれ仕事なども持っているため、なかなか役員のなり手がいないのが実状です。
また、役員が決まっても、もともとマンション管理の専門家ではないため、通常は、管理会社に委託することになります。
良い管理会社にあたればよいですが、場合によっては、上記の通り、管理費だけ高く、修繕計画がしっかりしていなかったり、また、大規模工事の際に、自社に有利な施工業者を選定(提案)し、場合によっては、バックマージンをもらうような管理会社もあるので、注意が必要です。
また、組合の役員が、業者からバックマージンを受け取るといったケースもあり、組合役員や管理会社に丸投げし、マンションの維持管理には興味が無いといった区分所有の仕方は、考えものです。
最近では、第三者のアドバイザーとして、マンション管理士や一級建築士などに入ってもらい、管理体制や修繕計画、工事の施工状況のチェックなどを依頼する管理組合もあります。

まとめ

修繕積立金が相場と比べ、かなり低いマンションは要注意です。
中古マンションの場合、過去の修繕履歴、管理費や修繕積立金の滞納状況なども確認しましょう。マンション管理組合の運営状況、管理会社の選定方法や信頼性、第三者のアドバイザーの有無など、管理体制も確認しておくと安心です。

マンションは、ややもすると、自分の専有部分に関することしか考えないことが多いですが、あくまで“他人と共有の財産”であることをしっかり認識する必要があります。
マンション全体に関わることについては、何事も自分1人で決めることはできないため、必ず購入前に、管理組合や管理会社の運営体制、修繕積立金の状況などについて、しっかりと確認することが重要と言えるでしょう。

執筆者プロフィール

荒川 雄一様

荒川 雄一
荒川 雄一(ファイナンシャルプランナー・不動産コンサルタント)
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