【専門家監修】バルク売り物件のメリット・デメリットを解説!

2021年6月29日

不動産投資に興味を持っている人の中には、「バルク売り」または「バルク売り物件」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。バルク売りとは、物件の売り方の一つです。しかし、一般的な売却方法とは異なるため、あらかじめ知識を得ておく必要があります。今回の記事ではバルク売りの意味やメリットとデメリット、さらに購入する際の注意点について解説していきます。

バルク売りの意味

バルクは英語のbulkのことで、「まとまった」「一括の」または「大量」といった意味があります。つまり、不動産のバルク売りとは「一括売り」や「まとめ売り」という意味で、複数の物件をまとめて売却することです。そもそもバルク売りとは、大量に出た不良債権を一括で売却することを指す言葉として使われていました。例えば、40戸あるマンションの棟の中で10部屋をまとめて売却する場合などがバルク売りです。

ただし、1棟まるごと売却するケースでもバルク売りという言葉が使われるようになってきています。多くの場合、バルク売りとは、資金調達を目的にマンションオーナーが部屋をいくつかまとめて売却することを指します。または、分譲マンションが売れ残った際、再販業者がまとめて買い取り、投資家に一括で売却するのもバルク売りの一つです。どのような理由であれ、不動産においてバルク売りとはいくつかの物件をまとめ売りすることを指します。

バルク売りはなぜおこなわれる?

通常、融資を受けて不動産を購入するときは、対象となる物件に金融機関によって抵当権が付けられます。抵当権とは返済ができなくなったときに「担保としてお金の代わりに差し出してもらう」権利のことです。もしも不動産を購入した債務者が返済できなくなったときは、金融機関はこの抵当権を行使して物件を競売にかけることができます。そして、それによって得たお金を損害に補填することで残債の回収が可能になります。

ところが、担保となる不動産の資産価値が下がっている場合は、たとえ競売にかけても全額回収できるとは限りません。損害をできるだけ回避するには、金融機関は競売以外の手段で不良債権を処分する必要が出てきます。そうすることで少しでも回収し、損害を抑えていこうとします。特に、サブプライム問題が起こったときは貸し倒れが急増してしまい、金融機関の多くが不良債権を抱えて対応に奔走することになりました。

日本の場合、直接償却によって不良債権を最終的に処分する方法の一つとしてバルク売りが普及したという背景があります。具体的な要因は、会社破産や会社更生などです。これらの事情で債権の回収が難しくなると、企業資産として所有されていた不動産をまとめて売却するバルク売りがメガバンクによって行われています。また、広義では、不動産投資家やマンションの分譲会社などが、資金調達を目的にいくつかの物件を売却することも含まれます。

バルク売り物件のメリットとは?

バルク売りでもっとも大きなメリットは、手ごろな価格の物件を大量に購入できることです。1件あたりで見ていくと、市場の5〜7割ほどの価格で物件を取得できます。もちろん、実際はケースによって異なりますが、通常より安い価格で手に入れることが可能です。バルク売りの特徴として、売り手側が現金化を急いでいるケースが多いことがあげられます。そのため、値下げ交渉が有利に働きやすいというメリットもあります。

バルク売りで購入したマンションは、その後賃貸で利益を図る人も多いでしょう。通常よりも購入価格を抑えられるため、その分高い利回りが期待できる点もメリットです。もしも、立地が良い物件なら空室ができるというリスクを抑えることも可能で、まとめ買いの効果は高いといえます。マンションを一棟丸ごと購入しなくても、過半数の部屋を所有できれば管理の運営方針の主導権を握ることも可能です。

バルク売り物件のデメリットとは?

バルク売りは、複数の物件がまとめて売却されるため、購入する際のリスク分散がしにくいというデメリットがあります。バルク売りで購入できる物件は、区分所有のバルク売りの場合はどの部屋も同じ1棟のマンションに入っているためです。 つまり、立地が悪いなど何らかの悪条件があれば、結果的にどの部屋も借り手が決まらないといったリスクが高くなります。例えば、最寄り駅からの距離が離れていたり近隣に商業施設がなかったりすれば、利便性を売りにすることは難しいといえます。

そのため、立地などの条件によっては手を出すべきではないでしょう。また、空室対策としてリノベーションを考える場合、自由に工事できない点もデメリットです。内装については自由に工事を行うことは可能でも、エントランスなどの共用部分や外観などについては独自に手を加えることはできません。バルク売りの物件は、初心者の投資家にはやや不向きです。さまざまな要素を考えると、複数の不動産を運用しているような上級者に向いています。

しかし、バルク売り物件を上手に運用するための経験や心得があれば、初心者でも挑戦してみる価値は十分あります。例えば、勤務先で店舗経営などを経験していれば、物件の運用もできるかもしれません。バルク売りの物件を購入する前に、まずさまざまな物件を実際に見ておくのも良い勉強になります。立地が良くないのに人気の物件や、逆に立地に対して空室が目立つ物件などを見て比較するのも、運用のヒントにつながります。そして、購入にあたって注意したい点もきちんと把握してから、バルク売り物件の運用を検討するといいでしょう。

バルク売り物件購入時の注意点

バルク売りの特徴は、いくつかの物件をまとめ売りすることです。まとめ売りをするということは、良くない物件も混ざっているということを考えておかなければいけません。中には、賃貸経営をするうえでリスクが高い物件も紛れていることもあります。安いという理由だけで判断すると、実際には借り手がつかずに赤字経営になる恐れも出てきます。バルク売りということで安易に購入するのではなく、まずどのような物件か情報を調べてみましょう。

物件の立地や治安など基本的な調査はもちろん、何らかの事故がなかったかなど風評についても調べることが望ましいといえます。物件ごとにしっかり調査を行い、そのうえで検討することが重要です。例えば、安い物件の条件の一つに築年数が古い建物があります。建物は、築年数が経過すればそれだけ老朽化が進みます。マンションの場合は共用部分の修繕を勝手にすることは難しいですが、水回りや内装についても確認したほうがいいでしょう。借り手がついたとしても、入居中に修繕工事が必要になれば、入居者に迷惑をかける可能性が出てきます。

バルク売り物件は、手放す際についても考えておくことが必要です。バルク売りをするのは、単体では売却が難しい資産価値が低い物件に多い傾向があります。そのため、いざ手放したいと思っても、バラ売りするのは難しいといえます。周辺の相場と比較して割安であることがバルク売り物件のメリットですが、それだけで決めてはいけません。あまり安い物件は購入を控えたほうが賢明です。空室のリスクが少なく、高利回りが見込めるかどうかを確認してから購入を考えましょう。

バルク売り物件の購入はよく考えてから!

バルク売りとは複数の物件をまとめて一括で売却する方法です。通常よりも5〜7割ほどという格安で購入でき、その分高利回りが期待できるというメリットがあります。しかし、その反面リスクが分散しにくいという点がデメリットです。また、空室が増えたときも対応が難しいかもしれません。バルク売り物件を購入する際は、まずさまざまな視点から入念に調査を行い、そのうえで検討することが必要です。

執筆者プロフィール

髙野 友樹
髙野 友樹様

公認 不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

株式会社 髙野不動産コンサルティング 代表取締役、株式会社 アーキバンク 取締役。
不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、不動産ファンドのAM事業部マネージャーとして従事。
現在は不動産コンサルティング会社を立ち上げ、投資家や事業法人に対して不動産コンサルティングを行いながら、建築・不動産の専門家で形成される株式会社アーキバンクの取締役として、業界において革新的なサービスを開発・提供している。


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