【専門家執筆】2020年に義務化になる「改正省エネ基準」を徹底解説!

2018年2月25日

2017年4月に施行の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」は2000㎡以上の非住宅から適合義務化となりましたが、2020年には住宅、非住宅すべての規模で適合義務化となります。いわゆる改正省エネ基準について詳しくみてみましょう。

2020年に義務化になる「改正省エネ基準」とは?

「改正省エネ基準」とは、住宅を新築する際に新しい省エネ基準に適合し、義務化させることを指します。
この新しい省エネ基準とは2013年に改正された省エネ基準で、それまでの旧省エネ基準では住宅の外皮(外壁・屋根・天井・床・窓などを指す)の断熱性能だけを評価していましたが、この評価だけでは建物全体で一体的に評価できる基準ではないため、消費者が建物の省エネ性能を客観的に比較しづらいというデメリットがありました。
そこで、2013年に住宅と建築物の省エネ基準について、国際的にも使用されている一次エネルギー(水力や太陽光など、自然から得られるエネルギー源)消費量を指標にした断熱性能と設備性能を含めた総合的に評価できる基準に変更しました。これが改正省エネ基準と言われています。
2017年の4月から2000㎡以上の非住宅から適合義務化となり、2020年には住宅、非住宅すべての規模で適合義務化とされます。
この改正省エネ基準では外皮のほかに、給湯器や冷暖房機器、換気や照明器具などの省エネ性を一次エネルギー消費量に換算して評価するように変わります。
この制度が義務化されると、耐震や防耐火などと同様にこの省エネ基準に満たない建物は建築確認が下りなくなるということになります。
地球規模でCO2削減が求められているため、住宅全般の省エネは非常に重要な課題です。

日本の省エネ性能は世界基準ではない

ここで日本の省エネ性能は世界各国と比べるとどのようなレベルなのでしょうか?
特に異なるのが窓サッシの素材で、日本ではアルミサッシが一般的ですが、省エネ先進国のドイツでは樹脂製や木製が85%を占めており、アルミ製は1割程度しかありません。アメリカも同様であり、他国の方が日本と比べて断熱性の高い素材をサッシに使っていることがわかります。
アルミは加工しやすく、耐久性等の性能に優れていますが、ことさら断熱性能は悪いです。
また、住宅の保温や気密性を示す数値はドイツのパッシブ基準と比較すると何倍もの違いがあり、日本の住宅性能が世界基準に及ばないのが現状です。
例えば、ヒートショックによる溺死の数値は日本がずば抜けて多く、アメリカやドイツでは日本の約20分の1で、いかに断熱性が悪いかを示しています。
こうしてみると、2020年に義務化になるとはいえ、その省エネ性能の基準は世界の住宅先進国から見ればかなり低い基準といえるでしょう。

「改正省エネ基準」の義務化がもたらす影響

今後は、住宅が車と同様に燃費性能が購入等の判断基準となる時代が到来します。
現に、あるマンションデベロッパーでは住戸ごとに冷暖房費が一目瞭然でわかるような資料を使ってマンション販売をしており、価格表や専有面積の一覧表の中に燃費性能が書かれています。
こうした表示をしていくことで、マンションでは最上階や角部屋といった住戸に人気が集まりがちですが、燃費性能がよい住戸の方に人気が変わることも想定できます。
また、省エネ基準の義務化は耐震性能が線引きされている新耐震と旧耐震というように、省エネ性能も急性能と新性能というような区切りができるようになるでしょう。
そうなると改正省エネ基準で建築していない住宅は、それなりの価値しか見出せないという視点になってしまい、その評価は下がるということになるかと思います。
国では、中小の工務店にいたるまで省エネ基準の義務化を周知徹底するように仕向けていますが、今後の建築物や住宅に係る省エネ性能は耐震性能などと同様に大きな選択基準の1つとなります。

まとめ

日本では住宅、非住宅の省エネ性能は世界各国から比較すると、劣ると言われています。今後、この改正省エネ基準がすべての建物に義務化されることで少しでも省エネ性能が上がり、CO2削減ができる方に向かっていければと思います。

【著者プロフィール】

寺岡 孝様

寺岡 孝(不動産コンサルタント)
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。
住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。
生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、
「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。

 


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